LayerX Labs Newsletter for Tech (2021/06/02-06/08)

Issue #110(FlexOS、Does Differential Privacy Defeat Data Poisoning?)

今週の注目トピック

Takahiro Hatajima(@th_sat)より

柔軟なOS分離を実現するFlexOSを紹介します。

併せて、機械学習問題における、data poisningに対して、differencial privacyが防御策になるのか?という問いに関する論文を紹介しています。

Section1: PickUp

(詳細は記事タイトルをクリックするとScrapboxへ)

【HotOS XVIII】柔軟なOS分離を実現するFlexOS

  • LibOSを拡張し、区画化によるセキュリティとワークロードに応じたパフォーマンスを柔軟に選択可能とするアーキテクチャ

  • 実現方法はメモリアクセス等に関するメタデータを付与し、同一区画にライブラリを配置可能か自動的に判断

Does Differential Privacy Defeat Data Poisoning?

  • 機械学習問題における、data poisningに対して、differencial privacyが防御策になるのか?という問いに関する論文

  • 結論は、differencial privacyが直接防御策になっているわけではなく、differencial privacyが効果があることの多い、robustnessのある機械学習アルゴリズムが、結果的にdata poisningの緩和につながっているというもの

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Section2: ListUp

1. Bitcoin

エルサルバドル、Bitcoinを法定通貨としてBitcoinを採用する最初の国とする計画を大統領のもとに推進へ

  • 今週、Bitcoinを法定通貨とする法案を議会提出へ。

  • インフレによる潜在的なショックから保護する手段を提供すると共に、ネイティブデジタル通貨を採用することで、オープンな支払ネットワークを提供することを目指す。

  • エルサルバドルは、米国からのインバウンド送金が6番目に多いとのこと。

  • 最新の金融インフラを構築すべく、デジタルウォレット企業Strike社と提携。

  • Strike社は、今年4月にエルサルバドルにて、BitcoinのLightning Netoworkを利用したペイメントアプリケーションをローンチしている。そのほか、米国・EU・英国・フィリピンでベータ版をリリース済。

  • Blockstream社は、Liquid NetworkやBlockstream Satelliteの衛星インフラ技術を提供予定。さらに、①国内マイニング産業の支援、②BlockstreamAMPによる証券トークンを用いた金融市場インフラの近代化支援、③コールドストレージやHSM技術のアドバイスも行うと発表している。

Bitcoin 2021 Conferenceにおける、Strike社のJack Mallers CEOとエルサルバドル大統領による発表の瞬間をおさめたビデオ

エルサルバドル大統領によるツイート

  • 海外送金の大部分が仲介業者に失われており、Bitcoinを使うことで、低所得世帯が受け取る金額が増加する

  • 国民の70%が銀行口座を持っておらず、信用・送金・貯蓄・投資へのアクセス手段を提供することによって、経済成長が可能になる

エルサルバドルがBitcoinを法定通貨と認める法案を採択した場合のインパクト

  • 銀行は他の外貨と同等に扱うようになる可能性

  • USGAAP/IFRS に基づく「現金」としての会計処理が行われるようになる可能性

  • 財務担当者が、Bitcoinを購入でき、他の外貨のように会計処理可能になる可能性

●エルサルバドルのNPO「Bitcoin Beach」は、川の洗浄などの労働報酬や高等教育の助成金をBitcoinで提供。

  • Bitcoinエコノミーの立ち上げと共に、ギャンググループから地元コミュニティの子供達を救うことが狙い。

  • スマホ保有率は50%に対し口座保有率は10%。

  • トランザクション手数料を考慮し、Lightning Networkを利用。ウォレットとして Wallet of Satoshiが使われている。

  • Lightning Networkを介してBitcoinで公共料金・医療・食料・ヘアカット等を利用可能。

2014年3月の参議院におけるビットコインに関する質問に対する答弁書

  • この他、資金決済に関する法律における、暗号資産の定義としても、「本邦通貨及び外国通貨並びに通貨建資産を除く」旨の記載。

  • 民法(明治二十九年法律第八十九号)第四百二条第一項及び第二項における「通貨」とは、強制通用の効力(以下「強制通用力」という。)を有する貨幣及び日本銀行券であって、これを用いた金銭債務の弁済が当然に有効となるものをいうと解されており、強制通用力が法律上担保されていないビットコインは、当該「通貨」には該当しない。

  • 外国為替及び外国貿易法(昭和二十四年法律第二百二十八号)第六条第一項における「通貨」とは、強制通用力のある銀行券、政府紙幣又は硬貨と解されており、ビットコインは、これらのいずれにも該当しないため、日本円を単位とする通貨と規定する「本邦通貨」、本邦通貨以外の通貨と規定する「外国通貨」のいずれにも該当しない

エルサルバドルでBitcoinを法定通貨とする法案が可決

  • 第2条:Bitcoinと米ドルの交換レートは市場で決まる

  • 第3条:価格はBitcoin建てで表記可能

  • 第4条:税金をBitcoinで支払い可能

  • 第5条:Bitcoin交換は法定通貨同様にキャピタルゲイン課税なし

  • 第7条:財やサービスの購入に提示されたBitcoinは受け入れなければならない

  • 第8条:国として必要な教育や仕組みを整えてBitcoinトランザクションへのアクセスを進める

  • 第13条:施行日以前に存在した米ドル建て契約書はBitcoinで支払い可能

Bitcoinが法定通貨となったことを報じたエルサルバドル紙のヘッドライン、Bitcoinブロックチェーンに書き込まれる

エルサルバドル大統領のTwitter Spaces参加サマリー

  • ウォレットはStrikeが開発し、オプトインで無料利用可能

  • どのウォレットを使うかは国民の自由

  • Bitcoin受け入れはマーチャントの義務とし、拒否不可

  • 小規模マーチャントBitcoin交換リスク低減へトラストファンド設立

  • 税金のBitcoin払い可能

  • エルサルバドルへ3BTC投資すると誰でも永住権

  • 政府がマイニングを行うことはないが、促進は行う

  • マイニングむけ地熱発電や接続性向上にむけたインターネット基盤を整備

2. Ethereum等

どのParachainをKusama Relay-chainに加えるかを選定するKusama Parachainのスロットオークション

3. デジタルアセット関連サービス

Trezorの新たなユーザーインターフェースプラットフォームTrezor Suiteが6/14にローンチへ

Square、Blickstreamと協働でBitcoinエコシステムにおける再生可能エネルギー促進にむけたオープンソースマイニングプロジェクトを立ち上げへ。併せてダッシュボードによる透明性確保も

