ソニーグループ横断のデータ利活用プラットフォーム「Sony Data Ocean」/Pontaのデータ分析レポート公開、、三菱UFJ信託銀行「Dprime」による新商品共創プロジェクト
LayerX Labs Newsletter (2022/03/30-04/05) #149
今週の注目トピック
Takahiro Hatajima(@th_sat)より
ソニーが進めるグループ横断のデータ利活用プラットフォーム「Sony Data Ocean」について紹介します。
併せてデータ利活用最前線として、Pontaのデータ分析レポート公開/東大と日立のビッグデータ活用した価値協創/三菱UFJ信託銀行「Dprime」による新商品共創プロジェクトについて紹介しています。
Section1: PickUp
●ソニーが進めるグループ横断のデータ利活用プラットフォーム「Sony Data Ocean」(SDO)
2021年4月、ソニーは社名をソニーグループに変更し、同じタイミングで新たな中期経営計画も始まった。「One Sony」という方針の下、売り切りからリカーリング(継続課金)型ビジネスへの転換を加速し、事業をまたいだシナジーを引き出していくとしている。その基盤となる取り組みが、グループ横断のデータ利活用プラットフォームである「Sony Data Ocean(SDO)」の構築だ(出所)。
出典:https://www.nikki.ne.jp/itnavi/10000064/project/detail/1/
幅広い事業領域を持つソニーグループでは、各事業で膨大なデータを保有している。SDOは、データを一元的に収集・分析し、ゲーム、音楽、映画など事業の壁を超えた形でグループを横断して安全かつ安心に利活用できる共通プラットフォームを構築し、新しい顧客体験やサービスの開発に繋げる取り組みである(出所)。
SDOには、各事業が持つデータを一元的に収集・分析できるようにして、新しい顧客体験やサービスを開発する狙いがある(出所)。いつ誰がどのコンテンツに接したか分析結果を共有し、自社サービスの利用拡大につなげる。この実現にむけて、各社の担当者がプライバシーやセキュリティーを保ったまま分析データにアクセスし、マーケティングや研究開発などに生かす考えだという(出所)。
出典:https://www.nikkei.com/nkd/company/article/?DisplayType=1&ng=DGKKZO59767090W2A400C2TB1000&scode=6758
具体的な取り組みとして、米国では、エンターテインメント事業を中心に音楽事業が持つミュージシャンのファン層と、ゲーム機のプレイステーション(PS)の顧客層を組み合わせて分析した共同プロモーションを展開している(出所)。このほか、日本では、PSのユーザーの使い方を分析し、ゲームアプリ利用時におけるXperiaスマホのバッテリー制御に生かしている(出所)。
このように、多様な事業展開を行うソニーならではの「データの豊富さ」という強みを生かし、より顧客に近づき、事業の壁を越えた新たなイノベーションを生みだすべく、グループ内の連携強化に繋げている。CDO(最高デジタル責任者)の小寺剛常務は、「ソニー全体でデータを共有財産にする」と強調し、「ソニーはコンテンツごとに熱心なファンを抱える。多様な接点を生かし、エンゲージメントを高めることが収益につながる」と説明している。(出所)
SDOは、各事業部門だけでなく、外部事業者などが提供するデータを一元管理し、それらを分析するアプリケーションを備えている。そしてSDOを使いこなすデータサイエンティストの育成にも取り組む。ソニーコンピュータサイエンス研究所と共同で「データサイエンスラボ」を設置し、データ分析の基礎から応用まで社内研修プログラムを提供している(出所)。
課題としては、「共通ID」および「国を超えたデータ共有」の2点があるとされる。ソニーはサービスごとに独立して異なるデータを集めてきたため、統合するための共通IDがなく、現在はデータ分析から顧客の傾向をつかむにとどまり、個々の利用実態に応じた販売促進策は打ちにくくなっているとされる。中長期ではID統合も視野に入れるものの、同じグループ内でも利用者の理解なしにデータを共有すれば、反発を招くことが懸念されている。「国を超えたデータ共有」においては、地域ごとに異なる法的な壁もあることから、各国の法務部門を中心に数十人のプライバシーチームを立ち上げ、取り組みごとにデータの利用内容や使用範囲を必要最低限に限定するといった工夫をしているという(出所)。
