家族計画連盟を訪問した位置情報データの公開を巡る問題/HISの顧客ペルソナ構築への外部データ活用・弘前大の健診ビッグデータによる病気予測・BIPROGYのデータ流通基盤「Dot to Dot」
LayerX PrivacyTech Newsletter (2022/05/04-05/10) #153
今週の注目トピック
Takahiro Hatajima(@th_sat)より
米国で話題になった位置情報データの公開を巡る問題について紹介します。
あわせて、データ利活用最前線として、HISの顧客ペルソナ構築への外部データ活用、弘前大の健診ビッグデータによる病気予測、BIPROGYのデータ流通基盤「Dot to Dot」などを紹介します。
Section1: PickUp
●家族計画連盟を訪問した位置情報データの公開をはじめとして、スマホ位置情報をめぐるプライバシー保護が問題に
位置情報データ会社Placer.aiは、ソフトウェア開発キット(SDK)をアプリにインストールすることで位置情報を取得している。同社のウェブサイトでは、2000万台以上のデバイスがアクティブで、500以上のアプリに同社のコードが搭載されているとされる。このPlacer.aiが、訪問者がおおよそどのような物理的位置に住んでいるのかを示すヒートマップを提示したことが問題になっている。
Motherboardの報道によると、カリフォルニア州の家族計画連盟が中絶サービスを提供している施設の場合、ヒートマップでは、参加者の自宅が、クリニックの南側の都市、南東側の別の地域、施設自体の近辺にあることが示されたという。例えば、下図のように、ウェブサイト上で家族計画連盟の施設の訪問者のおよその居住地が表示されていることがわかる。
家族計画連盟の施設訪問をめぐる位置情報データをめぐる問題としては、同様に、データブローカー「SafeGraph」も、家族計画連盟の施設を訪れた人の数、どこから来て、その後どこに行ったかを示すデータを購入することが可能であることが明らかになった。これを受けて、同社は、家族計画連盟を訪問した人の位置情報データの販売を停止すると発表している。同社のサービスにおいて、「Places」は、特定の店舗や建物の位置など、POI(Point of Interest)に関連するものを示す。また、「Patterns」では、携帯電話の位置情報に基づいて、人々がどれくらいの時間その場所を訪れたか、「どこから来たか」「どこに行ったか」を示すことができる。さらに、消費者が特定の場所でどれくらいの金額を使うかを示す「Spend」という商品で、取引データの集計を提供し始めている。同社のデータがいかに細かく設定できるかという観点では、検索結果に、特定の医院に関連するデータが表示されていたことも挙げられている。理論的には、攻撃者はそのデータを使って特定のユーザーのマスクを剥がすことが可能であり、携帯電話の動きと実際の人間を結びつけることは難しくないなど、繰り返し指摘されている。(出典)(出典)
Placer.aiの一件を受け、プライバシーの専門家たちは、中絶を求める人や検討している人に対してペナルティを与えるといった目的などで、他のアプリケーションの中でも生理周期追跡アプリから収集したデータが使われる可能性があるについて、懸念を深めている。例えば、Floは、4300万人のアクティブユーザーを抱え、「Clue」では、月間アクティブユーザー数が1,200万人を抱えるなど、多くの人々が、生理周期を追跡するためのアプリを利用している。こうしたデータは、生理の停止と開始、妊娠の停止と開始を示すことができるため、仮に中絶が犯罪化された場合、誰かが中絶をしたあるいは検討していることを示唆するために使われる可能性がある。そのため、特に、社会的弱者が実害を受ける危険にさらされる可能性があるとされる。(出典)
こうした状況を踏まえ、米国Kamala Harris副大統領も、「プライバシーの権利が弱まれば、すべての人が、自分の人生について行う個人的な決断に政府が干渉する可能性がある未来に直面する可能性がある」と警告を発している。(出典)
同様に位置方法をめぐっては、第2・第3のトピックが相次いで報道された。まず第2のトピックとして、米国の疾病管理予防センター(CDC)が、携帯電話の位置情報を使って、ロックダウン命令に従ったかどうかを見るために、何百万もの電話を追跡していたとして話題になった。CDCの文書によると、外出禁止令の遵守状況の分析、幼稚園から高校までの学校を訪れる人々のパターンの追跡、そして特にナバホ族の政策の有効性を監視するために、米国内の数千万の電話から採取した位置データへのアクセスを購入したという。これに対して、研究者たちは、位置情報がどのように匿名化され、特定の人々を追跡するために使用されるかについて、懸念を表明している。(出典)
