LayerX Newsletter for Biz (2019/09/02–09/08)

Issue #23

今週の注目トピック

Eisuke Tamotoより

今週はpick記事に金融分野から2記事、自動車産業から1記事が並んだ。金融分野では、法規制に準拠した形で独自で環境を整備していこうとする動きが米国内で進んでいることがわかる。自動車産業分野も他技術との応用でブロックチェーンを活かしていく姿勢が窺われる。

プログラマブル証券の呼称について(再掲)
LayerXは社内において従来「証券トークン(Security Token (略称ST))」と呼んでいたものを「プログラマブル証券」(Programmable Security(略称PS))と定めました。それに伴いLayerXニュースレター内の証券トークンの呼び方もPSに変更いたします。
変更した理由は、「(デジタル化も含めた)ブロックチェーン×証券」で実現できる効果はプログラムの特長によって生まれるものであり、それを反映させたネーミングした方がその意味合いがより認知される、と考えたためです。我々は実現できる効果として以下の二つが主に存在すると考えています。

  • 1:法規制のプログラム化+デジタル化→法準拠の確度向上+管理コスト低減

  • 2:スマートコントラクトによる自動執行→執行にかかる費用&時間コスト削減+複数主体の参加実現

Section1: PickUp

清算・決済システムを提供するDTCCが金融分野でのコンソーシアムチェーン利用のガイドラインを発表へ

  • 米国で清算・決済サービスを提供するThe Depository Trust & Clearing Corporation(DTCC)社がAccentureと協力して金融分野でのエンタープライズブロックチェーン活用におけるガイドライン策定を進めると発表した。

  • 金融分野で取り組みが進められいるコンソーシアムやプライベートチェーン活用に対して、必要な技術的要件基準などを規定することがこのガイドラインの目的とされている。特に「ガバナンス」の面に重点をおいたガイドラインにすると説明されている。単に「ガバナンス」というワードでも多義的であることから具体的に分解して必要要件を明らかにしていく予定だ。今月中にはAccentureとともにガイドラインのホワイトペーパーを発表し、その後パブリックコメント募集期間を設ける予定とのこと。その後正式なガイドラインとして発表する。

  • Goldman SachsとJPMorganに支援を受けているAxoni社が開発するEthereumベースのAxCoreを利用して決算台帳を置き換えようとする取り組みをDTCC社は別途進めている。DTCC社は今後この取り組みでコンソーシアムを広げる際は今回作成するガイドラインに則った形で展開していくと説明している。

  • 証券分野に対しては各国ともに法制度が進んでいるものの、金融インフラにおけるブロックチェーン応用については規制がなかなか進んでいないのが現状であった。その背景には、ブロックチェーンコンソーシアムという動きは、ライセンスを与えた一機関によるインフラ整備という既存の規制の枠ぐみとは異なる動きであることも一因として存在すると言えよう。そんな中で、既存の金融プレイヤーから独自ガイドライン策定の動きが出てくるのは環境整備に向けて要注目の動きである。

中国メルセデスベンツ、中古車の残価自動計算・売却価格提示プラットフォームを開発

  • 北京メルセデスベンツ販売(BMBS)が、中古車の残価を自動計算するブロックチェーンプラットフォームを開発した。中国のブロックチェーン企業PlatOnと共同開発したもの。中古商用車がそれぞれ保有するデータを保存した上で、その時点における車の残存価値を自動計算し、売却価格を提案する。

  • 計算には静的および動的データを利用することができ、それぞれのクルマに残っている価値を計算することによって、将来的な下取りを見越して、残存価値を加味してローンを組み、車両自体を通常より安価に購入することが可能となるとのこと。自社のみでなく、自動車ディーラー・検査会社など中古車市場全体に公開される予定。

  • 中国では、オンライン売買プラットフォームの普及によって中古車市場が急拡大しており、こうした残価管理プラットフォームの開発は、市場の拡大と取引の安全性を高める動きの一環。

