LayerX Newsletter for Biz (2021/01/20–01/26)

Issue #92

今週の注目トピック

Takahiro Hatajima(@th_sat)より

「秘密計算を用いたデータ分析のユースケース概況」と「エストニアのインターネット投票の概要」についてまとめました。

あわせて、話題になった「21年春銀行口座を介さずに給与デジタル払いが可能に」を紹介しています。

Section1: PickUp

秘密計算を用いたデータ分析のユースケース概況

エストニアのインターネット投票「i-Voting」の概要

  • 先日のFinancial Times誌において「Estonia leads world in making digital voting a reality」という記事が掲載された。この記事で紹介されているエストニアのインターネット投票「i-Voting」について、日本・エストニアEUデジタルソサエティ推進協議会の資料「エストニアのインターネット投票について」および行政&情報システム2018年6月号「エストニアのインターネット投票の現状と可能性」をもとに概観したい。「i-Voting」は、大きく「インターネットを通じた投票の実施」「投票の集計」「集計結果発表後に集計で用いた鍵を廃棄」を行うものである。(参考資料:”Internet voting in Estonia”, 「電子投票の原則を満たす上で必要な技術要件」「電子投票のフレームワークと実装(鍵管理、投票者識別、署名、投票の検証、開票、監査まで)」、公開分のソースコード

  • エストニアにおけるインターネット投票の歴史は、2005年に地方議会選挙でインターネット投票のパイロットを実施したことに始まる。その後、2007年に国政選挙でインターネット投票を行い、2019年の欧州議会選挙では、投票者の46%がインターネット投票を利用したという。(出典

  • 次に、インターネットの投票の位置付けについて見てみる。投票が可能なのは選挙日の4日前までとなっており、投票受付期間内であれば、何度でも再投票ができる(再投票はインターネット投票にのみ認められているものであり、これは投票の秘密と自由を保障するために不可欠と判断されたという)。紙による投票が行われた場合、インターネット投票は無効となる。このように、インターネット投票は期日前投票の位置付けであり、優先順位は「①紙投票、②インターネット投票」となっている。(出典

  • インターネット投票のプロセスを見る前に、紙投票のプロセス(居住地外の投票)を確認しておくと、投票の秘密を確保するために「二重封筒」という仕組みになっているのが特徴だ(出典)。

    • 投票者に対して「投票用紙」と二種類の封筒(匿名封筒と外部封筒)を提供する

    • 匿名封筒には「記入済み投票用紙(投票者の情報はふくまない) 」を入れて、匿名封筒を外部封筒の中に入れる

    • 外部封筒には、投票者を特定する情報が記載される

    • 外部封筒は開票日に開封される

    • 外部封筒の中にある匿名封筒が開封されて、外部封筒は処分される

    • 最後に、匿名性が確保された「記入済み投票用紙」を確認する

出典:https://www.slideshare.net/ManabuMuta/ss-241813725?ref=https://www.jeeadis.jp/

出典:https://www.valimised.ee/sites/default/files/uploads/eng/IVXV-UK-1.0-eng.pdf

出典:https://www.slideshare.net/ManabuMuta/ss-241813725?ref=https://www.jeeadis.jp/

  • インターネット投票の具体的なオペレーション手順は以下のようになっている(出典)。

    • 投票者はIDカードをカードリーダーに挿入する。

    • 選挙のwebサイトを開く。

    • 投票アプリケーションをダウンロードして実行する。

    • 認証用PINコードを入力する(投票者の特定)。

    • 選挙区の候補者リストが表示される。

    • 投票する候補者を選択する。

    • 署名用PINコードを入力して、自身の選択を確認する(投票の意思表示)。

    • 投票後、投票データ到達検証アプリを使って 投票内容の到達を確認できる。

出典:https://www.slideshare.net/ManabuMuta/ss-241813725?ref=https://www.jeeadis.jp/

