E2E電子投票プロトコル「Epoque」/mTLSを使ったEnclave間の通信
LayerX Labs Newsletter for Tech (2021/09/22-09/28) Issue #124
今週の注目トピック
Takahiro Hatajima(@th_sat)より
量子耐性を備えた検証可能なE2E電子投票プロトコル「Epoque」を紹介しています。
あわせて、Anonify解体新書5では「mTLSを使ったEnclave間の通信」と題して、mutual-TLS(mTLS)を使って複数のEnclaveアプリケーション間でデータ通信をする方法について解説します。
Section1: PickUp
(詳細は記事タイトルをクリックするとScrapboxへ)
●【EuroS&P 2021】量子耐性を備えた検証可能なE2E電子投票プロトコルEpoque
E2E e-voting プロトコル
実用的な格子ベースなABB IBEスキームの暗号化プリミティブを利用
形式的にセキュリティを証明
verifiability
accountability
vote privacy
●mTLSを使ったEnclave間の通信 | Anonify解体新書5
ついにAnonifyの本番運用が始まりました
TEE + ブロックチェーンのシステムが本番稼働しているのは世界的にみても珍しいかも
その5では「mTLSを使ったEnclave間の通信」と題して、mutual-TLS(mTLS)を使って複数のEnclaveアプリケーション間でデータ通信をする方法について解説する
データのシーリングにはマシンごとにシーリングキーが異なるという重大な制約がある
SGXマシンを1台しか使わないという制約があれば問題ない
現実的にはマシン1台で完結するようなサービスはあまりない
SGXマシンを複数使用してE2EEを実現するためには複数のSGXマシンに配置されたEnclaveアプリケーションが同じプライベートキーを共有する必要がある
Enclaveアプリケーション同士がmutual-TLSを使って通信をするば安全にプライベートキーを共有できる
LayerX Labsでは、次世代プライバシー保護・セキュリティ技術Anonifyの正式提供に向けトライアルパートナーの募集を開始、合わせて公式ウェブサイトを公開しました。
「Anonify」の公式ウェブサイトはこちら
「Anonify for Insurance」ホワイトペーパーはこちら
LayerXではエンタープライズ向けブロックチェーン基盤を基本設計、プライバシーの観点から比較したレポートを執筆し、公開しています。
基本編のダウンロードはこちら
プライバシー編ダウンロードはこちら
Section2: ListUp
1. Bitcoin
1.1. Layer2:Lightning Network
●TwitterのLightning Networkサポートを受けて、直近24時間でノード数・チャネル数が20%増加
●LNDで実装されている経路探索アルゴリズム
https://techmedia-think.hatenablog.com/entry/2021/09/28/203759
●Lightning Networkの脆弱性として、「Griefing攻撃」「Time-dilation eclipse」および「Pinning攻撃」を挙げている
●Lightning Metworkのネットワークキャパシティは2900BTCと、過去3ヶ月で2倍に
●IoTデバイスがLightning Networkと対話しIoTマイクロペイメントを可能とする「LNGate」。Lightning Networkに閾値暗号を実装するもの。
https://zengo.com/make-micro-payments-in-a-flash-the-power-of-lngate/
2. Ethereum等
2.1. Ethereum
●Arbitrumエコシステムのメガスレッド。DEX・デリバティブ・レンディングからNFT/ゲーム・イールドファーミングまで
●クラウド上でゼロ知識証明を生成できる「zkcloud」。Ethereum・zkSync・Lightning Networkによる決済が可能。プロトコルとしてはGroth16・PLONK・ZK-STARKs(2021 Q4より)から選択できる
https://zkcloud.systems/
●zkEVM構築にむけたソリューション概略
●zkEVMの解説記事
https://www.8btc.com/article/6691672
●Nathan Schneiderによる「クリプトエコノミクス的なガバナンスへのアプローチの限界」の考察について紹介したVitalikの記事
https://vitalik.ca/general/2021/09/26/limits.html
●Web3アプリケーションのアーキテクチャ解説
・フロントエンド
・プロバイダー(Metamask、Infura)
・ブロックチェーンのクエリ(スマートコントラクトイベント、The Graph)
https://www.preethikasireddy.com/post/the-architecture-of-a-web-3-0-application?ref=tokendaily
2.2. Ethereum以外
●LayerZeroが立ち上げた超軽量ノードクロスチェーンモデル。
Endpoint・Oracle・Relayの3つのコンポーネントで構成されている。
https://www.chainnews.com/articles/862216167693.htm
●「オープンブロックチェーンとDID標準」について、CoinCenterによるW3Cへのオープンレター。デジタルIDは、オープンブロックチェーンネットワークの数少ない真のユースケースの1つであるとしている。
批判の多くが費やされたPoWの環境コストは、W3CのDID標準化プロセスと無関係であるとし、DID規格がブロックチェーンネットワークやPoWを必要とする訳でもないため、ブロックチェーンを使わずに、あるいはPoSを使って実装することも可能であるとしている。