  • このほか、自動車部品大手の独Continentalからも、データマネタイズプラットフォームが発表されている。「Earn As You Drive」アプリと呼ばれるもので、ドライバーは情報共有に同意することでアプリを使うことができるようになり、駐車場の空き情報をContinentalに対してシェアすることによって、ブロックチェーン上のデジタル通貨を稼ぐことができる。このようにしてContinentalが得た駐車場の空き情報は、駐車場運用業者などの第3者に提供されるとのこと。

  • 自動車のコネクテッドデバイス化が進展する中で、ブロックチェーン技術と自動車の接点となるケースが増えている。それぞれの自動車に紐づいて蓄積された様々なデータを用いて残存価値をリアルタイムに評価したり、運転者が情報をシェアすることによって自身のデータをマネタイズすることができたりするなど、従来なかった新たなサービスが出現するようになってきており、今後のさらなる進展が期待される。

OpenLawが「LAO」のローンチ予定について発表:米国証券法に準拠したDAO

  • 2019年9月4日、ConsenSys企業のひとつであり、リーガルスマートコントラクトを提供するOpenLawが、米国証券法に準拠したDAOである、「LAO」のローンチについて、公式ブログ上で発表した。現在、アーリー版として、ユーザー登録を受け付けている。

  • 同社のブログの導入部では、人類は組織を形成することで、取引コストを下げることに成功し、急速な市場の変化に対応できるように進歩してきた存在であるとし、とりわけDAOにおける分散型のファンド運営のコンセプトは、そのコストを下げて効率性を高める意味で、革新的なものであったとの説明がなされている。

  •  一方で、DAOはブロックチェーン技術に基づきつつも、米国証券法による規制を免れ得るものではなかったと同時に、かの有名なスマートコントラクトの問題も抱えており、成功を収めたとは言い難い状態であった。ここでOpenLawは、同社の提供するリーガルスマートコントラクトを組み合わせ、法に準拠したDAOであるLAOを開発した。

  • LAOでは、資金調達を行うために必要な、一連の流れ(米国のデラウェア州に法人を設立するための手続きや、契約まわりの手続き等)がすべてOpenLawのリーガルコントラクト上に用意されている。

  • LAOに参加するメンバーは、LAO上にETH(ないしはDAI)をデポジットし、議決権となるLAOトークンを用いて投資先プロジェクトを投票で決定し、その投資の見返りとして、当該プロジェクトの発行するトークンを受け取ることができる。なお、議決権を持つメンバーになれるのは、適格投資家に限られている他、Moloch DAO同様、LAOには、Ragequit機能が実装されている。(投資家が任意のタイミングで、議決権を返還する代わりに、ロックしたETHを回収することができる。)

  • 過去には、米国SECがDAOの適法性について嫌疑を示したことを発端に、ICOブームが終息の兆しを見せ始めた経緯がある。今回登場したLAOが、プロジェクトと投資家の両方からどのように受け止められるのか、引き続き注目である。

Section2: ListUp

(リンクはこちら

1. Regulation : 規制動向(「事務ガイドラインパブリックコメント概要と金融庁の考え方公表」など)

2. Crypto Adaptation: 暗号通貨の普及・応用(「Huobiブロックチェーンスマホ発売へ」など)

3. Decentralized Finance : DEXやトークンなど(「Tether、商品バスケット連動型のステーブルコイン提供を計画」など)

4. Programable Security : プログラマブル証券関連(「AUM700BファンドのFranklin Templetonが政府マーケットファンドの持分トークン化に向けて予備目論見書を提出」など)

5. Financial Institutions : 金融機関による応用ケース(「野村ホールディングスと野村総合研究所、BOOSTRYを設立」など)

6. Enterprise/Government : 非金融分野の応用ケース(「ブラジルのサンパウロ市、公共事業の登録にブロックチェーン利用へ」など)

7. Startup : 個別プレイヤー・アプリケーション(「LSDai、rDAI用いた金利スワップ」など)

8. Articles : 論考(「CryptoKittiesは内部マーケットでどの程度収益を出しているのか?」など)

9. Future Events : 注目イベント

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