LayerX Newsletter for Biz (2019/11/11–11/17)

Issue #33

今週の注目トピック

Eisuke Tamotoより

今週のBiz編Pickには、Ant Financialによるブロックチェーンアライアンスの動きや、シンガポール金融管理局によるブロックチェーン活用アライアンスの動きといったアジア地域のブロックチェーン実用化に向けた大きい動きがpickされました。List編も合わせてご覧くださいませ

Section1: PickUp

Ant Financial、中小企業のエントリー向けに低コストでブロックチェーンサービスネットワークを提供するAnt Blockchain Open Allianceを発表

  • Ant Financialは、中国Eコマース大手Alibabaの子会社でAlipayを運用するプレイヤーだが、このほど、企業向けブロックチェーンプラットフォームのテストを開始する旨を発表したので、その概要を俯瞰したい。

  • プラットフォームは「Ant Blockchain Open Alliance」という名称であり、3カ月の試験運用を行なった上で、2020年2月のローンチが予定されている。その利用対象として、中小企業による活用を見込み、金融からヘルスケアまで幅広い業種における顧客サポートを目的とする。

  • ユースケースとしては、クロスボーダー送金・医療費合理化・サプライチェーンファイナンスなど40以上の業務にブロックチェーンを適用することが想定されている。

  • エンタープライズブロックチェーンが比較的コストが高く、中小企業がブロックチェーンを用いたサービスを開発したり利用する機会が少ないことを問題として捉え、中小企業のコスト削減や事業拡大をサポートすべく、サードパーティなどによるBaaS上のサービスを利用可能にしていくとのことだ。

  • プラットフォームはグローバルに開放し、開発者・企業が利用可能。信頼できるネットワークを構築するため、承認に権威づけをすべく、教育機関や認証機関などをノードに組み入れる予定。地域軸ではなく、業種軸に基づいてパートナー選定が行われるとのこと。

  • Alibabaクラウドを基盤として構築され、Enterprise Ethereum、Hyperledger Fabric、Quorumなどとの相互互換も提供するとのこと。Alibabaのブロックチェーン活用は、先月のカンファレンスでも今後の展望が示されており(10/1付Newsletter参照)、IT企業による金融分野の取り組みとして、引き続きその動向に注目していきたい。

シンガポールMASやJP MorganらによるProject Ubinがクロスチェーンでの決済の実証を実施

  • シンガポール金融管理局(以下、MAS)はJP MorganやTemasekらとともにProject UbinのPhase5の実証実験を行ったと発表した。今回の実証実験を通じて、JP Morganが提供するプライベートチェーンをベースにクロスチェーンでの決済を実現したと説明されている。これにより、通貨のリアルタイムグロス決済や、チェーンを跨いだ証券と資金のDvP決済の実現が可能になると説明されている。

  • 「今回の実証実験を通じて、他国の中央銀行もブロックチェーン技術に興味を示し、世界各国の銀行でブロックチェーンを通じた国際決済ネットワークを構築できるようになることを望む」とMASの担当者は発言している。

  • MASは2017年ごろよりブロックチェーン技術の活用を目指してProject Ubinを発足させてきた。現在は金融機関・非金融機関合わせて40近い企業がこのプロジェクトに参画している。Phase1・2の段階では、R3社と協働でデジタルシンガポールドルの発行と銀行間決済の実証実験に取り組んでいる。さらにPhase3ではJP Morgan社と協働で、スマートコントラクトを利用したDvP決済の実証を、Phase4ではCordaベースに開発しているカナダ中央銀行とのクロスチェーンによる国際送金の実証実験を実験している。今回のPhase5はその開発基盤をベースにクロスチェーンでの様々な決済を視野に入れて実証実験が行われたと言えよう。

  • 今回のProjectについては2020年始めに同じくこのプロジェクトに三角しているAccenture社を中心に実証レポートが出されると発表されているほか、公開ソースとして開発情報の公開も行われると報じられている。2年を超えるプロジェクトの結果としてどういったものが発表されるのか要注目である。

Bitski Walletがシードラウンドで、$1.81 millionを調達

  • 2019年11月13日、Bitski Walletが、Galaxy Digital、Winkleboss Capital、Coinbase Venturesらから合計$1.81 millionを調達したことが報じられた。同社は2018年末にもプレシードラウンドでも調達を行なっており、累計調達額は、$3.54 millionに及ぶ。

  • Bitskiウォレットは、同社のSDKを通して連携できる点が最大の特徴のひとつであり、Ethereum上でスポーツの勝敗に賭けることができる「YouNow」と連携していることでも話題になっている。

  • ウォレット普及の課題は、鍵管理の難しさが原因のひとつと考えられているが、同社はHSMと生体認証を組み合わせた、中央集権型のハードウェアで鍵を管理するカストディアル型を採用しており、鍵管理の困難さを取り除いたことを利点として挙げている。

  • 鍵管理については議論が分かれる中、モバイル端末そのものにウォレットが内蔵されるタイプも多く登場し始めている。11月12日には、Binanceが、Binance ChainとBinance DEXへのネイティブ対応を施した限定版htc Exodus1を提供することを発表し、中には同社傘下のTrust Walletも内蔵されることが明らかになっている。今後も各社がユーザビリティの課題をどう乗り越えるかに注目していきたい。

Section2: ListUp

(リンクはこちら

1. Regulation : 規制動向(「中国人民銀行、大口送金を制限する政策を発表」など)

2. Crypto Adaptation: 暗号通貨の普及・応用(「米仮想通貨大手三社、確定拠出年金と個人退職口座を提供へ」など)

3. Decentralized Finance : DEXやトークンなど(「Compound、a16z等から$25mをシリーズA調達」など)

4. Programable Security : プログラマブル証券関連(「HSBCがSGXやTemasekとともにブロックチェーン上での社債発行に向けて取り組みを開始すると発表」など)

5. Financial Institutions : 金融機関による応用ケース(「平安保険グループのブロックチェーン子会社OneConnect、2つのレンディングプラットフォームを同時発表」など)

6. Enterprise/Government : 非金融分野の応用ケース(「Walmart Canada、トラック業者70社との配送データ共有ソリューションを開発」など)

7. Startup : 個別プレイヤー・アプリケーション(「POWSAWP、Bitcoinハッシュレートのデリバティブプロトコル」など)

8. Articles : 論考(「地味な方のブロックチェーンがもたらす幻滅、からの…」など)

9. Future Events : 注目イベント

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