LayerX Newsletter for Tech (2020/01/13–01/19)

Issue #41

今週の注目トピック

Satoshi Miyazaki(@satoshi_notnkmt)より

今週は、スケーリングソリューションのひとつであるOptimistic Rollupを用いたFuel v0のOpen Beta版が公開されたニュースに注目です。他には、リーガルテックの分野として、リーガルスマートコントラクトを扱うClauseがSales Forceと連携したニュースや、IBMのFood Trustに新たな食品事業者が参入した動きについても取り上げております。List編と合わせてご覧ください。

Section1: PickUp

Fuelのv0がOpen BetaとしてPublic testnetでローンチ, ソースコードも公開される

  • Optimistic Rollupとも呼ばれるMinimal Viable Merged Consensusを用いたスケーリングソリューションであるFuelのv0のOpen Betaが開始された。Open Betaではパフォーマンス及び安定性の検証を行いつつ、Gas効率の良いコントラクトを開発者にReadableな形で書くための新しい中間言語Yul+を含むtoolchainのリリースを計画している。また、BitcoinのScriptのようなスクリプティングの仕組みも計画に含まれている。

  • Fraud proofを効率的に計算するために、低レイヤのメモリを効率的に扱うためにSolidityではなくYulを用いており、fraud proofを1M Gas以下で実行可能である。また、UTXO型のサイドチェーンであるため、トランザクションの検証を並列化することが容易であり、効率的なステートへのアクセスが提供できることから、FuelのFull Nodeは高いDisk I/Oを要求されないため、速いSSDなどを持つ必要がない。また、Fraud Proofが安価であることで、Plasmaやstate channelよりもchain congestion attackに強いと説明されている。

  • 公開されているコードにはノードの簡単な実行方法が付されており、DAIをdeposit, withdrawできるようなサンプルコード、MySQLをDBとして利用してノードを立ち上げる方法などが記載されている。他のOptimistic Rollupの実装としてはPlasma GroupのものやSKALEによるもの、IDEXによるものが知られている。devconでのunipigのデモも記憶に新しく、unipigのデモでは250tpsを達成したようだ。 また、SKALEも19日にソースコードを公開したようだ。各プレイヤーが開発をすすめる中で、特にFuelはhighly-scalable stablecoin paymentsを実現することを謳っており、今後どのように利用が広がっていくのか注目される。

スマートリーガルコントラクトプロバイダーClauseがSalesforceと契約管理業務で連携

  • スマートコントラクトプロバイダーClauseがDocuSignと提携の上、ユーザー向けに提供していたConnected ContractingをSalesforceユーザーにも提供を開始すると発表した。Connected Contractingとは、契約書への署名の確認後、契約内容の自動履行とペイメントの自動執行がなされるスマートコントラクトのモジュールをDocuSignのユーザー向けに提供していたもの。

  • 今回、ClauseはこのサービスをSalesforceへ繋ぎこむことを発表し、Clauseの共同創業者兼CTOのDan Selmanは「Clause for Salesforce」と呼んでいる。新サービスにおいては、ユーザーはまずSalesforce上でcontract dataを作成し、Clauseに送付の上、契約書を作成する。Clause上には、テンプレートが用意されており、ユーザは文言やロジック等の作成のコストを削減可能。その上で、Docusignにおいて電子署名をすることで、イベントが発生しスマートコントラクトにより、Selesforce上の契約情報等がリアルタイムで更新される。この際、データが随時蓄積されるため、次回の契約改訂時の交渉等にも活用できるとされている。

  • また、もともとClauseはStripeとも提携しており、ユーザー情報登録時にStripeのアカウントを登録しておけば、電子署名によるイベント発生後、Stripe上で決済を行なうことが可能であったが、この度、Stripeとのアカウント連携により、動的にStripe invoiceを作成できることも発表された。

  • Docusign関しては、6月にClauseに出資(6月のNewsletter)を行い、10月にはパートナーシップを締結するだけでなく、12月には、Clauseをインテグレートし、不正確な契約データについては署名許可をしないワークフローの生成を可能にし、契約締結後もモニタリングしアラートを実施することで、エラー対応などによるコストを低減している。このことから、積極的に投資を実施するだけでなく、自社プロダクトとのコラボレーションを通じてブロックチェーンの応用を目指していく動きが依然みて取れる。

  • この一連の動きからは、機能的連携の有機的連鎖により、ビジネスパートナーエコシステムが適切に拡大し、ユースケースの増加を通じて、ブロックチェーンユーザーの裾野の広がりも期待できるといえる。他の業界での動きも要注目である。

IBMの食品トレーサビリティプラットフォーム「IBM Food Trust」にチュニジアのオリーブオイル製造業者が参加

  • 2020年1月14日、南地中海領域で最大級のオリーブオイル生産量を誇る企業のうちの一つとして知られる、チュニジアのCHOが、IBMのブロックチェーンを使った食品トレーサビリティソリューションである「IBM Food Trust」に加入したことを発表した。同社の生産するブランド「Terra Delyssa」がエキストラバージンオリーブオイルであることを証明するために、ブロックチェーンが用いられることになる。

