Section2: ListUp
1. Regulation : 規制動向
●FSB(金融安定理事会)、分散金融技術のもたらす安定性・規制・ガバナンスについてレポートを発表
G20財務大臣・中央銀行総裁会議へ提出された資料
分散型金融システムは、意思決定・リスクテイクおよびレコードキーピングといった3つの局面において分散化を促し、中央集権型のエンティティやプロセスの必要性を低減する。その応用領域は、クロスボーダーペイメントやセツルメント、証券のトークン化、トレードファイナンス、保険、P2Pレンディングなど多岐にわたる
分散型金融システムは金融の安定に便益をもたらす場合もあるし、競争や多様性の提供を通じて既存エンティティの重要性を低下させることもありうる。と同時に、主要なインフラのオーナーシップや運営が分散することは、分散構造において事態の復旧や解決が困難になる場合があるなど、金融システムへの信頼においてリスクも孕む
従来のように特定のエンティティや管轄地域に紐づけることが難しくなることから、規制当局に対して、従来当局との接触が限定的であったテクノロジーセクターを含む広範なステークホルダーとの対話を求めている
●改正資金決済法、官報に公布される
●JVCEA、「利用者財産の分別管理のチェック項目及びチェックのポイント」を公表
●国税庁、仮想通貨取引で総額100億円の申告漏れを指摘
●暗号通貨関連犯罪対応へ米国・カナダ・豪州・英・蘭の5カ国が横断タスクフォースJ5設立
●欧州委員会、マルタ共和国に対してマネロン対策強化を要請
●デンマーク当局、HoardのICOを配当や投票権無しとして証券認定せず
●マレーシア規制当局、暗号通貨交換業者として3社登録
●インド、あらゆる種類の暗号通貨の発行・販売・購入を禁止へ
●エジプト中銀、金融機関による暗号通貨取り扱いに際してライセンスを必要とする法案を検討
●ブラジル、暗号通貨の規制・監督委員会を設置へ
2. Crypto Adaptation: 暗号通貨の普及・応用
●Binance、TrustTokenと提携でステーブルコインTrueUSD(TUSD)の発行・償還を可能に
Binanceユーザは手数料無料でTUSDの購入が可能に。Binanceは既にステーブルコインPAXの取り扱いを開始済
TrustTokenは、米ドルのほかに豪州ドル・カナダドル・香港ドルおよびユーロと連動した新たなステーブルコインのリリースを予定している
●Binance、Binance Chain上で英ポンド連動のステーブルコインBGBPをテスト中
Binanceは1月にBinance Jerseyを設立し、英ポンド建・ユーロ建の取引を提供するなど欧州の顧客獲得を進めている
既存のステーブルコインではTether(USDT)の取引において中国の占める比率が高まっているなど、Binanceのステーブルコイン取り扱いにおいてTetherの重要性は高いが、今後はユーロや日本円を始めとした、米ドル連動以外の独自ステーブルコインの取扱が高まる可能性がある
Binanceとしては担保となる英ポンドを銀行に預けることによって収益を得る見込み
●Binance、証拠金取引およびDEX(分散取引所)で利用制限対象国として日本を追加
●スイスシンクタンク、スイス中銀にスイスフラン担保のステーブルコイン発行を推奨
●ウォレットへ直接Bitcoinを送金できるメールサービスをエジプトIntelli Coders社が開発
●韓国ポスト、暗号通貨交換業者と提携
●Line PayとVISAが提携。ブロックチェーン基盤のクロスボーダー決済も
●Lightning Networkを使ったBitcoin決済体験レポート@awabar fukuoka
3. Decentralized Finance : DEXやトークンなど
●Bitfinex、Omni・Ethereum・TRONに続いてLightning Network上のアセットとしてUSDTローンチへ
●MakerDAO解説スライド- DAI&CDPのユースケースとMCD
4. Programable Security : プログラマブル証券関連
PS発行プラットフォームのSWARMがアップデートされたプラットフォームを提供開始
複数種類のチェーンに対応し、手数料0を目指したプラットフォームに
●Entoro CapitalがPrivate Stockマーケットプレイスを提供するUnicorns Exchangeと提携へ
Entoro CapitalがPrivate Stockのマーケットプレイスとして機能しているUnicorns Exchangeと提携
彼らが扱うPre-IPOのユニコーン会社のEquityをEntoro OfferBorad上でトレードできるように
Entoroとしては今までPassiveで初期ベンチャーに参加できなかったprivate bankなどの獲得を目標にしている