第3のトピックとして、出会い系アプリ「Grindr」が、2017年頃から非常に詳細なユーザーの位置情報を収集し仲介業者に販売していたという報道も続いた。Grind社は、データは「匿名化」され、個人名を含んでいなかったので、これは大したことではないと主張しているが、「匿名化」は実際には何の意味もなく、ほんの数個の追加データセットでこれらのユーザーを特定することができる。このデータは「デバイスが互いに接近していることに基づいて、特定のユーザー間のロマンチックな出会いなどを推測するのに十分なほど詳細」だったという(出典)。本件については、WSJも、デートアプリ「Grindr」の数百万人のユーザーの正確な移動情報がデジタル広告ネットワークMoPubから収集され、そのパートナー企業UberMedia(現UM)を通じて、2017年から販売に出されていたと報道している(出典)。
このように、スマホ位置情報をめぐって、プライバシー保護の観点から話題になっていることを踏まえ、今後の利活用の動向が注目される。(文責・畑島)
●データ利活用最前線
ゲノム情報の新しいデータシェアリングの取り組みが、G4GHの特集記事で紹介
理化学研究所(理研)生命医科学研究センター、米国カリフォルニア大学の、オーストラリアQIMRベルクホーファー医学研究所の国際共同研究チームによって行われたFederated Analysis(連合解析)例が、ゲノム情報を用いて医療や医学の発展を目指す国際協力組織「Global Alliance for Genomics & Health(GA4GH)」のウェブサイトで特集記事として紹介された。
遺伝学的検査結果を元に治療方針を決めるオーダーメイド医療が現実化しているが、疾患発症への影響が不明な遺伝的バリアント(VUS)に対する扱いが大きな問題となっている。それを解決するためには、VUSの機能的な影響を測定するとともに、そのバリアントを持つ患者や対照群の家族歴、臨床情報などを大規模に取りまとめることが必要だが、そのような情報を国を越えて共有することは個人情報保護の観点からも非常に困難だった。
本共同研究では、カリフォルニア大学がFederated Analysisのための解析プログラムを作成し、理研がそのプログラムを利用して、Nature Communications誌に掲載された日本人の乳がんデータの内、解析に必要なデータ部分だけをプログラムに読み込ませ解析し、バリアントの解釈に必要な統計解析結果を算出した。
その結果をQIMRベルクホーファー医学研究所でバリアントの解釈を行なったところ、16個のVUSについて新たにこれらは病気の原因とならないことが明らかになった。
データグリッド、京阪ホールディングス社とデジタルヒューマンを活用したPRに関する実証実験を実施
株式会社データグリッドと京阪ホールディングス株式会社は、5月13日(金)〜5月27日(金)の間、デジタルヒューマンを活用したPRに関する実証実験を実施する。
京阪グループが取り組む新技術を活用したサービス創造の一環で、近い将来のメタバースの普及などを見据えた取り組み。
今回の実証実験では、データグリッドのシンセティックAIで生成したデジタルヒューマン(仮想空間にのみ存在する人間)が登場する、京都の観光案内動画をYouTubeやSNSの京阪グループ公式アカウントで公開。
視聴後にアンケートを実施して好感度や魅力度といった指標の基礎データを得るとともに、文字・音声情報との情報伝達度の比較、制作過程での技術的制約や課題について検証を行い、PR活用への可能性を探る。
HISが顧客ペルソナ構築に使った外部データ、その中身と使い方は
コロナ禍で大打撃を受けた業界の典型である旅行業界において、海外および国内旅行事業やテーマパーク/ホテル運営など、多角的に事業を展開するHISは、データ活用を中心に顧客一人一人に向き合うCX向上戦略で盛り返しを図っている。
データ活用で顧客理解や満足度向上を図る上で、その業務に資するデータソリューションを提供するのがヤフーのデータソリューションサービス。
以前からオンラインの旅行予約情報の分析を実施してきたが、従来はWebサイトのアクセスログや予約情報など、社内で収集できるデータに限られていた。
社内のデータのみを使ったデータ分析の課題は「HISとの接点を持たない層」の興味や関心を知る手掛かりが少ないことだった。
この課題の解決のため、巨大なユーザー基盤を持つヤフーのデータを活用するに至ったという。
弘前大学とスタートアップのミルテルは、個人の属性や生活様式に応じたきめ細かい病気予測モデルを開発する。