Square、Bitcoinむけハードウェアウォレット開発を検討中。L2ネイティブサポートにも言及

WeiboでDeFiリーダーや有名トレーダーなど多数のアカウントがブロック

シンガポールPayment Services Actに基づくデジタルアセット事業ライセンスに、アリババやGoogleなどが申請

新疆ウイグル自治区に続いて青海省でもマイニングオペレーションにシャットダウン命令

Gemini、NFTマーケットプレイス・クリプトクレカ企業に続いてクリプトカストディShard Xを買収

クリプト関連リソースリンク集

世界第二のカストディアンState Street、デジタルアセット部門State Street Digital立ち上げ発表。業界のデジタルエコノミーおよびDecentralized Financeへのシフトに対応。クリプト、CBDC、ブロックチェーン、トークン化のマルチアセットプラットフォームがスコープ

バーゼル委員会、銀行の暗号資産取扱に関するパブリックコンサルテーションペーパー発表。暗号資産を「トークン化した伝統的資産やStablecoinなど既存枠組に若干の手直しで対応」「Bitcoinのように新たな処理」に区分。CBDCは対象外

Silvergate Bank、Binanceへの米ドルの入出金処理を停止との報道

4. DeFi

Uniswap v3、ArbitrumのL2へのデプロイを発表

世界経済フォーラムWEFがWhartonとまとめたホワイトペーパー「Decentralized Finance (DeFi) Policy-Maker Toolkit」

UC Berkeley DeFi Spring 2021 Lecture 8 - YouTube

Lecture 9: DeFi | Blockchain at Berkeley

5. 今週のLayerX

LayerXの新規SaaS事業で、コア機能開発エンジニアインターンを募集しています!

LayerX、新型コロナワクチン接種に伴う勤怠の取り扱いについて対応方針を決定 –就業時間内のワクチン接種を勤務時間に、副反応による体調不良期間を特別休暇に– | LayerX

秘匿化技術を活用した次世代のセキュリティ・プライバシー保護技術であるLayerXの「Anonify」について、お話しします!

LayerXとxID、茨城県立並木中等教育学校の生徒会選挙のインターネット投票導入をサポート|竹田匡宏

LayerXとしてサポートしている、インターネット投票分野の活動の一環として、出張授業をさせていただくことになりました!行政のデジタル化推進施策の一つとして、透明性と秘匿性を両立した電子投票の実現に向けて取り組んでいきます

LayerX NOW! #11 Blockchainだけじゃない、LayerX インボイス開発秘話【ゲスト:ソフトウェアエンジニア yoshikiさん】

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Issue #110(SmartNoise、MyPower)

今週の注目トピック

Takahiro Hatajima(@th_sat)より

Microsoftがリリースした差分プライバシーのオープンソースフレームワークSmartNoiseを紹介します。

合わせて、ブロックチェーンを活用したエネルギートークナイゼーションプラットフォーム「MyPower」の立ち上げについて紹介しています。

Section1: PickUp

Microsoftがリリースした差分プライバシーのオープンソースフレームワークSmartNoise

  • Microsoftが、OpenDP イニシアチブの一環としてハーバード大学と提携し、統計分析や機械学習のアプリケーションにおいて差分プライバシーでデータを保護するSmartNoiseオープンソースフレームワークをリリースした。SmartNoiseは、個人のプライバシーを保護しながら、研究者がデータからインサイトを得ることを可能とする、オープンソースの差分プライバシープラットフォームだ。具体的には、SQL Server・Postgres・Apache Spark・Apache Presto・CSVファイルへの接続に加えて、C・C++・Python・Rおよびその他言語から使用できるランタイムがあり、差分プライバシー結果を生成および検証する(SmartNoiseオープンソースフレームワークは、こちらで参照できる。ホワイトペーパーはこちら)。

  • データサイエンティストや研究者・政策立案者は、非公開にしておかなければならない機密情報を含むデータを分析する必要性に迫られることがある。こうした分析においては、集計された情報を知りたいのであって、個々のユーザーに関する情報といった知りたくないことを誤って知ってしまうことは望まれていない。例えば、COVID-19の感染拡大は、原因分析や政府の行動および医療の進歩にとってデータが非常に重要であることを示した一方で、持続可能な進歩を確実にする上では、個人のプライバシーを確​​実に保護しながら、個人データからの洞察を可能にするという新しい取組が求められている

  • その一つの手段として、個人を特定できる部分をデータセットの記録から削除した上で共有するといった、データの匿名化が広く普及している。ここで、さらなるプライバシー保護としては、公開されたデータから個人に関するいかなる結論も導き出されないようにすることだ。というのも、公開された記録には固有の変数の組み合わせが含まれていることがあり、誰かが他の公開情報とリンクさせて特定の人を再識別する可能性があるためだ。例えば、アメリカ人の87%は、性別・誕生日・郵便番号の3つのデータだけで、個人を特定できるという

  • これに対して、「k-匿名性」と呼ばれる基準を達成することによって、再識別に対して特に脆弱な属性の数を最小限に抑えることが挙げられる。例えば、性別・年齢・郵便番号の組み合わせごとに少なくとも5つのレコードが存在すれば、リリースされたデータセットは「5-匿名性」を満たすといえる。しかし、再識別されないデータを提供するために全レコードの「5-匿名性」を満たそうとすると、多くの情報を削除しなければならず、統計分析の有用性が損なわれることになる。

  • 加えて、この方法では、攻撃者のヒット率を下げることはできても、個人のプライバシーを確実に保証することはできない。匿名化されたデータの再識別のリスクは、一般に想定されるよりも大きく、巧妙な再識別攻撃の顕著な例として,「Netflix Prize」というコンテストがある。2006年、Netflixは、映画評価アルゴリズムの改善を目的とした公開コンペティションを行い、加入者の映画評価の匿名化されたデータセットを公開した(このデータセットには、人口統計学的データやユーザの識別子は一切含まれていなかった)。しかし公開から数週間後、テキサス大学オースティン校の研究者が、Netflixの加入者の一部が実名で評価を提供している公開データベース「IMDb」の対応する評価と記録を結びつけることによって、匿名化されたデータセットから多くの顧客の実名を明らかにできることが発表された。

