Anonify解体新書8(TEE + ブロックチェーン)/差分プライバシーの不確定性原理
LayerX Labs Newsletter for Tech (2021/11/03-11/09) Issue #129
今週の注目トピック
Takahiro Hatajima(@th_sat)より
Anonify解体新書8では「TEE + ブロックチェーン」と題して、ブロックチェーン上にデプロイされたスマートコントラクトをRustのプログラムから呼び出す方法およびTEEとブロックチェーンを組み合わせたアプリケーションの開発について説明しています。
あわせて、差分プライバシーを満たすpoint queryとsum queryの間に不確定性関係があることを示した論文を紹介します。
Section1: PickUp
(詳細は記事タイトルをクリックするとScrapboxへ)
●TEE + ブロックチェーン | Anonify解体新書8
ブロックチェーン上にデプロイされたスマートコントラクトをRustのプログラムから呼び出す方法およびTEEとブロックチェーンを組み合わせたアプリケーションの開発について説明する
●【NeurIPS 2021】差分プライバシーの不確定性原理
差分プライバシーを満たすpoint queryとsum queryの間に不確定性関係があることを示した論文
それぞれのクエリの平均二乗誤差を定量的に評価し、片方の平均二乗誤差を小さくしようとすると、もう一方の平均二乗誤差の下界が存在することを提示
LayerX Labsでは、次世代プライバシー保護・セキュリティ技術Anonifyの正式提供に向けトライアルパートナーの募集を開始、合わせて公式ウェブサイトを公開しました。
「Anonify」の公式ウェブサイトはこちら
「Anonify for Insurance」ホワイトペーパーはこちら
LayerXではエンタープライズ向けブロックチェーン基盤を基本設計、プライバシーの観点から比較したレポートを執筆し、公開しています。
基本編のダウンロードはこちら
プライバシー編ダウンロードはこちら
Section2: ListUp
1. Bitcoin
1.1. Layer2:Lightning Network
●Lightning NetworkへのDoS攻撃にあたる、流動性をブロックする「チャネルジャミング」の緩和にむけたアプローチの提案
https://blog.bitmex.com/preventing-channel-jamming/
●Lightning NetworkへのDLCインテグレーションについてのスレッド
https://mailmanlists.org/pipermail/dlc-dev/2021-November/000091.html
●LN summit 2021のサマリー
https://lists.linuxfoundation.org/pipermail/lightning-dev/2021-November/003336.html
●企業視点から見るLightning+小川さんによるLightningの基本的な解説の動画が一般公開
1.2. Layer1技術
●Generalized taproot(G'root)
https://techmedia-think.hatenablog.com/entry/2021/11/05/214051
●GraftrootとG'rootを組み合わせたEntroot
https://techmedia-think.hatenablog.com/entry/2021/11/06/153234
●Bitcoin & Beyond Summit(11/10)のビデオ動画
https://view.knowledgevision.com/presentation/ea839396a4fe4e288045fbb798868e75?utm_source=#
●アップグレード(11/14午後予定)まで3日となったBitcoin Taprootを実現する3本のBIPについて概要。
BIP340(Schnorr Signatures)は、単一署名の取引、マルチシグの取引、複雑なスマートコントラクトが見分けがつかないようにする「鍵集約」をサポートするもの。ブロックスペースの節約、プライバシーの向上、トランザクション検証の高速化を実現する。
BIP341(taproot)は、Pay-to-Taproot(P2TR)出力タイプのルールを規定するもの。セキュリティを犠牲にすることなく、スクリプト機能のプライバシー・効率・柔軟性を向上。複雑な取引タイプとして、Lightning Networkチャネルの開閉やアトミックスワップなどが含まれる。
BIP342(Tapscript)は、SchnorrおよびTaproot技術を提供すべく、取引パラメータを記述するスクリプト言語を更新するもの。
https://www.8btc.com/article/6707723
1.3. Bitcoinファイナンス
●BitcoinのDeFiが過小評価されているとするスレ
2. Ethereum等
2.1. Ethereum以外
●cBridge 2.0では、State Guardian Network(SGN)がクロスチェーンブリッジのバリデーターとして機能し、クロスチェーンリクエストの処理を自動化している
https://www.chainnews.com/articles/726038491773.htm
●Polkadot、スロットを割り当てるParachainスロットオークションを開始
https://polkadot.network/auctions/
●Tether、Avalanche上で提供開始
https://medium.com/avalancheavax/tether-token-usdt-launches-on-avalanche-baf5a313f1a7
3. デジタルアセット関連サービス
3.1. 金融機関のデジタルアセットサービス
●Mastercard、Amber Group・Bitkub・CoinJarと提携し、デジタルトークンを法定通貨に変換できるクリプト連動ペイメントカードを発行。韓国・台湾・香港・タイ・豪州で展開