同大が長年蓄積した健康診断のビッグデータと、ミルテルの遺伝子解析手法を組み合わせる。がんなど疾患のリスク検査は数万円程度かかるが、数百円程度に抑え利用しやすくすることで、健康寿命の延伸につなげる。
岸田首相、EU首脳と会談 ロシア非難やデジタルデータ流通で一致
岸田文雄首相は12日、来日中のEU首脳と会談した。
会談後の共同記者発表では、デジタルデータの自由で安全な流通を目指すデジタルパートナーシップを立ち上げることで合意した。
EUにとって日本は初の締結相手となる。
BIPROGY、パーソナルデータを企業間で共有可能なデータ流通基盤「Dot to Dot」を提供
BIPROGYは、日本ユニシス時代の多様な分野での実証・実装で培ってきたノウハウを生かして、分散型企業間データ流通基盤「Dot to Dot」を開発。
例えば、接続企業間で連携することにより、自社では解決できない利用者のニーズを他企業の製品・サービスで満たすといったことが可能になる。
パーソナルデータを企業間で安全に共有・活用するための設計コンセプトとしては、「データの個人主権」の尊重を挙げている。そのうえで、「トラストのある自由なデータ流通」とプライバシー保護を両立させながら、企業間のデータ流通を担うとしている。Dot to Dotでは、以下のようなプライバシー上の課題を解決するとしている。
本人合意に基づく顧客本人データの身元保証
顧客に提供される合理的かつ適切な企業の情報
オプトイン主体による動的な合意形成
データ利用履歴を参照可能にするトレーサビリティの確保
パーソナルデータに対し、日本の個人情報保護法に則した本人同意
BSIグループとテクニカ・ゼン、日本企業のプライバシーガバナンスのさらなる強化に向け、グローバル認定のプライバシー・プログラム・マネジメント認証資格研修の提供を開始
BSIグループとテクニカ・ゼン株式会社は、日本企業のプライバシーガバナンスのさらなる強化に向け、グローバル認定のプライバシー・プログラム・マネジメント認証資格研修の提供を開始した。
当研修は、既に世界各国で提供されておりますが、日本においてIAPPの公式トレーニングパートナーとして日本語で提供しているのは、昨年より提供を開始したテクニカ・ゼンと今回提供を開始するBSIジャパンのみとなる。
IAPP公式コース規定の以下の10モジュールに基づき、プライバシーおよびデータ保護のガバナンス、原則、プログラム開発、管理および監視、適用される法律および規制、データ管理およびインシデント対応、ならびに既存プログラムの監査および分析に関する知識と専門知識を習得できる。
プライバシー・プログラム・マネジメントの紹介
プライバシー・ガバナンス
適用される法規制
データ・アセスメント
ポリシー
データ主体の権利
トレーニングと認知向上
個人情報保護
データ侵害対応計画
プログラム運用状況のモニタリングと監査
欧州委、欧州医療データ空間を創出し、研究開発等での活用を認める法案を発表
欧州委員会は5月3日、EU域内の医療データの単一市場の創出を目指す「欧州医療データ空間」の設置規則案を発表した。
欧州委は、2020年2月に発表した欧州データ戦略において、欧州の価値の尊重や人間中心の考え方を基礎にしつつ、加盟国間、EU域内のセクター間でのデータのやりとりを可能にするデータの単一市場「欧州データ空間」の構築を掲げている。
欧州データ空間は、重点分野別に構築される予定で、欧州医療データ空間はその第1弾となる。今回の規則案は、EU一般データ保護規則(GDPR)、データガバナンス法案、データ法案などに対する、医療分野の補完的な法案との位置づけである。
本規則案は、医療分野に特化した共通基準、インフラ、管理枠組みを規定することで、個人の権利に対応しつつ加盟国間で異なる規制を減らすことで、研究開発や政策立案においてより安全かつ効果的なデータの活用を目指す。
同規則案は、医療データの活用として1次利用と2次利用を規定している。
1次利用とは患者本人による利用で、患者は、診療記録、処方箋、検査結果などを、加盟国間で互換性を持った電子データとして保持することができる。
2次利用では、研究開発や政策立案などの分野での活用を想定している。
規則案は、こうした分野での医療データの利用を認めるEU共通の枠組みを規定しており、2次利用向けインフラ「HealthData@EU」も設置する。医療データの使用は許可制とし、各加盟国に設置される医療データのアクセス管理機関への申請が必要となる。