ソニーグループにおける音楽、映画など事業の壁を超えたデータ活用のさらなる進展に期待したい。(文責・畑島)
●データ利活用最前線
Ponta1億人超のデータ分析レポート、計4種類を公開 顧客のペルソナ像を把握可能な生活者データで、企業のマーケティングを支援
共通ポイントサービス「Ponta」を運営する株式会社ロイヤリティ マーケティングは、2022年4月7日、データをビジュアライズして共有するプラットフォーム「Tableau Public」に、会員1億人超のPontaデータを基にした分析レポートを公開した。
企業のマーケティングにおいて重要となるペルソナ像の把握に注目し、性年代・地域などの属性をはじめ、リサーチ結果による志向・価値観まで幅広く分析可能なレポートを提供する。
「Ponta Data Summary」ではPonta会員の性年代の構成比、LMが有する郵送DMやメール広告といったプロモーションチャネルのリーチ数を確認可能で、都道府県ごとに絞り込みも可能。
「Area Type Report」では都道府県ごとに会員の性年代や年収、価値観などの構成比を分析可能。
「Panel Research Report[自動車版]」ではLMが提供するリサーチサービスの専用パネル「自動車パネル」のデータを基に、保有自動車ごとに性年代や年収、職業、価値観などの構成比を確認可能。
「User Flow Report」では東京23区内に居住する会員の、23区内でのPonta利用データを基に、23区内を移動した人の性年代などの属性や価値観などの構成比を確認可能。
クックパッド、食関連メーカーの海外展開をサポートする「グローバルデータソリューション」を提供開始
クックパッド株式会社は、食関連メーカーの海外展開に関する課題解決をサポートするため、クックパッドの投稿データを活用した「グローバルデータソリューション」の提供を開始した。
国内需要の縮小、コロナ禍による商環境などの変化から、海外展開に取り組む食関連メーカーが増加、56.4%の企業が海外展開への意欲を見せている。
輸出先国・地域のニーズを掴み、マーケットインの発想での商品開発が求められているが、コロナの影響等により中小企業は現地の生の情報を得られない状況がある。
クックパッドは世界74ヵ国/地域、32言語で料理レシピ投稿・検索サービス「クックパッド」を展開、各地域の家庭で実際に食べられている料理のレシピやつくれぽが日々投稿されている。
クックパッドのグローバルデータを活用し、海外展開を検討する企業の課題を解決するため「グローバルデータソリューション」の提供を開始する。
各地域で投稿されているレシピデータをもとに、現地で人気の高いメニューをレシピ開発に活用することや、現地のリアルな食トレンド、輸出/輸入する製品の現地需要を把握することが可能になる。
直感よりデータを重視 なぜサイバーエージェントのデータドリブン文化にSnowflakeはマッチしたか
Snowflakeは、2021年 Data Drivers Awardsの受賞者を発表し、株式会社サイバーエージェントがデータドリブンの意味を完全に体現している先駆的な企業に与えられる最上位の賞「DATA DRIVER OF THE YEAR」を受賞した。
Snowflakeを導入する前は、取り扱うデータ量が増えていくことやテーブルやスキーマなどデータベースの設計に関する課題があり、柔軟に多様なデータを分析できるような仕組みを求め色々なサービスを試したが、データの変換にコストがかかっていた。
Snowflakeの導入によって設計の時間が大幅に削減され、コストも安く、投資すればするほど処理速度も上げることができるという。
東大と日立、ビッグデータ活用した価値協創で連携強化--社会課題の解決を推進
東京大学 生産技術研究所(東大生研)と日立製作所は、4月1日付で「ビッグデータ価値協創プラットフォーム工学」をテーマにした社会連携研究部門を設置。ビッグデータ解析基盤などの先端的な情報技術をベースに、データプラットフォームによる社会課題の解決を推進し、持続可能な社会の実現に取り組む。
