LayerX Newsletter for Biz (2019/10/07–10/13)

Issue #28

今週の注目トピック

Eisuke Tamotoより

今週のBiz pick編も金融系のトピックが多く並びました。特にBIS、SIXらによる金融機関間セトルメント用通貨の開発は要注目です。Libra脱退ニュースなどが注目される一方で、DLT活用に向けて決済用通貨開発の動きは金融機関主導で各国で進められていることがわかります。
その他、PS社債発行や、米国規制機関によるデジタルアセットへの言及などホットなニュースが並んでいます。今週もlist編と合わせてご覧くださいませ。

プログラマブル証券の呼称について(再掲)
LayerXは社内において従来「証券トークン(Security Token (略称ST))」と呼んでいたものを「プログラマブル証券」(Programmable Security(略称PS))と定めました。それに伴いLayerXニュースレター内の証券トークンの呼び方もPSに変更いたします。
変更した理由は、「(デジタル化も含めた)ブロックチェーン×証券」で実現できる効果はプログラムの特長によって生まれるものであり、それを反映させたネーミングした方がその意味合いがより認知される、と考えたためです。我々は実現できる効果として以下の二つが主に存在すると考えています。

  • 1:法規制のプログラム化+デジタル化→法準拠の確度向上+管理コスト低減

  • 2:スマートコントラクトによる自動執行→執行にかかる費用&時間コスト削減+複数主体の参加実現

Section1: PickUp

国際決済銀行(BIS)、金融機関間セツルメント用デジタル通貨へむけてスイス国立銀行(SNB)・スイス証取(SIX)と共同研究へ

米国フードフランチャイズ大手のFAT BrandsがCadenceを利用してethereum上での社債発行へ

  • Fat burger等複数の飲食フランチャイズチェーン展開を進めるFAT Brands社がCadenceと提携し、Ethereum上での社債発行を行うと発表した。Nasdaq上場企業であるFAT Brands社がブロックチェーン債を発行するという点で注目される。

  • 今回の社債は、米国証券法の例外規定であるRegDやRegSを利用した発行が計画されておりいわゆる適格機関投資家限定の私募社債になる見通し。社債発行合計額として30M$が予定されている。今回の社債は無担保債では無く、各フランチャイズ事業からの収益が担保として付された形になる予定だ。また、発行する社債に、Morning star社のPS向け社債レーティングシステムを利用して格付けをつける見通し。(大手社債格付け機関、Morning star社のPSレーティング事業への参入については先週のBizニュースレター List編「5. Financial Institutions : 金融機関による応用ケース」でも取り上げています

  • ただ、最初からブロックチェーン上で社債を発行する訳ではないことに注意する必要がある。発行当初は通常の社債発行と同様に紙面上での社債発行契約を結んで各投資家に社債が発行される。発行後に持分情報などをブロックチェーン上に置き換える形でブロックチェーン債となるスキームをとると報じられている。

  • 今回ブロックチェーン債発行に中心的役割を果たすCadence社は既に16プロジェクトの社債発行で合計17M$の社債発行を済ませていると報じられている。今回のプロジェクトが成功すれば彼らにとって最大のプロジェクトとなり今後のブロックチェーン債発行に弾みがつくものと思われる。Cadenceはbloombergとも提携しており、発行社債の情報が金融機関向け情報プラットフォームbloomberg terminal上で閲覧可能になっている。(ニュースリンクは、7/16発行のBizニュースレターlist編で取り上げております)金融商品としてのブロックチェーン債としての実用例がもっとも進んだケースの一つとして今後も注目していく必要があるだろう。

CFTC、FinCEN、SECが、デジタルアセットに関する共同発表を公開

  • 2019年10月15日、アメリカの金融規制当局であるCFTC、FinCEN、SECの3組織らが共同で、デジタルアセットをともなう活動を行う事業者に対する声明を公開した。これらの3組織が揃って声明を出すことは、異例とされている。

  • 本声明は、デジタルアセット(暗号資産を含む)が関わる活動に従事する主体は、同国の銀行秘密保護法(Bank Secrecy Act、BSA法)に基づき、AML/CFTの対策を施す義務があることについて、再度理解を促す内容となっている。

  • AML/CFT義務の係る、BSA法の適用対象となるのは「金融機関(Financial Institutions)」となっている。声明内では、先物契約の販売を行うものや、CFTCへの登録を義務付けられているブローカーに紹介する事業者、FinCEN定義の下「Monery Service Businesses」を提供するものや、SECへの登録を義務付けられているブローカーディーラーやミューチュアル・ファンドが、具体的な事業者の例として挙げられている。上記に該当する事業者は、それぞれの事業体制に応じて、有効なAML対策を施すと同時に、各種記録の保持や疑わしい取引を報告する体制の構築などが求められることになる。

  • 現在「デジタルアセット」の語義には、証券やコモディティ、そしてこれらをベースに組成した先物やスワップ契約など、多岐に渡る商品が括られている状態となっている。しかし一方で、近年デジタルアセットに関わる事業者の間で、CFTCやSECなどの主体が規制対象としている「デジタルアセット」の範囲に該当しないとの説明を行なうことで、同国における規制回避を試みるケースが散見されていたため、問題となっていた。今回の声明は、事業者内における当該デジタルアセットについて、現実の実態に即した規制が適用されることを宣言した格好となり、背景に当局がこうした動きを今後より強く牽制していきたい、という狙いが伺える。今後も同国の規制動向について、注目していきたい。

Section2: ListUp

(リンクはこちら

1. Regulation : 規制動向(「米SEC、Bitcoinは証券に該当せずとの見方」など)

2. Crypto Adaptation: 暗号通貨の普及・応用(「UNICEF、クリプトファンドを創設」など)

3. Decentralized Finance : DEXやトークンなど(「Maker DAO、マルチコラテラルDAIのローンチを11/18と発表」など)

4. Programable Security : プログラマブル証券関連(「tZEROが主導するボストンST取引所がST取引所としてSECから認可獲得の見通し」など)

5. Financial Institutions : 金融機関による応用ケース(中国建設銀行、一昨年にローンチしたトレードファイナンスプラットフォームをアップデートへなど)

6. Enterprise/Government : 非金融分野の応用ケース(「ホンダやBMW、MOBIを通じて自動決済の実証実験へ」など)

7. Startup : 個別プレイヤー・アプリケーション(「e-sign、エストニア初のブロックチェーンを活用した電子契約サービス」など)

8. Articles : 論考(「FIN/SUM2019における日本銀行企画セッション「プロジェクト・ステラ:DLTと決済インフラの未来の探究」の模様」など)

9. Future Events : 注目イベント

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