許可を取得した研究機関、企業、公的機関などの利用者は、その許可に規定された範囲内で、外部から隔離された安全な環境でのデータの処理が認められる。利用者は匿名化されたデータの抽出のみが認められ、個人の医療データにアクセスする必要がある場合には、仮名化されたフォーマットでのみアクセスが認められる。
また、保険料の値上げといった個人に有害な影響をもたらす決定や、医療従事者への関連製品の販売といった営業目的での利用は禁止される。
さらに利用者は医療データの2次利用の結果を公開することが求められる。日本などのEU域外国の研究者についても、域内で利用する場合は、域内の利用者と同一の条件で、2次利用向けのデータへのアクセスが認められる。
DATAFLUCT、出店後の売上金額を高速・高精度で予測、要因の説明も可能なAI出店分析『CAPTAIL Locator』5月13日(金)より提供開始
データサイエンスで企業と社会の課題を解決する株式会社DATAFLUCTは、社内データ、オープンデータ、実地調査で得た視認性などの情報を含むさまざまなデータを活用し、「その物件に出店した場合の売り上げ」が推定できる出店分析サービス『CAPTAIL Locator(キャプテール ロケーター)』を5月13日(金)より提供開始する。
本サービスは、各種データを地図上にマッピングする一般的な商圏分析に留まらず、対象物件に出店した場合の売上金額の推定や、それに影響を与える要因も特定でき、新規出店の成功に直結する示唆を得られる。
出店先が売り上げに大きく影響する小売店や飲食店では、多くの企業がGISシステムや独自のデータベースを用いて新規出店候補地の分析を行なっているが、担当者の経験や知識に左右されるこうした分析手法では、分析精度が高くない点や、属人的で再現性が低い点、土地勘のないエリアの出店余地を見逃してしまう点など課題が残る。
『CAPTAIL Locator』は、エリアの情報の可視化やハフモデル分析や重回帰分析等による統計的売上推定だけでは掴めなかった高精度の売上予測により、新規出店の成功を支援する。
【KDDI Location Analyzer】観光分析に役立つ機能を拡充
技研商事インターナショナル株式会社は、KDDI株式会社との協業で開発されたGPS位置情報データを搭載したGIS「KDDI Location Analyzer」の施設分析機能を2022年4月に拡充した。
人流データを活用し、市外や県外からの流入度合いを把握したいという、自治体や旅行会社、コンサル企業からのニーズを受け、行政界単位での来訪者分析ができるように機能拡充。
これにより、足元の商圏だけでなく、遠方のエリアを都道府県、市区町村を指定し、そこからどんな人が、どれだけ流入しているのか等を容易に分析できるようになる。
地球約138万周分のデータ活用、あいおいニッセイが交通安全対策を後押しする
あいおいニッセイ同和損害保険は5月中に、地方自治体の交通安全対策の立案や効果検証を無償でサポートする交通安全EBPM支援サービスを始める。同社がテレマティクス自動車保険契約を通じて蓄積した地球約138万周分の自動車走行データを活用する。サービス提供を通じて自治体が効果的に交通安全対策を実施できるようにする。
提供を開始するサービスは、危険な運転挙動の発生頻度が高い地点をメッシュで地図上に可視化する同社のシステム「交通安全マップ」を用いる。
交通安全マップから選定した危険箇所候補を同社が分析することで、最適な交通安全対策を提案する。さらに時系列分析で、対策の効果を評価することもできる。
今後、事故データの活用や新たな危険運転挙動の定義化、大学との産学連携などを通じてサービスの高度化を目指すという。
石巻震災復興に向けた観光事業促進のカギになると期待される「牡鹿半島における観光ビッグデータ活用」
宮城県石巻市は、東日本大震災で最も大きな被害を受けた地域のひとつだ。その傷跡は深く、震災復興に向けてさまざまな取り組みが現在でも進められており、特にビッグデータを利用して人流を把握することで、石巻への訪問客を誘致につなげる取り組みが進んでいる。
人流の把握には、Wi-Fi型群流センサーとドコモのモバイル空間統計を利用。
市内各所にWi-Fi型群流センサーを設置し、来訪者のスマートフォンを計測することによって人流把握を目指した。
リアルタイムでの確認ができ、メッシュ単位も50m単位と細かく、個人を特定しない形で牡鹿半島内での回遊状況を把握できるという。
またドコモのモバイル空間統計は、購入した一定期間の過去データを参照し、分析できる。全国の人流がわかるため地域別の訪問者の把握が可能。
Twitterは、5月11日より、プライバシーポリシーをより分かりやすくするための変更を行なった。
プライバシーポリシーの透明性を向上し、利用者が自分のデータがどのように利用され、共有されているのかよりわかりやすくする狙い。