https://www.coincenter.org/open-blockchains-and-decentralized-identity-standards/
3. デジタルアセット関連サービス
3.1. 金融機関のデジタルアセットサービス
●BNYMellonによるデジタルアセットに関するレポート。デジタルアセットの進化が金融エコシステムの再構築にどのように役立つかを概説。従来のアセットとシームレスに統合するために必要なインフラとのコラボレーションを強調している
●Binance、Binance.com上でシンガポールのユーザーに対して法定通貨デポジットや暗号通貨スポット取引などを提供しないことを発表。
https://www.binance.com/en/amp/support/announcement/34c6c158d03a4877a4e13cf0927468bc
●スイスのデジタルバンクSEBA、カストディアン・バンクとしてのライセンスを獲得。
デジタルアセットに特化したカストディアン・バンクにFINMAが与えたライセンスとしては、スイス初となるもの。
●SBI・Sygnum・Azimutの3社、DLT・DeFi・規制ソリューションなどのデジタルアセット分野に特化したVCファンド設立
●Visa、CBDCやStablecoinといったデジタルマネーむけ相互運用性に関するペーパーを発表。ハブ&スポーク構造のUniversal Payment Channel(UPC)を提案するもの
3.2. 規制
●9/15付で中国人民銀行が発表した「仮想通貨取引における投機リスクの更なる防止・対処に関する通知」。
冒頭で、投機的行為が増加し、経済・金融秩序を混乱させ、賭博、違法な資金調達、詐欺、マルチ商法、マネーロンダリングなどの違法・犯罪行為を助長しているとしている。
仮想通貨に関する事業活動は違法な金融活動であると指摘。
交換・売買や情報仲介・価格設定サービス、トークン発行による資金調達、仮想通貨デリバティブの取引について違法であるとして禁止。
仮想通貨の投資・取引活動への参加には法的リスクがあるとし、関連する民事法律行為を無効化。
オンライン監視とオフライン調査を組合せ、マイニング・取引・交換を追跡・モニタリング。
金融機関・決済機関も、仮想通貨関連事業むけの口座開設・資金移動・決済を提供できず、仮想通貨を担保・保険の対象とすることも不可。
仮想通貨関連事業むけのマーケティング・宣伝などのサービス提供も禁止。
http://www.pbc.gov.cn/goutongjiaoliu/113456/113469/4348521/index.html
●FTX、本社を香港からバハマへ移転
●中国、CoinGeckoやCoinMarketCapもアクセスブロック
https://www.theblockcrypto.com/linked/118878/coingecko-coinmarketcap-blocked-china-internet-firewall
●Loopringも中国のユーザー向けのサービス提供を停止することを決定した、と発表している
https://blogs.loopring.org/loopring-announcement/
●政策立案者によるStablecoin規制検討にむけた3つの基本原則として、①公平なアクセスの促進、②発行者と準備金の整合性確保、③技術・運用上の柔軟性の強化
という3つを挙げているa16z記事。
https://future.a16z.com/stablecoins-stability-and-financial-inclusion/
●米SECのGary Gensler委員長、暗号通貨取引およびレンディングプラットフォームに対して、SECの監督を回避しようと考えるべきではないと言明。
https://www.ft.com/content/3e8f6c2f-6580-40f6-b6df-3368bb5f20d1
●日本銀行金融研究所ディスカッション・ペーパー・シリーズ「暗号資産の保有に係る会計上の取扱いに関する考察―会計マネー・ツリーを用いたアプローチから―」
https://www.imes.boj.or.jp/research/abstracts/japanese/21-J-07.html
3.3. NFT
●NFT分野におけるスキャム行為をタイプ分けして紹介しているスレ。
DiscordやTwitterのDM、なりすまし、Google Ad、YouTubeチャネルハッキング、エアドロップなど。
防止策として、DMはメッセージ履歴チェックする、ウォレットの鍵をデバイスに保存公開しない、コールドウォレット/NFT vault利用など。
●YearnファウンダーAndre Cronje氏がFantomチェーン上にローンチしたNFTマーケットプレイス「Artion」。OpenSeaと類似したフロントエンドを備え、今後Ethereum・Arbitrum・Avalanche・Polygonへのロールアウトも予定しているとのこと。
●スロベニア政府、ドバイで開催されるUAE Expo2020で万博ショーケースの一環としてNFTを配布。パビリオンを訪れた来場者に、ウォレットにアクセスしてclaimするための8桁番号が記載されたプロモーションカードの形で配布予定とのこと
https://www.unlock-bc.com/80599/slovenia-gifts-nfts-at-uae-expo2020/?p=80599
●スタートバーン、SBI NFTと、ブロックチェーンを活用したプラットフォーム事業の拡大に向けて協力
https://startbahn.jp/sbinft-20210930/
●購入型クラウドファンディングの返礼品としてNFTの発行・販売を可能とする「CAMPFIRE Community」初の取り組みを開始
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000017.000039475.html
●Twitter、プロフィール写真としてNFTの所有を希望するユーザー向けに検証ツールを提供へテスト動画を公開
