LayerX Newsletter for Biz (2019/11/04–11/10)

Issue #32

今週の注目トピック

Eisuke Tamotoより

今週のBiz編では、香港&中国のブロックチェーン分野での提携の発表のほかCoinbaseによるtezosステーキングの実施やMUFGによるブロックチェーン活用の動きを取り上げました。リスト編とともにご覧くださいませ。

プログラマブル証券の呼称について(再掲)
LayerXは社内において従来「証券トークン(Security Token (略称ST))」と呼んでいたものを「プログラマブル証券」(Programmable Security(略称PS))と定めました。それに伴いLayerXニュースレター内の証券トークンの呼び方もPSに変更いたします。
変更した理由は、「(デジタル化も含めた)ブロックチェーン×証券」で実現できる効果はプログラムの特長によって生まれるものであり、それを反映させたネーミングした方がその意味合いがより認知される、と考えたためです。我々は実現できる効果として以下の二つが主に存在すると考えています。

  • 1:法規制のプログラム化+デジタル化→法準拠の確度向上+管理コスト低減

  • 2:スマートコントラクトによる自動執行→執行にかかる費用&時間コスト削減+複数主体の参加実現

Section1: PickUp

香港、取引所ライセンス関連ルール中国人民銀行との連携などの取組みを発表テンセントも香港で銀行開設へ

  • 香港ではこのほど11/4–11/8の日程で、Hong Kong FinTech Weekと称して、FinTech関連のイベントが開催された。その中で、暗号資産・ブロックチェーン関連のトピックも複数登場している。既報のとおり、香港を巡る政治事情が複雑化している中でもあり、香港の微妙な立ち位置も考慮する必要があるが、今回発表されたトピックを俯瞰しておきたい。

  • まず1つ目は、香港証券先物委員会(SFC)より、取引所やカストディ企業を含む仮想通貨関連事業のライセンスに関するルールが公表された。ライセンス付与する規制対象を「少なくとも1つのセキュリティートークンを含む仮想資産」を取り扱うものとしている。「ビットコインや、その他仮想通貨は有価証券に該当しない。SFCの規制対象になるのは、セキュリティトークンと仮想通貨の先物契約のみ」としたのは特徴的だ。

  • 次に、香港金融管理局(HKMA)からはブロックチェーン関連で3つのトピックが発表された。中国人民銀行(PBoC)との間でトレードファイナンスプラットフォームの連結へむけたPoC実施について、MoUを取り交わしたことを発表。中銀デジタルマネーにおいて、中国人民銀行(PBoC)と香港金融管理局(HKMA)とが協業する姿勢を明らかにしたことになる。また、HKMAは、タイ中央銀行との間でも、クロスボーダーペイメントへの中銀デジタル通貨応用へむけ、HKD-THBのPvP取引プロジェクトを実施中であり、2020年初に共同レポート発表予定であると発表した。加えて、11月に開設されたBISのInnovation Hubでは、トレードファイナンス分野での分散台帳利用を探索予定とも発表しており、中華圏以外も含めた中銀ネットワークの中で、存在感を発揮しようとする姿勢がみてとれる。

  • こうした中にあって、Tencentが、香港で銀行開設の準備を進めていることを明らかにした。これは、烏鎮で開催されたWorld Blockchain Summitにおいて発表されたもの。現時点において詳細は不明確だが、規制当局のライセンス付与を受けて、独自のブロックチェーンベースのバンキングプラットフォームを導入するとされる。

  • Tencentによるブロックチェーン分野の金融ソリューションは、すでに多くの機関に導入されている。例えば、深セン市では、TencentのサポートのもとにブロックチェーンベースのTax Invoiceが発行されており、
    ITU-Tでも、ブロックチェーンinvoice国際標準化をリードすることが発表されたばかり(11/6付Newsletter)。また、Tencent傘下のWeBankは、デジタルアイデンティティ(WeIdentity)やイベント駆動プロセス(WeEvent)等のコンソーシアムを設立しているほか、自動車保険むけにブロックチェーンベースの自動車データベースを発表している