変更内容は、プライバシーポリシー内の法律用語のわかりやすい言葉への変更や、Twitterのプライバシーポリシーについて楽しく学べるゲームの追加、プライバシーに関する設定やコントロールのアイコンを理解しやすいものへ変更するなど。
米国コネチカット州のネッド・ラモント知事は5月10日、「個人のデータプライバシーとオンライン監視に関する法案」に署名し、同法案は成立した。
米国で包括的な個人情報保護関連法を成立させた州は、カリフォルニア州、バージニア州、コロラド州、ユタ州に続き、コネチカット州が5州目となる。同法は一部の条項を除き、2023年7月1日に発効予定となっている。
同法は、個人データの管理と処理に関する枠組みを定め、事業者のプライバシー保護基準と消費者の個人データに関わる権利を明確化した。具体的には、消費者に対し、事業者が処理する個人データを確認する権利や訂正・削除する権利、個人データの第三者への販売やターゲティング広告をオプトアウトする権利を付与する。
一方、事業者に対しては、あらかじめ開示した目的以外での個人データの処理の禁止や、個人データの保護に関するセキュリティー慣行を策定・実施・維持する義務などを定める。
人種や健康状態、位置情報などを含む「センシティブ・データ」を処理する際は、消費者の同意を取るよう義務付ける。
さらに、消費者が権利を行使するための手段の1つとして、個人データの第三者への販売やターゲティング広告をオプトアウトするための専用リンクをウェブサイト上に用意するよう求める。
【2022年4月】改正個人情報保護法の施行に各社はどう対応したか?3パターンに分けて検証する
2022年4月1日、「いわゆる3年ごと見直し」によってはじめて改正された個人情報保護法が施行されたが、各社の対応方針は大きく3パターンに分けられたという。
パターン1:最低限のプライバシーポリシーを整備
4月1日に向けた最低限の対応として、3月下旬にプライバシーポリシーの変更に関するメールを送付した企業は多かった。
具体的には「安全管理について」や「データの第三者提供」「委託に関わるルール」および「データの越境移転」に関する内容をアップデートしている企業が多く見受けられたという。
今までプライバシーポリシーにあまり内容を記載していなかった企業もこれらの内容をしっかり記載したことで、分量がかなり多くなったケースが増えた。
さらに個人情報保護法は今後も見直しが行われていくことや、電子通信事業法への対応が必要になっていくことを視野に入れて、プライバシーポリシーを定期的に変更するための土台を整えた企業も多かったという。
パターン2:個人情報と個人関連情報を掛け合わせて利用するための対応
個人情報と個人関連情報を紐づけたマーケティングについてのルールが明確化したことを踏まえ、データの収集・利用を行うために必要な対応を行ったパターン。
データを活用する企業(もしくは紐付けを行うベンダー企業のいずれか)は、今回定義された“個人関連情報と個人情報を紐づけたマーケティング”を行う際、サービスの利用者や顧客から“個人関連情報と個人情報の紐付けの同意”を取得する必要がある。
パターン3:Cookieレベルでの同意を取得する対応
今回の改正個人情報保護法への対応だけではなく、GDPRなど海外の法律も見据えた対応をしたパターン。
具体的には、いわゆるCookieバナーと言われるサイト上に表示するポップアップを通じて、ユーザーに対してCookie利用に関する同意を取得する環境を整備するもの。
Cookieバナーを提示する場合、同意の取得率は5~20%程度となることが多いため、リターゲティング広告などはほぼインプレッションが出ない状態になっている企業も出てきているという。
Clearview AI、顔認識技術の米国での販売停止へ ACLUなどとの訴訟和解で
米人権団体のアメリカ自由人権協会は5月9日、2020年に起こした顔認識技術を手掛ける米Clearview AIとの訴訟で、Clearview AIと和解したと発表した。
和解条件として、同社が米国の民間企業や個人への顔認識データベースの販売を永久に停止することに同意した。
Clearview AIは、SNSやWebサイト上の人間の写真を収集し、顔認識データベースを構築しており、昨年1月6日の米連邦議会議事堂襲撃の参加者特定に警察によって採用されたことでも知られる。
イリノイ州では、生体情報プライバシー法(BIPA)により、消費者が顔画像や指紋などの個人データを無断で収集する企業を提訴できる。