  • そこで、「差分プライバシー」は、慎重に調整された量の統計ノイズを機密データに追加することによって、プライバシーを損なう情報の露出リスクを低減するものだ。追加されるノイズの大きさは、データベースまたはその中の特定のデータに対して実行できるクエリの数に関連付けられる。これは、データベースのプライバシーバジェットと考えられ、後述するクエリ制限に関わってくるが、技術的には「イプシロン(ε)」と呼ばれる

  • ここで、導入するノイズの量は、慎重に選択する必要がある。それは、ノイズの量が多いほど(イプシロン値が小さいほど)、プライバシーのレベルが上がる一方、ノイズの量が多すぎると、信頼できる統計結果を導き出すことが難しくなるためだ。ノイズを導入すると、プライバシー保護と分析結果の精度がトレードオフになるが、データの有用性の低下は、データを増やすことで補えることが多い。そのため、データセットの適切なイプシロン値を見いだすには、データサイエンスの専門知識が必要とされる

出典:https://azure.microsoft.com/mediahandler/files/resourcefiles/microsoft-smartnoisedifferential-privacy-machine-learning-case-studies/SmartNoise%20Whitepaper%20Final%203.8.21.pdf

  • SmartNoiseのツールキットは、機密データを保護すべく、クエリとデータシステムの間のレイヤーとして設計されている。ユーティリティー関数が含まれているネイティブランタイムである「コアライブラリ」の上に、「SQLデータアクセスレイヤー」を持つ。SQLデータアクセスレイヤーは、SQL-92をサポートするバックエンドデータベースへのコールを透過的にインターセプトし、結果を返す前に差分プライバシーを適用する。

  • ここでは、プライバシーバジェットを使用して、ユーザーに許可するクエリの数を制御する。ユーザーがデータをクエリするか、モデルをトレーニングすると、システムは次のことを行う。

    • ①統計的ノイズを追加

    • ②クエリで使用されるプライバシーバジェットを計算

    • ③残りのバジェットから差し引いて、さらなるクエリを制限

出典:https://azure.microsoft.com/mediahandler/files/resourcefiles/microsoft-smartnoisedifferential-privacy-machine-learning-case-studies/SmartNoise%20Whitepaper%20Final%203.8.21.pdf

  • 差分プライバシーは、「プライバシーとセキュリティ」のうち、プライバシーの部分をカバーするための1つの選択肢となる。一方で、システムのセキュリティを高めるためのものではないことから、他のアプローチとあわせ、今後の活用の発展に期待したい。(文責・畑島

ブロックチェーンを活用したエネルギートークナイゼーションプラットフォーム「MyPower」の立ち上げ

  • 欧州の大手ブロックチェーン・インターフェース企業であるRIDDLE&CODEの子会社であるRIDDLE&CODE Energy Solutionsが、オーストリア最大のエネルギー供給会社であるWien Energieと共同で、ブロックチェーンを活用したエネルギートークナイゼーションプラットフォーム「MyPower」の立ち上げに成功したことを発表。

  • このプラットフォームでは、ブロックチェーンとコンフィデンシャルコンピューティングにより、マイクロインベストメントと生産量(キロワットアワー)のトークン化を実現した。

  • 消費者は太陽光発電所の構築とオペレーションをサポートするために資金を提供し、リターンとしてキロワットアワートークンを受け取る。

  • キロワットアワートークンはデジタルウォレットに安全に保管され、ブロックチェーンに署名される。

  • TRUSTED GATEAWAYはエネルギーの生産量を計測し、結果を改竄不可能なブロックチェーン上に記録する。

  • Wien Energie社のCEOであるMichael Strebl氏は、「ローカル・エネルギー・コミュニティやマイクログリッドは、気候変動の問題や、持続可能なエネルギーシステムへの移行に向けて、ますます重要な役割を果たすと期待されている。」

    • 「マイクログリッド」は1999年にアメリカの電力供給信頼性対策連合(CERTS)によって提唱され、①複数の小さな分散型電源と電力貯蔵装置、電力負荷がネットワークを形成する一つの集合体、②集合体は系統からの独立運用も可能であるが、系統や他の「マイクログリッド」と適切に連系することも可能。③需要家のニーズに基づき、設計・設置・制御される。と定義されている。

    • 出典:経済産業省「地域マイクログリッド構築のてびき」

  • 「しかし、現在の市場構造は、消費者がエネルギー生産や決済への参加から事実上排除されているため、このビジョンを実現するには不十分である。」

  • 「ブロックチェーンにより、消費者がエネルギーネットワークへの積極的な参加者、プロシューマーとなる可能性を秘めている」と述べた。

  • RIDDLE&CODE社の次世代技術への深い専門知識と、Wien Energie社のエネルギー産業における知見を組み合わせたMyPowerプラットフォームにより、このギャップを埋めることに成功した。

  • 本プロジェクトの一環として、RIDDLE&CODE Energy Solutions社は、鍵管理、トークン化、証券代行業務を提供し、Intel®SGXを活用して最高レベルのセキュリティを実現した。

  • ブロックチェーンを活用したプラットフォームにより、消費者はエネルギーの消費と生産の両方に参加し、再生可能エネルギーの利用による利益を得ることができる。

  • MyPowerは、太陽光発電(PV)の資産をトークン化し、消費者がオーストリア全土のPVプラントの株式を購入を可能にする。

  • このプロジェクトのMVP段階では、小規模な太陽光発電所の株が限られた消費者に販売された。

  • 「Intel®SGXを用いたコンフィデンシャル・コンピューティングは、企業がコンフィデンシャル・コンピューティングのメリットを活用することを可能にし、データ所有者が機密データを管理し続けることを可能にします」と、インテルのコンフィデンシャル・コンピューティング・グループの事業開発担当シニア・ディレクターであるPaul O’Neillは述べている。