  • 香港については、政治動静を巡る動向に加えて、こうした暗号通貨・ブロックチェーンの動向にも、引き続き注視していきたい。

● Coinbaseが一般ユーザーを対象に、Tezosのステーキング機能の提供を開始

  • 2019年11月7日、米国の暗号資産取引所のCoinbaseが公式ブログ上で、一般ユーザー向けに、取引所内で管理している通貨に対し、ステーキング報酬を付与するサービスを提供することを発表した。

  • 同社のステーキングサービスは、Tezos(XTZ)からスタートされる。推定年間リターンは、過去90日間の実績に基づき、5%で見積もられている。初期のホールディング期間として、Coinbase内にTezosを35~40日程度預けることで、3日毎に自動的に報酬を受け取れる仕組みとなっている。

  • 今年に入り、大手取引所の間でステーキングサービスを開始する流れが本格化している。世界最大級の取引所であるBinanceは、9月末より8通貨でのステーキングサービスの提供を開始しており、大きなニュースとなった。一方、法人や機関投資家の顧客向けには、カストディサービスを提供するBitGoがステーキングサービスを提供する動きも見られており、今後も同様の流れが続いていくものと考えられる。

  • また、Coinbaseベンチャーキャピタルの出資するステーキングサービス企業「Staked」では、スマートコントラクトを活用して、DeFiプロトコルの間で、資産を運用する独自のロボットアドバイザーサービスを開始している。ステーキングの枠に留まらない、新しい資産運用サービスの登場に、期待していきたい。

MUFGがブロックチェーンを利用した次世代金融取引サービス開発へ着手したと発表

  • MUFGはブロックチェーンを利用した次世代金融取引サービス開発への着手を発表するとともに、「ST研究コンソーシアム」を結成すると発表した。ブロックチェーン技術を活用して証券決済・資金決済の一元的な自動執行を可能にしつつ、 投資家の権利保全も併せて実現する基盤の提供を目指すとしている。

  • 今回のコンソーシアム事務局の運営は三菱UFJ信託銀行が三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券および三菱 UFJ 銀行の 2 社と連携して担うほか、法人向けを中心とした媒介者として三菱UFJモルガン・スタンレー証券が、将来的な商品組成検討として三菱UFJ銀行が中心を担うと発表されている。資金調達・投資検討者にKDDIやNTT、三菱商事などが名前を連ねるほか、アレンジ・媒介検討者として日本証券金融やあずさ監査法人などが名前を連ねるなど、多くの日本企業がブロックチェーンを利用した証券システムに興味を示していることが窺われる。

  • 9月末にはSBI主導でSTO協会の設立が発表される(Newsletter 27号で取り上げております)等、日本でもブロックチェーン x 金融の分野での実装に向けた動きが着々と進んでいる。LayerXも今回MUFGとの協業を発表し、彼らが主導するコンソーシアムにテクニカルパートナーとして参画している。ブロックチェーンの社会実装に向けてこの分野は目が離せないほか、弊社もテクニカルパートナーとして社会実装に貢献できるようより一層尽力していく次第である。

Section2: ListUp

(リンクはこちら

1. Regulation : 規制動向(「FATF、顧客デューデリジェンスにおけるデジタルアイデンティティ利用に関するガイダンス草案を発表」など)

2. Crypto Adaptation: 暗号通貨の普及・応用(「Coinbase、第一弾をTezosとしてステーキングサービスをローンチ」など)

3. Decentralized Finance : DEXやトークンなど(「Dai、発行上限の1億トークンに到達」など)

4. Programable Security : プログラマブル証券関連(「Token Taxonomy Initiativeがトークンの分類スタンダードを公表へ」など)

5. Financial Institutions : 金融機関による応用ケース(「Bank of Chinaの保険部門が保険ブロックチェーンをローンチ」など)

6. Enterprise/Government : 非金融分野の応用ケース(「Volvo、バッテリー原料コバルトをブロックチェーンで追跡」など)

7. Startup : 個別プレイヤー・アプリケーション(「Arweave、ブロックチェーンベースのデータストレージ」など)

8. Articles : 論考(「ブロックチェーンは証券エコシステムをどうアップデートできるのか?」など)

9. Future Events : 注目イベント

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