ACLUは発表文で「Clearviewにイリノイ州だけでなく、全米でBIPAを順守するよう要求することで、この和解は強力なプライバシー法が(顔認識技術を悪用した)虐待に対する保護を提供できることを示している」とし、「Clearviewは、人々の生体認証識別子を無限の収入源として扱えなくなった。他の企業も注意した方がいい。また、イリノイ州以外の週も強力な生体認証プライバシー法を制定すべきだ」と語った。
横須賀市は住民基本台帳のビッグデータを用い、市内の人口構成や地域間移動情報をオンラインで検索、閲覧できる『見える化システム』を独自に開発。4月28日に一般公開した。
このシステムでは年月や地区といった複数の条件を組み合わせたデータをオンライン上でいつどこでも誰でも把握することが可能。
従来は市民が市へ問い合わせをした際、データの照会に直接来庁が必要であった上、職員による情報の取りまとめや加工、分析などの作業に時間がかかっていた。このシステム導入により、まず市民が来庁する手間が省けるほか、職員が市民からの要望に迅速に対応でき、業務負担軽減にも繋げられる。
またこのビックデータの照会を細分化・容易化することで企業が市内で戦略的に事業展開する上で必要となる数値的根拠としても役立てることができ、地域経済のさらなる活性も期待される。こうした住基台帳を基にしたビッグデータを取りまとめ、活用を促す取り組みは全国の行政区ごとに進められており、横須賀も独自に今回のシステムを導入した。
宿泊予約などのデータを自動で収集し、旅館の経営や街全体の観光戦略に生かそうという取り組みが豊岡市の城崎温泉で始まっている。
旅行予約サイトやそれぞれの旅館やホテルのホームページなどを通じて数か月先までの宿泊日や人数、居住地といった予約客の情報を個人が特定されない形で自動で収集するシステムの開発が進められていて、先月から試験的に運用が始まっているという。
システムを活用すれば需要に応じた宿泊料金の設定ができるほか、必要な食材の量や人手の予測もつきやすくなることから、経営改善につながることが期待できる。
豊岡市などは今後、出石城跡や神鍋高原といったほかの観光地に活用を広げるとともに、飲食店や土産物店などにも参加を促し、市内全体での観光戦略やフードロスの削減にもつなげる狙い。
本人同意しても医療機関がデータ連携認めない例も 検討会で有識者が指摘、第三者機関が適正性審査を
厚生労働省の「医療分野における仮名加工情報の保護と利活用に関する検討会」が11日開かれ、有識者へのヒアリングが行われた。
有識者は、医療情報の利活用や本人保護の問題点を指摘。患者の立場を代表する構成員を含む第三者機関が情報利用の適正性を審査する仕組みなどの必要性を訴えた。
米村滋人参考人(東京大大学院法学政治学研究科教授)は、医療情報の利活用の問題点について、本人の同意があっても医療機関がデータ連携を認めない例があることを取り上げ、「総じて医療機関側が情報利用に消極的な傾向」があるとした。また、 「本人同意なしには一切の情報利用が許容されない」とする社会的風潮が強く、それを覆すことが容易でないことも説明した。
Google、プライバシー強化でユーザーの信頼獲得に取り組む
5月11日に開催されたdeveloper conference I/O 2022で、Googleは、ユーザーが自分のデータをGoogleアプリケーションでどのように使用し、検索を通じて世界にどのように表示するかをよりコントロールできるようにするための、さまざまなプライバシー対策を発表した。
新たな対策として、ユーザーが興味のあるトピックの範囲から選択することによって、表示される広告の種類をカスタマイズしたり、特定のトピックに関する広告を少なくすることを選択できるようにする機能が公表された。
Googleは、My Ad Centerによって、ユーザーが自分のデータをどのように利用するかだけでなく、それがウェブの体験にどのような影響を与えるかをコントロールできるようになるとしている。
さらにGoogleのプロフィールページからアクセスできる新しいツールを使って、ユーザーが検索結果から電子メールや住所などの個人情報を削除するよう要求できるようになる、と述べている。
Google のコアシステムおよびエクスペリエンス担当 SVP である Jen Fitzpatrick 氏が率いるこのイベントの安全およびセキュリティ部門は、「プロテクト・コンピューティング」という概念を強調した。
プロテクト・コンピューティングとは、より多くのデータがGoogleのクラウドサーバーに送られることなく、端末上で処理されることを意味する。
また、ユーザー情報がグーグルのサーバーに送られる場合、差分プライバシーやエッジコンピューティングの利用といった技術によって、より多くの情報が匿名化されることになる。