  • さらに「RIDDLE&CODEとWien Energy社の提携は、ダイナミックで費用対効果の高い、新時代のネットワークの構築・展開に必要なセキュリティ基盤の提供に、Intel®SGXがいかに貢献できるかを示しています」と述べている。

  • Intel® SGXは、メモリ内の特定のアプリケーションコードとデータを分離するハードウェアベースのメモリ暗号化を提供する。

  • Intel® SGXにより、RIDDLE&CODEは、エンクレーブと呼ばれるプライベートなメモリ領域を割り当てることができ、より高い特権レベルで実行されるプロセスからも保護されるような設計を可能にした。

  • RIDDLE&CODEの創業者兼CTOであるThomas Fürstnerは、「デジタル資産と物理的資産の両方のトークン化を通じて、RIDDLE&CODEは金融、モビリティ、そしてエネルギー産業における新しいビジネスモデルを可能にします。」

  • 加えて「Wien Energie社と共に、エネルギーマーケットプレイスの可能性を最大限に引き出し、消費者に柔軟性と信頼性を兼ね備えたプラットフォームを提供していきます。」と述べた。(文責:野畑)

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Section2: ListUp

1. プライバシー・セキュリティ

EU諸機関によるAWSとマイクロソフトの各クラウドサービス利用について同プライバシー責任者が調査を開始 – TechCrunch Japan

iOS 15ではさらにセキュリティとプライバシー保護機能が充実

米トヨタ、スマホアプリに「プライバシーポータル」新設…コネクトカーの個人データを保護 | レスポンス

「東芝グループ サイバーセキュリティ報告書2021」の発行について | ニュース&トピックス | 東芝

偽の暗号化アプリを犯罪者に配布し傍受--FBIらの作戦で800人以上を逮捕 - CNET Japan

デンソーとNTTデータ、車流×人流データを活用した移動体験変革の実証を完了 | NTTデータ

米国勢調査局、差分プライバシーツールガイドラインをリリース。過去のテストバージョンと比較して、プライバシーよりも正確さを優先

2. デジタルガバメント・スマートシティ

欧州委、幅広い公共・民間サービスで利用可能なデジタルID規則案を発表(EU) | ビジネス短信 - ジェトロ

各国デジタル法制執務アプリの機能比較

Linux Foundation、Global COVID Certificate Network (GCCN)立ち上げを発表

マイナカードの用途身近に 石川・加賀市の宮元陸市長: 日本経済新聞

茨城・つくば市、県立校でネット投票 : 日本経済新聞

3. デジタル化へむけた政策議論

デジタル庁の組織体制(予定)  2021年6月4日時点

ハンドブック「GDX:行政府における理念と実践」| 行政情報システム研究所

総務省|プラットフォームサービスに係る利用者情報の取扱いに関するワーキンググループ(第5回)

総務省|デジタル時代における住民基本台帳制度のあり方に関する検討会(第1回)

政府CIOポータル|ガバメントクラウド先行事業(市町村の基幹業務システム)の公募及びガバメントクラウド先行事業(地方自治体のセキュリティシステム)の公募について【地方自治体職員対象】

経産省|半導体・デジタル産業戦略

4. 中銀デジタル通貨

中国人民銀行、デジタル人民元もちいた深圳・香港間のクロスボーダー決済の規制サンドボックスを提案

英国中銀BoEによるデジタルマネー論考ペーパー

European Blockchain Observatory and Forum (EUBOF) 、デジタルユーロのデザインアーキテクチャーについてレポート発表

国際決済銀行(BIS)、中銀デジタル通貨に関するペーパーを発表

シンガポールMAS、BISイノベーションハブとの共同プロジェクト「Project Dunbar」についてHyperledger Global Forumで言及。異なる中銀デジタル通貨間でのクロスボーダー決済に取り組む「M-CBDC」

香港、デジタル人民元と国内決済ネットワークとの接続テスト実施へ。スマホ決済システムを介してデジタル人民元ウォレットにチャージするもの。今後、リテールCBDCに関するユースケースやプライバシー、マネロン防止に言及するペーパーを発行予定

香港HKMA、“Fintech 2025”戦略の中でデジタル香港ドルに言及。ホールセール・リテールの両面でBISイノベーションハブとユースケース・便益・リスクを検討している他、中国人民銀行ともクロスボーダー決済を試行

BISとスイス国立銀行およびフランス中銀によるクロスボーダーホールセールCBDCの取り組み

5. デジタル証券

セキュリティ・トークン・オファリング(STO)市場拡大の鍵を握る「6つの論点」 | 金融ITフォーカス | 野村総合研究所(NRI)

【IT動向リサーチ】セキュリティトークンの概説と動向|日本総研

6. ブロックチェーンユースケース事例

doublejump.tokyoがスクウェア・エニックスのIPを用いたNFTデジタルシール「資産性ミリオンアーサー」でLINE Blockchainを採用

LINE BITMAX Wallet、NFTの取引ができる「NFTマーケット」を提供予定。「LINE Blockchain」上で発行されたNFTの二次流通市場を構築することで、ユーザー間での取引の中でNFTの付加価値が高まっていく場を提供し、エコシステム内で流通する価値の最大化を目指す

7. 今週のLayerX

LayerXの新規SaaS事業で、コア機能開発エンジニアインターンを募集しています!

LayerX、新型コロナワクチン接種に伴う勤怠の取り扱いについて対応方針を決定 –就業時間内のワクチン接種を勤務時間に、副反応による体調不良期間を特別休暇に– | LayerX

秘匿化技術を活用した次世代のセキュリティ・プライバシー保護技術であるLayerXの「Anonify」について、お話しします!