  • オリーブオイルの需要は世界的にも高く、中でも純度の高い最高の品質を誇るエキストラバージンオリーブオイルは、高値で取引されている。一方、その製造工程において、品質の異なるオイルと混ぜたものをエキストラバージンとしてラベリングする事業者の存在が問題しされており、消費者からの信頼性確保が課題となっていた。

  • Terra Delyssaのオリーブオイルは、オリーブの果樹園から瓶詰めされて完成するまでにおよそ80の工程を経るが、その工程のすべてをブロックチェーン上に記録し、瓶に貼られたQRコードから辿れるようにすることで、消費者が安心して購入することができるようになる。トレーサビリティが完全に確保されている商品に対してプレミアムを払うことに同意する消費者が73%にも登るというIBMの消費者動向に調査結果が引用されており、企業価値向上にも貢献することが予想される。

  • IBMは、他にも貿易の領域において、金融機関とともに「we.trade」プラットフォームを立ち上げており、今後サプライチェーンと貿易金融の領域を組み合わせていく動きが出てくることが予想される。今後も引き続き、同社の動向に注目していきたい。

Section2: ListUp

1. Bitcoin

Liquid Network、BTCPay Serverをサポート。BTCPay利用マーチャントは支払いにLiquid Network用いて、Liquid Bitcoin (L-BTC) やLiquid Tether (USDt)によるセツルメント可能に

Bitcoin上のスマートコントラクトDiscreet Log Contract用いた仕様をまとめていく活動が立ち上がる

Taproot関連のBIPプルリク

2. Ethereum

Plasma Groupメンバー、ParadigmとIDEOから資金調達し、レイヤー2スケーリングソリューションOptimistic Rollup実装に注力する新会社Optimism設立

EEA、サンドボックスとなるTestNetをローンチ

Fnality、EEAに参画を発表

AZTEC Protocol、MPCセットアップを完了

Loopring、ZkRollup用いたテスト結果を公開

StarkWareによるStarkEx、Istanbul後の実測で秒間9000取引をLayer-1上にて

DApp開発フレームワーク:Embark 5リリース

スマートリーガルコントラクトClause、SalesforceおよびDocuSignと連携したデジタル契約「Connected Contracting」を発表

スマートリーガルコントラクトClauseのアカウントとStripeのアカウントをリンクするだけで、ClauseのSmart Clauseを用いて動的にStripeインボイスを生成できるように

HyperLedger BESU,v1.4で追加予定のPlugin APIに関するwebinarを開催予定

3. Bitcoin/Ethereum以外

Kadenaがパブリックローンチ

Libra、技術運営委員会が発足

今年のStanford Blockchain Conferenceは、2/19–21開催。 今回のトピックにはLibraもあるのが特徴的。 SNARKs関連でSTARKsやPLONKも

Bulletproofsを利用したrange proofの仕組み

  • 内積の証明に引き続いてrange proofの仕組みが解説されています

4. 統計・リスト

中国のブロックチェーン特許申請、テンセント系WeBankが突出

  • 内容面ではデジタル資産、融資業務、サプライチェーンファイナンス

5. 論考

ブロックチェーン技術のスケーラビリティ問題への対応

Bitcoinの革新性が導くWeb 3― cryptoeconomicsという方法論とトラストレス ―

2020年代は、ハードウェアウォレットやブロックチェーンスマホ等の「クリプトデバイス」が急成長するとのレポート

6. 注目イベント

IACRカンファレンスReal World Crypto (1/8–1/10, New York)動画はこちら

Advancing Bitcoin Developer Conference(2/6–2/7, London)

Financial Cryptography 2020(2/10–2/14 at Kota Kinabalu, Sabah, Malaysia)

Workshop on Coordination of Decentralized Finance(2/14 at Kota Kinabalu, Sabah, Malaysia)

Stanford Blockchain Conference (2/19–2/21 at Stanford)

EthCC(3/3–3/5 at Paris)

Hyperledger グローバルフォーラム(3/3–3/6 at Phoenix, Arizona)

MIT Bitcoin Expo 2020(3/7–3/8、Boston)

Cryptoeconomic Systems Conference (CES ‘20)(3/7–3/8、Boston)

PBWS: Paris Blockchain Week Summit(3/31、Paris)

EDCON(4/3–4/7 at Vienna, Austria)

TPBC20: Theory and Practice of Blockchains 2020:(4/20–4/22、Barcelona)

Eurocrypt 2020(5/10–5/14、Zagreb, Croatia)

IEEE S&P: 41st IEEE Symposium on Security and Privacy(5/18–5/20、 San Francisco)

TPMPC 2020: Theory and Practice of Multiparty Computation Workshop 2020:(5/25–5/28、Aarhus N, Denmark)

CRYPTOLOGY2020: 7th International Cryptology and Information Security Conference 2020(6/9–6/11、Putrajaya, Malaysia)

Summer School on real-world crypto and privacy(6/15–6/19、Sibenik, Croatia)

SECRYPT 2020: 17th International Conference on Security and Cryptography (7/8–7/10, Paris)

Crypto 2020 (8/16–8/20, Santa Barbara, CA, USA)

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