LayerX Labsでは、次世代プライバシー保護・セキュリティ技術Anonifyの正式提供に向けトライアルパートナーの募集を開始、合わせて公式ウェブサイトを公開しました。
「Anonify」の公式ウェブサイトはこちら
Section2: ListUp
1. プライバシー・セキュリティとデータ利活用
●放送分野の視聴データの活用とプライバシー保護の在り方に関する検討会(第7回)
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/viewership_data/02ryutsu04_04000198.html
●三菱UFJ銀、サイバーエージェントと提携し広告事業参入…同意得て匿名化の顧客情報活用
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20220507-OYT1T50220/2/
●カナダで、政府の位置情報追跡を拒否できるようにすべきとの提言
https://globalnews.ca/news/8809352/canada-location-tracking-ethics-probe/
●全銀協|デジタル化に伴う金融サービスに関する法的諸問題
https://www.zenginkyo.or.jp/abstract/affiliate/kinpo/2019/#c48120
●「薄気味悪い」心の健康ケアアプリにMozillaが警鐘 貪欲な個人情報収集、プライバシーはないがしろ?
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2205/12/news038.html
●厚労省|第4回医療分野における仮名加工情報の保護と利活用に関する検討会
https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000937298.pdf
2. 今週のLayerX
●LayerXがバクラクで考えている構想である「法人支出管理(Business Spend Management)」について、LayerX CEOの福島がNote記事を発表しました!
https://note.com/fukkyy/n/n39e6b101e864
●三井物産デジタル・アセットマネジメントより、三菱UFJ信託銀行さまが提供するブロックチェーン基盤「Progmat」を活用したセキュリティトークンビジネス領域での第2回目の協業として、都内レジデンスを投資対象不動産とした公募ファンドを組成する旨、発表しました!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000021.000056997.html
●躍動する三井物産DXの先兵たち、資源からデジタル証券まで商社の未来を先取り | 日経クロステック(xTECH)
三井物産デジタル・アセットマネジメントの取組みを紹介頂いています!
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/02056/050900002/
●LayerX、経費精算を自動化 : 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC104TN0Q2A510C2000000/
●LayerX LIVE #0 【オンライン説明会/座談会】
LayerXに少しでもご興味をお持ちくださっている方々へ「事業やメンバーを知れる&話せるコンテンツ」をご用意しました!
https://layerx.connpass.com/event/245827/
●LayerX、新サービス「バクラク経費精算」をリリース。半年間無料キャンペーンを開始〜改正電子帳簿保存法にも対応〜
お客様ご要望をもとに、100回以上のヒアリングを実施。AI-OCRで領収書を一気にアップロードできる機能など、次世代の経費精算体験を目指して開発しました!
https://bakuraku.jp/news/20220510_expense
●#45 眠れる1000兆円に向き合う個人向け金融サービスを作る面白さ【ゲスト:Fintech事業部エンジニア3人】 - LayerX NOW! | Podcast on Spotify
●「1000兆円が眠っている」Web3.0の世界をメルコイン×コインチェック×LayerXが徹底討論! 日本のフィンテックの未来像
https://type.jp/et/feature/19264/
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