LayerXとxID、茨城県立並木中等教育学校の生徒会選挙のインターネット投票導入をサポート|竹田匡宏

LayerXとしてサポートしている、インターネット投票分野の活動の一環として、出張授業をさせていただくことになりました!行政のデジタル化推進施策の一つとして、透明性と秘匿性を両立した電子投票の実現に向けて取り組んでいきます

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Issue #109(Differentially Private SQL with Bounded User Contribution、Enarx)

今週の注目トピック

Takahiro Hatajima(@th_sat)より

row ownershipというconceptを用いたuser-level差分プライバシーを現実化するDifferentially Private SQLについて紹介します。

あわせて、アプリケーションをTEEインスタンスで実行するためのフレームワークEnarxについて紹介しています。

Section1: PickUp

(詳細は記事タイトルをクリックするとScrapboxへ)

Differentially Private SQL with Bounded User Contribution

  • row ownershipというconceptを用いたuser-level差分プライバシーを現実化

  • 単一ユーザーによる複数のcontributions問題

  • GROUP BYキーによる漏洩問題

  • 単一ユーザーによる複数のパーティションに対する複数のcontributions問題

アプリケーションをTEEインスタンスで実行するためのフレームワークEnarx

  • 特定のプラットフォームやSDKに合わせてアプリケーションを書き換えることなく、TEE内でアプリケーションを実行可能なアプリケーションデプロイメントフレームワーク

  • CPUアーキテクチャに依存しないため、同じアプリケーションコードを複数のターゲットに展開することができ、クロスコンパイルやハードウェアベンダー間で異なる認証(Attestation)メカニズムなどの問題を抽象化することが可能

  • 現在AMD SEVとIntel SGXサポート

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Section2: ListUp

1. Bitcoin

Bitcoinハッシュレート、中国の占める割合は50%に低下。米国が12%に伸びたほか、ロシアやカザフスタンといった中央アジア域が6%に

マイアミ開催のBitcoin 2021、12000名の参加申込でSOLDOUT

6/4-6/5のBitcoin Conferenceを控えたマイアミ国際空港

Blockstream Satellite APIで配信されたデータを衛星から受信する!

マルチシグを安全にセットアップするための提案Bitcoin Secure Multisig Setup (BSMS)が、新しくBIP-129として定義された

Bitcoinデザインガイドは、Bitcoinアプリケーションをデザインする際のレファレンスリソース。Square Cryptoが立ち上げたBitcoin Design Communityによる

Rollupで使われる二つの証明方法~Validity proof と Fraud proof~

2. Ethereumなど

L2プロトコルにとってブリッジが重要な理由。ブリッジとしてWBTCやLiquid Network、Polygon Bridge、Rainbow Bridge

Arbitrumについての解説記事。Arbitrumはマルチラウンドのfraud proofを使い偽装取引を検知するのに対し、Optimismはシングルラウンドのfraud proof。

PolygonによるSDKの発表。Multi-chain Ethereumにむけた、Polygonのロードマップの一環で。OptimismやArbitrumと並びL2ソリューションが相次ぐ

DfinityのInternet Computer (ICP)について解説記事。高速なトランザクションを実現するための「Chain Key Technology」など

3. デジタルアセット関連サービス

カーボンニュートラルなBitcoinバックアセットECO BTC(eBTC)。カーボンクレジットのオフセットとBItcoinを組み合わせることで、ESGやサステナビリティにケアした投資を可能に。WrappedがCeloブロックチェーン上で提供

CircleがFidelity・FTXなどから$440m調達。SPAC通じた上場も視野に。USDCのAPIサービス提供ビジネスが成長

Coincheckの第一弾IEO、マンガやアニメ、スポーツ、音楽のための 次世代 NFTプラットフォーム

インド準備銀行、国内の銀行・規制対象組織に対して顧客むけ仮想通貨取引を行わないようにとしてきた通達を無効とする声明を発表

CoinbaseとApple Pay、クリプトデビットカードサービス「Coinbase Card」を米国ユーザーに提供へ

Standard Chartered銀行、BC Groupと提携し欧州で機関投資家向けにデジタルアセット取引サービス

4. DeFi

Makerのマルチチェーン戦略とロードマップ

ArbitrumメインネットへのUniswap v3デプロイに向けた提案とその議論

Yield Aggregatorsと呼ばれるアセットマネジメントプロトコル市場の概況。主力のYearnに加え、Vesperが伸びている他、Badger、Harvest、yAxisといったプレイヤーも

Opium Protocol  、UMA(Universal Market Access)のOptimistic Oraclesを使い、SpaceXのリスクヘッジむけ分散デリバティブ商品を開発

Set Protocol、DeFiアセットマネジメント拡大にむけて$14m調達

ING銀によるDeFiからの学びをまとめたペーパー。DeFiの特性を整理した上でAaveのユースケースについて考察している

Perpetual Protocolについての解説記事。仮想 Automated Market Maker (vAMM)を用いたデリバティブ取引プロトコル

WSJによるDeFi記事

Financial TimesによるUniswapに関する記事

5. 今週のLayerX

先日のLayerX エンジニアブログでは、Vegetaを用いてどのようにAnonifyの負荷テストをしていくかについてお話ししています!

LayerXは、GMOあおぞらネット銀行が提供する法人のお客様向け提携サービス「ビジネスサポートサービス」と連携いたしました!

総務省の令和3年度「電波の日・情報通信月間」表彰において、加賀市様・xID様との取り組みが総務大臣表彰を受けました。

LayerX NOW! #10 「眠れる銭をActivateしよう」アセマネ事業の面白さをエンジニア目線で語る【ゲスト:MDM事業部 サルバさん】| Podcast on Spotify

LayerX CEO福島のインタビューが、日経ビジネスLIVE<若手経営者が明かす、30代までに学ぶ「ビジネスの流儀」>記事になりました!

【新企画】LayerXプロダクトさわらNight #1 【はじめます】

コーポレートDXツール「LayerX ワークフロー」において、Slack承認機能などを通じて、申請から承認までの時間を大幅に短縮する各種機能をリリースしました!日経の記事としてとりあげていただいています。

LayerXの新規SaaS事業(Sales&Marketing)で、インターンを募集しています!

LayerX ワークフローでは、Slack承認に加えて、Word/Excel/PowerPoint/PDF等の添付ファイルを、ダウンロードすることなく確認することが可能となりました!