福井県観光連盟は公式ウェブサイトのアクセス情報など、観光マーケティングに使えるデータを無料で公開して誘客に活用してもらう取り組みを始めた。
QRコードを活用したアンケートも通年実施し、結果をリアルタイムで公開する。2024年春の北陸新幹線延伸を前に実態を「見える化」することで計画策定などに生かしてもらう狙い。
箱根町、「じゃらん」と連携 宿泊や会計情報を可視化 データ活用で活性化目指す
デジタル技術を生かして観光消費の増加を目指そうと、神奈川県箱根町は、リクルートと包括連携協定を締結。
同社の宿泊予約サイト「じゃらん」やキャッシュレスサービスなどで得た統計データを、箱根DMO(町観光協会)へ提供、分析して地域活性化につなげる。
三菱UFJ信託銀行、情報銀行サービス「Dprime」による社会課題解決に向けた新商品共創プロジェクトを開始
三菱UFJ信託銀行株式会社は、パーソナルデータを管理・運用する情報銀行サービス「Dprime」において、個人ユーザーがデータ提供により、企業と社会課題解決に資する商品を共創するプロジェクト(Dprime Lab)を開始。
Dprimeを通じて個人ユーザーから提供される多様なデータをもとに味の調整を行うことはもちろん、廃棄食材の活用を通じて、フードロス削減にも取組む。
損害保険大手のあいおいニッセイ同和損害保険の社長に就任した新納啓介氏が4日までに共同通信のインタビューに応じ、自動車保険契約者の走行データを基に事故の危険度が高い地点を地図にまとめ、4月中に全国の自治体を対象に提供を始めると明らかにした。
データを活用したビジネス強化の一環で、新納氏は「安全な街づくりに役立てていただきたい」と述べた。
酒の好み「見える化」 居住地ほかデータ化、若松・シンク開発へ
ソフトウエア開発などを手掛けるシンク(会津若松市)は、酒の好みに関するデータを出身地や居住地、年代別に集計して「見える化」するシステムの開発に乗り出した。
データを地元の酒造会社や自治体に活用してもらい、商品の開発やPRにつなげることで「酒どころ福島」の魅力向上に貢献したい考えだ。
同社は3月25日から今月3日まで通信大手KDDI(東京)など4社と連携し、東京都でシステムの実証実験を行っている。
末廣酒造(会津若松市)の協力で山廃と純米吟醸を用意した。実験開始から3日間のデータを分析したところ、50代はほぼ同数だが、40代では純米吟醸の方が好まれるといった傾向がみられているという。
オムロンが好業績を続けている。投下資本利益率(ROIC)に基づく経営が奏功し、主力の制御機器とヘルスケアの両事業が好調で2022年3月期の営業利益は過去最高となる見込み。フリーキャッシュフロー(純現金収支、FCF)が拡大し、積み上がった現預金を成長にどう生かすか注目されてきた。2月に医療データ分析のJMDCと資本提携し、データを生かした新たなサービス事業への道筋を描き始めている。
経済産業省と厚生労働省は民間の健康アプリのデータを医療機関で共有しやすくする仕組みをつくる。ウエアラブル端末やスマートフォンで測定・記録する歩数や血糖値などのデータの標準化、プライバシー保護に関する指針を2022年度にも官民で定める。デジタル技術とヘルスケアの融合を進め、病気の予防や医療費の抑制をめざす。
GMOリサーチ:「Tableau」によるデータ可視化サービスの提供を開始直感的なビジュアルでスピーディーなデータ分析を実現
GMOインターネットグループでインターネットリサーチ事業を展開する GMOリサーチ株式会社は、分析プラットフォームの「Tableau」による、定点調査など長期間にわたるアンケート調査のデータを可視化するサービスを提供開始した。
このサービスにより、リサーチしたデータを数表ではなくグラフなどビジュアルで見せることができるようになり、直感的に理解しやすくなる。
また、切り口の変化に加え、焦点を絞った可変可能なグラフとして提供することができ、スピーディーに確認・分析することが可能になる。
個人のデータを事業に活用するにあたって、コンプライアンスや個人情報保護法の遵守、プライバシー保護との両立は大きな課題となっている。