3.2. 規制
●酷税に失望、デジタル頭脳去る 暗号資産で「戦えない」: 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB204F20Q1A920C2000000/
●前CFTC議長Giancarlo氏の新著「CryptoDad: The Fight for the Future of Money」
https://www.amazon.co.jp/dp/B09KNPZK9S/
●米国議会、インフラ法案を228対206で可決
「ブローカー」の法律上の定義が変更され、カストディアン・クリプト・サービスを含めて、取引を直接IRSへ報告必要に
●最新版の日本のクリプト関係の法規制について整理する「GLI : Blcockchain&Cryptocurrency Regulation Japan 2022」
https://www.globallegalinsights.com/practice-areas/blockchain-laws-and-regulations/japan
●日本の暗号資産法制全般を整理したThe Virtual Currency Law Review
https://thelawreviews.co.uk/title/the-virtual-currency-regulation-review/japan
●米SEC、ワイオミング州のCryptoFed DAOに対してデジタルトークンの証券登録の有効性を停止。
監査済財務諸表など必要情報が不足した他、トークンが有価証券であるかに関する矛盾した記述など、重大な誤解を招く表現を問題視
https://www.sec.gov/news/press-release/2021-231
●米SECの寄稿記事「DeFiのリスク・規制および機会に関する声明」
必要とされない限り、コンプライアンスや適切な内部統制に投資しないプロジェクトは存在するとし、DeFiコミュニティが解決すべき具体的な構造的問題として「透明性の欠如」「仮名性」を挙げる。
「透明性の欠如」
個人投資家が専門家を雇ってコードを監査するのは費用対効果が低い一方、プロ投資家は、専門家を雇って投資判断する余裕があるなど、個人投資家は、プロ投資家よりもかなり不利な立場にあり、情報の不均衡が問題を悪化させている。
「仮名性」
botを使って複数のウォレットを操作したり、グループで共謀取引するなどの操作的な取引かを知ることが困難。投資家が操作行為を通常の取引行為と区別することはほとんど不可能であり、損失を被る可能性がある。
https://www.sec.gov/news/statement/crenshaw-defi-20211109
3.3. NFT
●スクエア・エニックス、分散型コンテンツとしてのトークンエコノミーを前提としたブロックチェーンゲームへの本格参⼊を検討
https://www.hd.square-enix.com/jpn/ir/pdf/22q2slidesJPN.pdf
●Axie Marketplaceと連動してアセット保管やトークン送受信ができる「Roninモバイルウォレット」がリリース
●STAR WARS公式NFT、11月11日(木)12PM(PT)にVeVeアプリでドロップ
https://medium.com/veve-collectibles/disney-golden-moments-star-wars-96dc5baba88b
3.4. 各種アダプショントピック
●Coinbase、Bitcoinを担保に最大100万ドルの現金借入が可能に
https://www.coinbase.com/ja/borrow
●マイアミ市長や次期NY市長に続いて、米ミシシッピ州最大の都市ジャクソン市長も、給与のBitcoinへの転換を表明
●米NY次期市長、Bitcoinを全世界で商品やサービスを購入するための新たな支払い方法であるとし、技術および新たな考え方を学校で教えるべきだとコメント
●Strike、1-4ヶ月内に欧州でローンチへ
●Coinbase Wallet、スタンドアロンのブラウザ拡張機能として利用可能に
デスクトップからもdapps・DEX・NFT収集が可能に
●Arcane ResearchによるBitcoin担保市場(デリバティブ・レンディング)レポート。
担保として使用されているBitcoinは全世界で62万BTCであり、世界の担保市場の0.15%
https://www.chainnews.com/articles/804767456575.htm
●Bitcoin Suisse、決済プロセッサーとしてスイスで初めてLightning Networkをサポート。
Bitcoin SuisseとWorldlineと提携する加盟店は、Lightning Networkを介した取引を受入可能に
●Twitter、クリプト特化チーム「Twitter Crypto」を立ち上げ。
クリエイターがDappsを使って作品やコミュニティを支援することのサポートを図るほか、クリプトコミュニティからのアイデアによって、アイデンティティやコミュニティ・所有権などの可能性を広げるとのこと
●Mastercard、クリプトエコノミーのサポートソリューション体系「Crypto enablement」「Crypto services」「Network access」を発表。
CipherTraceによる不正対策、Ekataによるアイデンティティのほか、カストディ、CBDCサンドボックス、Stablecoinへのアクセス等を挙げている
4. DeFi
4.1. DeFiプロダクト
●Aave V3では、アセットクロスチェーンやリスク管理の改善などが図られるとのこと
https://governance.aave.com/t/introducing-aave-v3/6035
●リクイディティマイニングにおける売り圧の問題を解決し、流動性の深さと高い資本効率を提供するLiquidity as a Service (LaaS) の取り組みとして、Olympus Pro、Tokemak、UMA(Rangeトークン、KPIオプション)、Curve Bribeを紹介している。