お問い合わせ・ご相談に向けたコンタクトは、こちらの「LayerX Inc. Contact Form」よりお願いします

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LayerX Labs Newsletter for Biz (2021/05/26-06/01)

Issue #109(米国国勢調査における「差分プライバシー」、日本銀行「プライバシーの経済学入門」)

今週の注目トピック

Takahiro Hatajima(@th_sat)より

米国国勢調査における「差分プライバシー」手法の導入をめぐる議論について紹介します。

あわせて、日本銀行から発表されたペーパー「プライバシーの経済学入門」の概要を紹介しています。

Section1: PickUp

米国国勢調査における「差分プライバシー」手法の導入をめぐる議論

プライバシーの経済学入門(日本銀行)の概要紹介

  • インターネット空間における個人情報の取り扱いに対する関心が高まっている中で、「プライバシーの経済学」と呼ばれる分野が注目を集めている。

  • 6月3日に発表された日本銀行員および外部研究者の研究成果を発表している日本銀行ワーキングペーパーでは、この「プライバシーの経済学」についてまとめている。

  • 本稿では、ペーパーの要点について紹介する。

  • 近年、Cambridge Analytica による個人情報データの不正利用スキャンダルなどを発端とし、プラットフォーマーへのプライバシー保護に関する規制が強まっている。

  • こうした規制当局の動きと並行して、アカデミアの分野においてもプライバシー保護や、規制のあり方について議論が活発になっている。

  • 「プライバシーの経済学」はこうした背景のもと、法学や経済学的思考を用いて、プライバシー保護に関する効用を定量化しつつ、望ましいプライバシー保護のあり方を研究する学問である。

  • 前提として「プライバシーの経済学」では、プライバシー保護の度合いを定量的に表現する場合、差分プライバシーと呼ばれる手法が用いられることが多い。

  • 差分プライバシーはコンピューター・サイエンスの分野では比較的古くから活用されて来た手法であり、データにノイズを付加するなどによって、プライバシーを保護しようとする手法である。

  • Ghosh and Roth(2011)は、差分プライバシーのパラメータ 𝜖 を用いて、プライバシーに関する消費者 𝑖 の効用を 𝑢𝑖 を 𝑢𝑖 = 𝑝𝑖 − 𝑣𝑖𝜖 と定式化している。

    • 𝑝𝑖 はプライバシーが侵害される場合の対価(金銭だけでなく利便性の高いアプリケーションやオンライン・サービスの使用による利便性も含まれる)

    • 𝑣𝑖 はプライバシーが侵害される場合のコスト(不効用)

    • 𝜖 はプライバシー・バジェット(差分プライバシーにおけるプライバシー保護とデータの有用性のトレードオフの程度)

  • こうした定量化手法に基づき、「プライバシーの経済学の分野」では様々な研究が進んでいる。

    • Huberman et al.(2005)は、「年齢」と「体重」という個人情報データをいくらで提供するかというリバース・オークションを行い、𝑝𝑖 を観察を試み、オークションの結果として、𝑝𝑖 に大きなばらつきがあることを報告している。

    • Goldfarb and Tucker(2012a)は、式の 𝑣𝑖𝜖 の計測を試みた。具体的には、2001 年から 2008 年までの期間で、人々のプライバシー保護に対する懸念 𝑣𝑖𝜖 が年々高まってきたこと、高齢層は若年層に比べて情報を開示しない傾向が強く(𝑣𝑖𝜖 が大きく)、そのギャップが年々拡大していることを指摘している。

  • プライバシー保護は人々にベネフィットをもたらす一方で、個人情報データの利用が制約されることを通じて、データを収益化させている企業にとってコストを生じさせるものでもある。

    • Goldfarb and Tucker(2011)は、EU が 2002 年に定めた「プライバシーと電子コミュニケーション指令(Privacy and Electronic Communications Directive)」により、オンライン広告の効果が 65% 減少したことを実証的に示している。

    • Jia et al.(forthcoming)は、2014 年 1 月から 2019 年 4 月までのベンチャー投資のデータを利用して、GDPR の導入によって EU のベンチャー企業への投資のディール数が 26.1% 減少したことを報告している。

    • Miller and Tucker(2009)は、米国の州ごとのプライバシー保護規制の違いを利用して、プライバシー保護規制が強いと電子医療記録の導入が拡大しない傾向があることを示した。

    • さらに、Miller and Tucker(2011)は、電子医療記録の導入が拡大すれば、新生児の死亡率が有意に低下することを報告している。

    • これは医療の世界において、プライバシー保護の制度設計が人の生死を左右するような影響をもたらす可能性を示している。

  • 一方で企業はプライバシー保護によって常にコストを支払うわけではなく、ベネフィットを得ることもある。

  • Tucker(2014)は、2010 年 5 月 28 日に実施された、Facebook のプライバシー・ポリシーの変更が広告効果に与えた影響を実証的に分析した。

    • Facebook のプライバシー・ポリシーは、2010 年 5 月に変更される以前は非常に複雑だとされており15、170 にも及ぶオプションを選択しないとプライバシーをコントロールすることができない仕様であった。

    • この変更によりすべてのプライバシー・コントロールがひとつに集約されたほか、第三者の個人情報へのアクセスを1クリックで拒否可能になった。

    • こうした変化は、広告効果を減少させることが事前に予想されたが、プライバシー・ポリシー変更後、CTRは、変更前の約 2 倍になった。

    • このことは、消費者の交渉力を強めることが広告効果の向上というかたちで企業側にベネフィットをもたらすことを意味している。

  • Aridor et al.(2020)は、旅行関連プラットフォームのデータを利用して、GDPR 導入の影響を調べている。

    • GDPR の導入により、クッキーが 12.5%減少した。これは、GDPR の導入によってクッキーの共有を明示的に拒否する消費者が増加したためと考えられる。

    • しかし同時に、GDPR の導入後にクッキーの共有に明示的に同意した消費者

    • については、驚くべきことに追跡可能性(trackability)が 8% 増加していた。

    • これについて、Aridor et al.(2020)は、これまでブラウザベースのクッキー・ブロック・ツールを使っていた消費者がクッキーの共有を明示的に拒否することでウェブ・サーバ側のデータから欠落したためにノイズが減少した結果ではないかとしている。

  • 「プライバシーの経済学」では、個人情報データが有する負の外部性が最も重要な論点であると考えられている。

  • 負の外部性とは、差分プライバシーや匿名加工などを考慮したとしても、センシティブな情報が一般的な個人情報から類推される可能性があることを意味する。

  • 人々が負の外部性を理解しており、自らのプライバシー情報を秘匿したいとしてもできない可能性があると諦めている場合において、僅かな対価で自らの個人情報データを提供することが合理的になる。