●Bcap TokenがCoinbase Custodyでの利用が可能に
Coinbase CustodyがBcap Tokenの預け入れと引き出しとを可能にすると発表
●AG DeltaとInvestaCrowdが提携し、AGが所有する資産のPS化を実施へ
スイスに拠点を置くBlockStateが自社で自社Equityトークンを発行すると発表
個人投資家に加えて、機関投資家にもターゲットを当てていると説明
Ethereum上での発行だが今後、Cordaとの互換性も完備する方針
●BlockstatitonがNBA選手に投資するPSを発行へ
論考系
GreenwichがPS関連プレイヤー114社にインタビューをとり統計レポートを作成
現在ローンチされているPSの半数がprivate equityであるとの統計
マーケット拡大の障害となっているのがセカンダリー市場の乏しさという意見が6割を占める
●TokenSoftがkik摘発と他のICOプロジェクトへの対処を解説
5. Financial Institutions : 金融機関による応用ケース
●日銀と欧州中央銀行による共同調査報告書(第3フェーズ)が公表
「Project Stella:日本銀行・欧州中央銀行による分散型台帳技術に関する共同調査報告書(第3フェーズ)」が公表された。今回のテーマは「クロスボーダー取引における支払いの同期化」
●ロシアの食品小売チェーンDixi、Ethereumベースのトレードファイナンスシステムを複数の銀行・ファクタリング会社・サプライヤーと接続して構築
検証プロセス自動化を通じて、サプライヤーは配達完了から1日以内に支払いを受けることが可能になるほか、作業量や付随リスクの低減に寄与することを見込んでいる
6. Enterprise/Government : 非金融分野の応用ケース
●Walmart 、医薬品来歴管理コンソーシアムへ参加
Chronicled社が主導する医薬品来歴トラッキングコンソーシアムMediledgerへの参画を表明。Mediledgerは、Pfizerなどが参加しているもので、PoAによるブロックチェーンを通じたプラットフォームであり、医薬品のサプライチェーンにおける契約照合プロセスの自動化をはかるもの。なお、WalmartはIBMのFood Trust(Hyperledger Fabricベース)にも参加している
●アステリア、株主総会の議決権投票システムにEthereum採用し本番導入
2017年より株式総会における議決権投票への利用にむけた実証実験を重ねてきていた。今回は株主名簿管理人である三菱UFJ信託銀行も交えて本番運用を開始し、議決権トークンを用いた投票結果を総会の議決に反映する。上場企業が議決権投票システムへブロックチェーンを採用するのは初とのこと
●Kodak、機微ドキュメントの安全管理プラットフォームを発表
●製薬大手ベーリンガーインゲルハイム、糖尿病患者むけネットワークに分散台帳技術活用
●Microsoft、ブラジルで農業むけにブロックチェーン・AIプラットフォーム
●北海道電力、 INDETAIL社とEVスタンドプラットフォームの実証実験
7. Startup : 個別プレイヤー・アプリケーション
●Flueree、分散台帳とグラフデータベース通じたデータ共有
●Zerion、複数のDiFiプロトコルを一元管理
8. Articles : 論考
●BinanceによるDeFiリサーチレポート(クリプトレンディング編)
●ブロックチェーンを考える(1) 「衆目にさらす」ことの効果(日経:やさしい経済学)
●Gartner、企業で現在実装されているブロックチェーンの9割は2021年までに置き換え必要になる旨の調査レポートを発表
9. Future Events : 注目イベント
●Security Token London Meetup(6/12 at London)
●Crypto Valley Conference(6/24–6/26 at Zug, Switzerland)
●ETHIndia(8/2–8/4 at Bangalore)
●Web3 Summit (8/19–8/21 at Berlin)
●ScalingBitcoin (9/11–9/12 at Tel Aviv)
●Baltic Honeybadger 2019(9/14–9/15 at Riga)
●Starkware sessions (9/16–17 at Tel Aviv)
●Devcon5(10/8–10/11 at Osaka)
バックナンバー
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#8(2019/05/20–05/26)
#9(2019/05/27–06/02)
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