また、仮に法律を守っていても非難が寄せられ、事業を中断する事態が起きている。
このような事態への備えとして、一般社団法人日本データマネジメント・コンソーシアム(JDMC)のAI・データ活用のためのコンプライアンス研究会は「データ活用における『つまずきポイント』の洗い出しチェックリスト記入シート」を作成した。
大日本印刷、自身の健康データを預ける企業を選べる「DNP 健康データ利活用サービス FitStats(フィットスタッツ)」開始
大日本印刷は4月6日、「DNP 健康データ利活用サービス FitStats(フィットスタッツ)」を4月に開始することを発表した。
FitStatsは、2021年に業務提携したFiNC Technologiesとの協業により開発。
生活者本人の同意を得て預かる属性情報や、食事・睡眠・運動・メンタルなどのヘルスケアデータを活用して、企業から生活者の属性や興味・関心に合わせて最適な商品やサービスの情報を届けるサービス。
生活者のヘルスケアデータなどを独自のアルゴリズムで数値化し、健康状態を可視化して生活習慣を見直すきっかけを生活者に提供する。
日本健康会議は、日本健康会議データポータルサイトに「保険者データへルス全数調査 事例集2021」を掲載した。
「日本健康会議」とは、少子高齢化が急速に進展する日本において、国民一人ひとりの健康寿命延伸と適正な医療について、民間組織が連携し行政の全面的な支援のもと実効的な活動を行うために組織された活動体。
各取り組みの概要や体制、実施結果や実績などがまとめられている。
LayerX Labsでは、次世代プライバシー保護・セキュリティ技術Anonifyの正式提供に向けトライアルパートナーの募集を開始、合わせて公式ウェブサイトを公開しました。
「Anonify」の公式ウェブサイトはこちら
Section2: ListUp
1. プライバシー・セキュリティとデータ利活用
●[社説]個人データの保護を強めよう
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK318CF0R30C22A3000000/
●理化学研究所|個人情報管理に最適な新しいシステム
https://www.riken.jp/pr/closeup/2022/20220331_1/index.html
●LAPRAS、ユーザーの個人情報・プライバシー保護に関する特許を取得 〜情報収集の利便性と情報コントロールの安全性を両立し、簡単で安心なポートフォリオの作成を実現〜
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000038.000024729.html
●シンガポール個人情報保護委員会|個人情報保護法に関するアドバイザリーガイドライン
2. 今週のLayerX
●LayerXの決済事業の中身大公開します
https://meety.net/matches/VDZxBGAqjAAY
●【24卒向け】資生堂 × バンダイ/BANDAI SPIRITS × LayerX|WEB会社説明会 (2022年3月SUPER LIVE出演) - YouTube
●LayerX Podcast 【LayerX NOW!】文字起こしあり
https://jobs.layerx.co.jp/01e5ebc5845e4c15ba4d04679dd98786
●#43 入社の決め手は「プロダクトへのワクワク」と「カルチャーへの共感」【ゲスト:セールスチームmochiyy(大竹奈津美)さん】 - LayerX NOW! | Podcast on Spotify
●「”凡才”の私だからこそ、LayerXに決めた」
https://note.com/mizuno19/n/n727dd186a788
●経理10年キャリアからカスタマーサクセスになったドメインエキスパートの話
https://note.com/shunnar/n/ne6e3be604311
●30代でスタートアップに初挑戦 【入社エントリ】|大竹|LayerX|note
https://note.com/otake_natsumi/n/na7e31e673ca9
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