  • 人々は、本来であれば、より強いプライバシー保護を望んでいるにも関わらず、それを選択しないことが合理的になるような状況に置かれてしまい、結果としてプライバシーの侵害を引き起こす。

  • 負の外部性に対する解決策として三つのプライバシー保護方式が紹介されている。

  • 一つ目は外部性を「内部化」するような「パーソナライズされたピグー税」である。

    • 負の外部性があるもとでデータが過剰に提供されるのは、それぞれの人々が外部性のコストを全く負担しないことが原因である。

    • したがって、人々の個人情報データ間の相関構造に応じて、税金を負担させればよいということになる。

    • 別の人との相関が強い人は、相対的に多くの税金を負担することで、データ提供のインセンティブをそがれることになるというメカニズムである。

    • もっとも、「パーソナライズされたピグー税」は、さすがに非現実的である。たとえば、1,000 万人の利用者を有するプラットフォームにおいて、個人情報データの相関行列にもとづいて最適な税負担額を随時計算することは、およそ現実的なスキームとは思われない。

  • 二つ目は、「価格差別なしのオプト・イン同意規制」である。

    • EU の GDPR では、オプト・イン同意規制が課されており、消費者に提示される同意のチェックボックスに予めチェックが入っている状態は認められていない。

    • Choi et al.(2019)は、社会的に望ましい水準を上回ってデータを収集する際にオプト・インを求めるような規制によって状態が改善しうるとする。

    • 望ましい水準を上回らないように、オプト・インによるコストを設けるというものであり、本質的には、第一の「パーソナライズされたピグー税」と同じ発想といえる。

  • 三つ目は、「相関除去メカニズム」である。

    • これは、個人情報データ間の相関構造を消してしまうという発想である。

    • 信頼できる第三者が一旦すべての個人情報データを収集し、個人情報データ間の相関をすべてゼロになるように、プラットフォーマーに開示するデータと開示しないデータを選択するというものであり、このスキームは、経済全体の余剰を必ず改善する。

  • このように様々な方向性が検討されている一方で、規制やメカニズムでは解決できない新たな課題も生じ得る。

  • オプト・イン同意規制に関しては、データの提供によって得られる利便性への正確な説明と理解がなければ社会全体の効用を不必要に下げる可能性もある。

  • 相関除去メカニズムに関しては、信頼できる第三者の信頼性をどう担保するのかという課題も存在する。公的機関などの主体に対する信頼だけでなく、前週のNewsLetterでも紹介したコンフィデンシャルコンピューティングなどのプライバシー保護技術などの活用により、システム自体の信頼性も求められる。

  • 「プライバシーの経済学」はプライバシー保護のあり方を経済学の立場から考えるものであるが、プライバシー保護のあり方を考えるには規制やメカニズムといった観点以外にも教育や統計学、新たな計算技術、暗号学など、様々な分野を多層的に適用していくことが期待される。(文責・野畑

    改訂履歴:

    「わが国の個人情報保護法では推論(プロファイリング)によって取得した情報は、「個人情報」には該当しないとされており、この負の外部性については対処できないと考えられる。」の記述については、個人情報該当性に、推論(プロファイリング)による取得は関係ないと考えられることから、削除いたしました。(2021年6月10日)

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Section2: ListUp

1. プライバシー・セキュリティ

第25回サイバー犯罪に関する白浜シンポジウムの講演資料が公開

個人を特定できるデータを処理する組織にとっての、Confidential Computingを用いた、ワークロードのクラウド移行ケース

サイバー攻撃、5年で8.5倍に 検挙数も過去最多

アルファベット傘下のSidewalk Labsがリアルタイムデータで都市部の駐車スペースを管理するセンサー「Pebble」を発表

世界最大の食肉加工会社にサイバー攻撃、米豪の工場が停止 ロシアの犯罪集団関与か - BBCニュース

内閣官房のデータ流出 サイバー攻撃対応の訓練情報も流出判明 | サイバー攻撃 | NHKニュース

Forbes、R3 CTOによるConfidential Computing記事

2. デジタルガバメント・スマートシティ

コロナ療養患者の郵便投票 東京都議選から適用へ

欧州eHealth NetworkによるDigital Green Certificatesむけ技術仕様

米国で進むオンライン公証と日本の公証制度の現在地 - サインのリ・デザイン

EU、デジタルID共通化 〜 来年稼働目指す、スマホに免許証など保管

3. デジタル化へむけた政策議論

総務省|「ポストコロナ」時代におけるデジタル活用に関する懇談会(第3回)

4. 中銀デジタル通貨

スウェーデン中銀Riksbank、中銀デジタル通貨e-kronaパイロットの次フェーズ開始を発表。外部関係者としてHandelsbankenおよびTietoEVRYを交え、既存システムとe-kronaの支払システムの統合テスト

スウェーデン中銀Riksbankから今年4月に発表された、e-kronaパイロットステージ1のレポート

5. デジタル金融

みんなの銀行が、サービス提供開始。国内初のデジタルバンク「みんなの銀行」 お客さま向けサービス提供開始のお知らせ

EU、ポストコロナへ向けてデジタルウォレットを計画

ふくおかFG、フィンテック企業に出資 暗号資産管理など: 日本経済新聞

6. デジタル証券

Securitize、Securitize Capitalを設立。暗号通貨やDeFiで得られる利回りに機関投資家がアクセスするのは複雑であることから、デジタルアセット証券の形で提供するもの。

シンガポールDBS銀、DBS Digital Exchange (DDEx)として初めて証券トークンを発行。1500万シンガポールドルのデジタル債券

DBS銀行、エンジニアの数を銀行員の2倍に──グプタCEOが力を入れるトークン化金融とは | coindesk JAPAN | コインデスク・ジャパン

野村グループのデジタル資産戦略、新たな価値と市場の整備をけん引|日経BizGate

Societe Generale、規制環境における証券トークンの枠組みについて、「CAST Framework」をホワイトペーパーとあわせ発表。金融機関コミュニティによるガバナンス組織立ち上げ目指す

7. ブロックチェーンユースケース事例

ビジネス・デジタル化への「3ステップ」 日本企業がブロックチェーンを活用するには?|SBI R3 Japan寄稿

3つのブロックチェーンを使ったエイベックスのコンテンツビジネス、勝算はあるか | 日経クロステック(xTECH)

献血むけにNFT利用。ドナーをトークンでマーキングし、特定の血液型の献血を病院や受領者までトレース可能。同様に製薬会社が医薬品の真正性をNFTで追跡し、処方箋と紐付けることで偽造処方を防止

8. 今週のLayerX

先日のLayerX エンジニアブログでは、Vegetaを用いてどのようにAnonifyの負荷テストをしていくかについてお話ししています!

