英当局ICOがカタログ通販のEasylife社に罰金措置/NTTデータとunerryによる人流データAI解析、MS&ADの交通事故リスク可視化システム
LayerX PrivacyTech Newsletter (2022/11/23-11/29) #179
今週の注目トピック
Takahiro Hatajima(@th_sat)より
英当局ICOによる、カタログ通販のEasylife社に対する罰金措置の概要について紹介します。あわせて、データ利活用最前線として、NTTデータとunerryによる人流データのAI解析や、MS&ADによる交通事故リスクの可視化システム販売開始について紹介します。
Section1: PickUp
●英当局ICO、違法に顧客をプロファイリングしてダイレクトマーケティングコールを行なったとしてカタログ通販のEasylife社に罰金
英国当局ICO(Information Commissioner’s Office)が、カタログ通販のEasylife社に対して、「145,400人の顧客の個人情報を使用して、顧客の同意なしに病状を予測した上で、健康関連商品のターゲットにした」として、135万ポンドの罰金を課したことが発表された。併せて、同社は、「134万5732件の略奪的なダイレクトマーケティングの電話をかけた」として、13万ポンドの罰金も課されたため、合計で148万ポンドの罰金となる。
11月22日に行われたNational Association of Data Protection Officers (全国データ保護責任者協会:NADPO)年次大会において、ICOによる基調講演の中でも、金銭的な罰則は依然として重要な規制手段であるとして、そのケースとして本件を紹介している。健康状態や病状について推測し、同意なしにその病状に関連する製品をターゲットにしていたとし、最も繊細な情報の一部であることから、容認できない使用であるとされており、その概要を紹介したい。
Easylife社は、家庭用品のほか、Health Club、Motor Club、Gardening Clubなどの商品・サービスを販売するカタログ通販会社である。
ICOによれば、顧客がEasylife社のHealth Clubカタログから商品を購入すると、同社は顧客の病状を推測し、本人の同意なしに健康関連商品を売り込んでいたことが判明したという。例えば、ある顧客がジャーオープナーやディナートレイを購入した場合に、Easylife社はその購入データを使ってその人を関節炎と仮定した上で、その顧客に電話をかけてグルコサミンの関節パッチを売り込んでいたとのことだ。
具体的には、Easylife社のHealth Clubカタログに掲載されている122商品のうち、80商品が「トリガー」として位置付けられており、これらの商品が購入されると、同社はその顧客をプロファイリングした上で、健康関連の商品をターゲットにしているとされる。
英ICOは、Easylife社がそうした目的のために個人データを収集し、使用していることに顧客が気づいておらず、健康データの「見えない」処理が行われていることを発見したとし、これはデータ保護法に違反するとしている。
また、ICOによれば、Easylife社は2019年8月1日から2020年8月19日の間に、Telephone Preference Service (TPS)に登録している顧客に対して、134万5732件の不要なマーケティングコールをかけていたとしている。英国のPrivacy and Electronic Communications Regulations (PECR)のもとでは、TPS登録者に対しては、電話を受けることを希望すると伝えていない限り、マーケティングコールをかけてはならないことになっているとされる。こうしたEasylife社のダイレクトマーケティングの電話について、Easylife社の電話に対して怒り・不安・脅し・苦痛を感じたとする苦情をICOは25件受け付けているとのことだ。
こうしたEasylife社の行動について、ICOは「Easylifeは、購入者の知らないところで、購入履歴から病状を推測し、健康食品を売りつけていた。人々のデータが目に見えない形で利用されていたため、人々は自分のデータがどのように利用されているのか理解できず、結果として、プライバシーやデータ保護の権利を行使することができなかった。透明性の欠如とプロファイリングの押し付けがましさが相まって、人々の情報権利の重大な侵害をもたらした」と指摘している。
このように、商品購入から顧客の同意なしに病状を予測し健康関連商品販売のターゲティングに用いたとするケースの摘発は、英国の法規制によるところであるが、顧客のプロファイリングとターゲティングへの活用に関するケースとして、今後の趨勢に注目したい。(文責・畑島)
●データ利活用最前線
データ分析のデジタルトランスフォーメーションの推進支援に向けた協業を開始、東芝グループの「スマートレシート®」の購買統計データとCTCのデータ活用基盤を連携
医療データ利活用のYuimedi、4.5億円を調達、日本人チームとして3例目のAlchemist Accelerator採択