●Yearnチームの開発したツール「bribe.crv.finance」は、DeFiプロジェクトが投票と引き換えにveCRV(Vote-Escrow CRV)保有者にトークンの報酬を賄うもの。
https://bribe.crv.finance/
●Optimism Bridge、Celer Bridge、Hop Exchange、Degate Bridgeなどがクロスチェーンサービスを提供する中で重要性を増している、クロスチェーンブリッジのアグリゲーター「FundMovr」解説記事。
異なるチェーン間の集約に加えて、DEXアグリゲーターの集約も含めた、利用可能なすべてのルートを、①ターゲットチェーンの最大アウトプット・②最低ガスコスト・③最短時間でランク付け。
https://www.chainnews.com/articles/709392119481.htm
●将来リターンに裏付けられた合成資産ベースのレンディングプロトコル「Alchemix」のプロダクトおよび経済モデル解説。
CurveプールでホストされているAchemistコントラクトに原資産としてDAIを預けることで、合成Stablecoin「alUSD」をmintし、流動性提供。
原資産のDAIはYearnのyDAI Vault上でファーミングを行う。
AlchemixコントラクトがyDAIコントラクトから収益を得ると10%がDAOに送られ、90%が日割り還元される
分散型のガバナンス(Alchemix DAO)を採用しており、ガバナンスシグナルはSnapshot経由で送信され、Alchemixトークン(ALCX)ホルダーがガバナンスの決定者となる。
Olympusと連携しbondプログラムを構築している他、Tokemakの預託証明書(=LPトークン)としてtALCX発行や、Convexとの提携も。
https://www.chainnews.com/articles/917603300507.htm
●Yearnは、イールドアグリゲーターとしての役割を終え、他のプロトコルのイールドパートナーとしてYield-as-a-Serviceプロトコルの役割を担うようになった。
Abracadabra(SushiのBentoBox経由)とAlchemixは、Yearnの第二期成長の原動力となっている。
https://messari.io/article/yearning-for-yearn
●GYEN、Coinbase Proへのインバウンド送金の受付が開始
https://blog.coinbase.com/gyen-gyen-is-launching-on-coinbase-pro-d3f6efb173d2
●Tether設立以来すべてのUSDTの結果、これまでに発行された全資金の70%を特定できたとのこと。AlamedaとCumberlandの2者で、これまでの全出庫量の55%に相当
https://protos.com/tether-papers-crypto-stablecoin-usdt-investigation-analysis/
●ETH2むけに信頼性の高いステイク基盤サービスを構築するRocket Pool、メインネットローンチ。
ノード運用者のインセンティブの特徴として、①拠出額が16ETHとETH2でバリデータ運営に必要な最低32ETHの半分と参入障壁が低くなっている他、②ステイカーはETHと引き換えに、ステークされたETHとETHのステーク報酬のシェアを表すデリバティブ「rETH」を発行される。
4.2. DAO
●DAOガバナンスの手引きとして、ダッシュボードツールの紹介およびUniswap・Compound・Aave・Feiを例にプロトコルに関するリソース(投票・Snapshot
・フォーラム・グラント・ガバナンスDocs)を整理している
https://calblockchain.mirror.xyz/Imjv6Y13fA23MpvEoHdYnRDnIvrcp_pyBnwn9pTZ0Bo
●a16zによる、トークン保有者がオンチェーンガバナンス権を他人に移すことで重要な発言権を持つ参加者を拡大する「Delegationプログラム」(8月末にオープンソース)
https://a16z.com/2021/08/26/open-sourcing-our-token-delegate-program/
●あらかじめ設定されたイベント条件に応じて、DAO間でモノやサービスを安全に交換するDAO間のコラボレーション「DAO to DAOツール」。
DAO間の関係を強化するため「情報の非対称性の克服」「信頼の形成」 「共同投票・統治」「情報収集」ツールが必要に。
https://coinvise.mirror.xyz/t7D8q8GwbSjFY3rcGP6ji9TuR6UPapCmBSMtpmyUBT4
●nansenによるDAOリサーチペーパー
●10月末時点のDAOプロジェクトマップ
●DAOプロジェクトのTreasuryバランスシートランキング
5. 今週のLayerX
●エンジニアやPdMの皆さんに好評なイベント『LayerXプロダクトさわらNight』を11/15Monに実施します
●ドメイン知識ゼロから入社4日で商談デビューした話(オンボーディングにおけるTechツールの活用)
https://note.com/changun8/n/nb5a3f12c77a8
●ワークフローと、請求処理を最適化!「LayerX」レビュー~ユーザー編~|Brownies Works|note
https://note.com/browniesworks/n/nb619ae3fae17
●インフラ未経験者にも優しいインフラ設計 - LayerX エンジニアブログ
https://tech.layerx.co.jp/entry/2021/11/10/150000
●「LayerXプロダクトさわらNight」今回は、SaaS事業にて開発・提供しているSaaSプロダクトの本番環境をお渡しし、実際にさわっていただく場を設けました!
https://layerx.connpass.com/event/229789/
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