21年春銀行口座を介さずに給与デジタル払いが可能に

LayerXではエンタープライズ向けブロックチェーン基盤を基本設計、プライバシー、インターオペラビリティーの観点から比較したレポートを執筆し、公開しています。

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Section2: ListUp

1. プライバシー・セキュリティ

次世代のデータ共有を可能にするプライバシー強化技術|Deloitte Analytics|デロイト トーマツ グループ|Deloitte

DeFi向けオープンソースオラクルプラットフォームのDIA (Decentralised Information Asset)、IBMクラウドのConfidential Computing利用しクラウド環境で金融データ保護

アメリカ政府がスマートフォンの位置情報データを令状無しで購入していたことが明らかに

Confidential Computingのランドスケープについて | Edgeless Systems

2. 分野間連携・スマートシティ

スマートシティの実現に向けた新ブランド「SocietyOS™」を創設 | NTTデータ

データヘルス改革 集中改革プラン~いよいよPHRシステムが稼働 | ニッセイ基礎研究所

電通、データ流通の情報銀行 地方にも展開へ

NIKKEI CHANNEL | スマートシティ・インスティテュート特別フォーラム 日本型デジタル社会実現に向けたオール・ジャパンサミット

PwCアドバイザリー、スマートシティ事業化支援を本格展開 事業収益化&データ活用法とは?

3. デジタルガバメント

「LINE SMART CITY GovTechプログラム」に カレンダーで空き時間を確認して施設やサービスを予約できる機能を追加 新型コロナワクチン接種の予約システムへの活用も可能に

ブロックチェーン用いた投票トライアルがインドで実施へ

つくば市、スーパーシティ構想 先端技術集め 区域指定挑む

デジタルIDが消滅可能性都市を救う!?石川県加賀市で普及が進むマイナンバーカード

4. デジタル化へむけた政策議論

「キャッシュレス決済の中小店舗への更なる普及促進に向けた環境整備検討会」第5回検討会を開催しました (METI/経済産業省)

5. 中銀デジタル通貨

BIS国際決済銀行がデジタル通貨・DLT分散台帳技術について発表した3本のペーパーについて

世界経済フォーラムWEFのデジタル通貨ガバナンスコンソーシアム、ブリーフィングペーパーを発表

「デジタルルーブルの銀行および顧客へのインパクト」についてのロシア連邦中央銀行のレポート

BIS Innovation Hub、2021/2022プログラムにおいて、既存2本(Helvetia、Inthanon-LionRock)に加えて、複数ホールセールCBDC用いたクロスボーダー決済、リテールCBDCの新規プロジェクト2本を発表

6. デジタル金融

個人マネー過熱、当局警戒 米中小型株が赤字でも急騰:日本経済新聞

金融審議会委員に、“京都大学公共政策大学院教授 岩下直行”氏、 “早稲田大学基幹理工学部教授 佐古和恵”氏

Huaweiと上海浦東発展銀行が昨年秋に発表した「Bank of Things」ホワイトペーパーに関する記事

シンガポールDBS、法人顧客むけに監査確認ソリューションを展開へ

7. デジタル証券

SBIと三井住友FGが株の私設取引所 22年春にも開設:日本経済新聞

シンガポール証取SGXとTemasekが、資本市場上のスマートコントラクトおよびトークン化に特化したJVを組成へ

8. ブロックチェーンユースケース事例

IATAの開発したクレデンシャルソリューションTravel Pass、BA・シンガポール航空・エミレーツ航空・カタール航空などがトライアルに参加へ

保険コンソーシアムB3i、欧州保険会社との協業通じて海上保険リスクを保険会社間で行うソリューションをローンチ

State Farm保険とUSAA、自動車保険請求むけブロックチェーンソリューション開発を発表

英国国民保健サービス(NHS)、ブロックチェーン用いてCOVID-19ウイルス向けワクチンの温度トラッキング

Hedera Hashgraphのブロックチェーンを用いてファイザー社のワクチンの温度をトラッキングするもの

オラクルの提供するBlockchain Tablesの事例。イタリアの製薬会社、Angelini Pharma。製薬のIoTデータの耐改ざんに利用

中国の最高人民法院におけるブロックチェーン証拠受け入れにむけた草案

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