●スイスポスト、コレクターズアイテムとしてリンクする「Swiss Crypto Stamp」を発行へ
https://www.ledgerinsights.com/swiss-post-plans-collectible-crypto-stamps/
3.4. 各種アダプショントピック
●「software eating the world」に加えて「crypto is eating VC」との言。
●オープンなインターネットの価値観に照らし、オープンでパブリックなブロックチェーンやデジタルアセットを採用することの意味について述べている。
●Coinbase、給与をCoinbase口座に直接入金し暗号通貨または現金で支払いを受けたりできる機能を米国ユーザー向けに提供開始へ
https://www.theblockcrypto.com/post/118824/coinbase-direct-paycheck-deposit-feature-us-users
●後払いサービスを提供する米国のFinTech企業のAffirm、NYDIGとの提携を通じて、暗号通貨の売買を可能とすべく検討中。投資家フォーラム資料中で「New and coming soon」として画面イメージを公開。
https://investors.affirm.com/static-files/097f3211-8ea5-4a6d-9b86-6dfa969bbe8a
●タイ国政府観光庁、ユーティリティトークン発売にむけてタイ証取と検討中
https://www.bangkokpost.com/business/2189347/tat-considers-launching-its-own-utility-token
●取引所やサービスプロバイダーむけ規制サンドボックス、大学での教育などを通じて、アジアのクリプト業界受け入れセンターへと加速するシンガポール
https://www.chainnews.com/articles/833640257996.htm
4. DeFi
4.1. DeFiプロダクト
●DeFi勉強会 第2弾_1回目 | JBA | 一般社団法人 日本ブロックチェーン協会 | Japan Blockchain Association “暗号資産における分散型金融とステーブルコイン
1回目は日本銀行の決済機構局 FinTechセンター 北條様、鳩貝様をお招きしてお話をいただきます。”
https://jba-web.jp/event/defi2_20211014
●金融庁|分散型金融システムのトラストチェーンにおける技術リスク等に関する研究
を掲載しました。
https://www.fsa.go.jp/choutatu/choutatu_j/nyusatu_menu.html
●dYdXがCoinbaseの過去24時間取引量を上回る。zkベースのセカンドレイヤー立ち上げやパーペチュアルコントラクトが要因に
https://www.trustnodes.com/2021/09/27/dydx-overtakes-coinbase-in-trading-volumes
●a16zからの投資を受けた分散型ステーブルコインプロトコルAngleの概要
https://blog.angle.money/introducing-angle-protocol-3e3e603d3f60
●Ethereum・BSC・Polygon・Avalanche・Fantom・Solanaなど、様々なブロックチェーンプラットフォーム上で展開されているDEXのエコシステムマップ
●Terraのエコシステムマップ
●流動性管理プロトコル「Tokemak」の解説記事
https://www.chainnews.com/articles/544623789759.htm
5. 今週のLayerX
●SaaSのリリース前後1年におけるMA・SFAのアレコレ - LayerX インボイスの場合
https://note.com/35_mki/n/ne7420577d073
●【U30】LayerX×ラクスル若手BizDevが語る!急成長企業におけるBizDevの醍醐味とは? - connpass
https://layerx.connpass.com/event/225871/
●LayerX ワークフロー、支払申請から仕訳を自動起票可能に | 株式会社LayerXのプレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000084.000036528.html
●LayerXとミラティブのエンジニア出身経営チームが語る、エンジニアが働きやすい開発組織とは - connpass
“エンジニア出身の経営メンバーが開発組織についてトーク。育休取得の両CEOによるオープニングトークも”
https://layerx.connpass.com/event/225819/
●秘密計算.jp#3 [秘密計算・秘匿計算の事業化裏話] by 秘密計算コンソーシアム|IT勉強会ならTECH PLAY[テックプレイ]
“技術サイドからの開発秘話や苦労話などを赤裸々に語ってもらうという、超フリースタイルな会を開催します。”
https://techplay.jp/event/831124
●【U30】LayerX×ラクスル若手BizDevが語る!急成長企業におけるBizDevの醍醐味とは? - connpass
https://layerx.connpass.com/event/225871/
●LayerX CEO福島によるNewsPicks寄稿記事です
●昨日の「Financial DX/SUM」討論会を踏まえ、日本経済新聞に、LayerX CTO松本の記事が掲載されました。
> 産業デジタル化を手掛けるLayerX(レイヤーX、東京・中央)の松本勇気代表が「ソフトウエアが事業のコアだという考え方に、発想を転換することが重要」と話した。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC303PL0Q1A930C2000000/
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