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Section2: ListUp
1. プライバシー・セキュリティとデータ利活用
●“逮捕記事に地番掲載” プライバシー侵害認めず 高裁判決確定 | NHK
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221126/k10013904241000.html
●540万件のTwitter漏えいデータが公開される 1700万件以上の新たな流出の可能性も 米報道
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2211/29/news138.html
●情報ネットワーク法学会 第22回研究大会 | Peatix
http://inlaw-2022.peatix.com/
●「車両データ活用に関する法的留意点」と題してTMI総合法律事務所 パートナー弁護士 岩田 幸剛氏/弁護士 白井 紀充氏のセミナーを2022年12月21日(水)に開催!!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002296.000032407.html
2. 今週のLayerX
●ソフトウエアエンジニアの組織と文化
https://note.com/suguru_namura/n/n4afcd492f8c0
●バクラク請求書、支払調書作成補助機能を強化
年末年始に発生する経理業務の負荷軽減を実現します!
https://bakuraku.jp/news/updates/20221202
●「ザ ロイヤルパークホテル アイコニック東京汐留」の取得に関するお知らせ~将来的にデジタル証券での商品化を目指す~|三井物産デジタル・アセットマネジメント株式会社
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000032.000056997.html
●バクラクのスクラム開発とカイゼンの日々を共有
https://tech.layerx.co.jp/entry/bakuraku-scrum
●LayerXインターン⇨新卒の私が感じた若手が活躍するために必要な5つのこと
https://note.com/soccer_koichi/n/naebcfef36584
●オープンイノベーションは“地道”の積み重ねだ。LayerXと三井物産から学ぶ、JV立ち上げの秘訣 | FastGrow
三井物産デジタル・アセットマネジメントにおける、事業側の整理、組織側のハード面の設計、そして組織側のソフト面の取り組みについて記事にしていただきました!
https://www.fastgrow.jp/articles/eggforward-tokuya-mdm-maruno
●LayerX開発組織の2022年を振り返る
https://tech.layerx.co.jp/entry/layerx-dev-2022
●LayerX NOW!|#60 Enabling Teamが実現したい爆速開発とソフトウェアアーキテクチャの一歩先【スピーカー:CTO ×suguru×yyoshiki41×izumin5210】
●PMFを生み続ける意志力(pmconf2022) - SaaS企業で働くプロダクトマネージャーのブログ
https://www.blockchainengineer.tokyo/entry/willpower-to-keep-creating-pmf
●バクラク、シリーズ累計の導入社数が3000社を突破 - バクラク
支出管理をなめらかに一本化するサービス「バクラク」において、シリーズ累計の導入社数が3000社を突破しました!
https://bakuraku.jp/news/release/20221130
●企業文化でオペレーショナル・エクセレンスを生みだす|maki@LayerX|note
https://note.com/35_mki/n/nfa826df394e3
●知識、経験、体力、お金はすべてあなたのキャリア資産 後悔しないキャリア選択のために必要な“投資家思考”
LayerX・代表取締役CTOの松本が、キャリア選択に後悔しないために必要な考え方について発表しました
https://logmi.jp/tech/articles/327764
●ドメイン未経験からLayerXにジョインして目指したい「営業の介在価値」|maru | Chika Maruichi|note
https://note.com/chikamaru_/n/n5226191239e1
●バクラク、インボイス制度への対応方針と開発ロードマップを公開
「バクラク」シリーズにおけるインボイス制度対応方針と開発ロードマップを公開しました!
https://bakuraku.jp/news/release/2022112901
●デジタル証券フォーラム2022
https://events.nikkei.co.jp/54032/
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