LayerXは、GMOあおぞらネット銀行が提供する法人のお客様向け提携サービス「ビジネスサポートサービス」と連携いたしました!

総務省の令和3年度「電波の日・情報通信月間」表彰において、加賀市様・xID様との取り組みが総務大臣表彰を受けました。

LayerX NOW! #10 「眠れる銭をActivateしよう」アセマネ事業の面白さをエンジニア目線で語る【ゲスト:MDM事業部 サルバさん】| Podcast on Spotify

LayerX CEO福島のインタビューが、日経ビジネスLIVE<若手経営者が明かす、30代までに学ぶ「ビジネスの流儀」>記事になりました!

【新企画】LayerXプロダクトさわらNight #1 【はじめます】

コーポレートDXツール「LayerX ワークフロー」において、Slack承認機能などを通じて、申請から承認までの時間を大幅に短縮する各種機能をリリースしました!日経の記事としてとりあげていただいています。

LayerXの新規SaaS事業(Sales&Marketing)で、インターンを募集しています!

LayerX ワークフローでは、Slack承認に加えて、Word/Excel/PowerPoint/PDF等の添付ファイルを、ダウンロードすることなく確認することが可能となりました!

お問い合わせ・ご相談に向けたコンタクトは、こちらの「LayerX Inc. Contact Form」よりお願いします

Disclaimers

This newsletter is not financial advice. So do your own research and due diligence.

LayerX Labs Newsletter for Tech (2021/05/19-05/25)

Issue #108(cacheの基礎と攻撃、Privacy and Integrity Preserving Training Using Trusted Hardware)

今週の注目トピック

Takahiro Hatajima(@th_sat)より

IEEE S&P 2021に採択されたランダム化を利用してサイドチャネル攻撃に対抗するcacheアーキテクチャに関する分析論文を紹介します。

あわせて、DNNの学習において、GPUなどのacceleratorを使いながら、TEE (Intel SGX)でinput dataのprivacyとcomputatioon integrityを担保するDarKnightの提案について紹介します

Section1: PickUp

(詳細は記事タイトルをクリックするとScrapboxへ)

cacheの基礎と攻撃、randomized cache architecture

  • IEEE S&P 2021に採択されたランダム化を利用してサイドチャネル攻撃に対抗するcacheアーキテクチャに関する分析論文

  • cacheの基礎およびcacheに対するサイドチャネル攻撃を整理

  • 本論文では攻撃をより効率的に行うPRIME + PRUNE + PROBE攻撃も提案されている

Privacy and Integrity Preserving Training Using Trusted Hardware

  • DNNの学習において、GPUなどのacceleratorを使いながら、TEE (Intel SGX)でinput dataのprivacyとcomputatioon integrityを担保するDarKnightを提案

  • TEEでは、customized matrix masking techniqueによりinput dataをエンコードすることと、非線形の計算 (ReLU, Maxpool) を行う

  • GPUでは、エンコードされたdataにDNNの線形の計算 (convolution, matrix multiplication) を行う

新規SaaS事業でソフトウェアエンジニアを圧倒的に募集しています!
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LayerXではエンタープライズ向けブロックチェーン基盤を基本設計、プライバシーの観点から比較したレポートを執筆し、公開しています。

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Section2: ListUp

1. Bitcoin

Blockstream、BitcoinヘッジファンドAdamant Capitalを買収し、Liquid Network上でBitcoin投資商品を提供する部門として新たにBlockstream Financeを設立

【動画で学ぶブロックチェーン】Bitcoinのソフトフォークのデプロイ方法 -安土 茂亨氏 - GBEC - Blockchain を推進するエンジニアリングコミュニティ -

6/4-6/5に米マイアミで開催されるBitcoin 2021のプログラムLivestreamリンク

Bitcoin Optech Newsletterが150号を迎えた

2. Ethereum

Vitalikによるスケーラビリティとシャーディングに関する記事

Ethereum 2.0ハードフォークAltairについて

OptimismとArbitrumの比較スレ

Arbitrum、Etherscanとのパートナーシップを発表

3. デジタルアセット関連サービス

Goldmanのレポートより。SoVとしてのether

Huobi、市場環境の大きな変化を理由として投資家保護を目的に特定国からの新規ユーザーに対するETPなどの投資商品提供を停止することを公式に発表

PwCの発行したクリプトヘッジファンドレポート

ジャックドーシーの「Bitcoin Clean Energy Initiative」レポート和訳

中国の暗号通貨デリバティブBybit、6/15を以って中国の携帯電話で登録されたアカウントを閉鎖へ

Consensus2021 メモ 5/24

GameStop、Ethereum上にNFTプラットフォーム構築へ

米ネブラスカ州、銀行がデジタルアセット部門を設けることを可能にするほか、デジタルアセット企業がデジタルアセットむけ銀行を営むことを認める法律を制定。デジタルアセットのカストディが対象に

PayPal、暗号通貨の引き出し機能をサポートへ

英国広告基準協議会(ASA)、暗号通貨取引所Lunoによるロンドン地下鉄でのBitcoin広告キャンペーン停止を求める

4. DeFi

Yearn Financeのエコシステム

Whartonと世界経済フォーラムWEFによるDeFiに関するレポート

ハイブリッドな投資商品をプリパッケージしたDeFi向けストラクチャードプロダクトRibbon Finance

Protocol上のDAOプロジェクトファンドKomorebi Collective

【第3回】DeFiにおけるベーシックな考え方

Uniswap、EthereumスケーリングソリューションArbitrumへのデプロイを準備中

Compound Gateway、Substrateで構築された、クロスチェーンでの金利マーケット向け分散台帳

5. 今週のLayerX

「LayerX インボイス」を補助金を活用して低コストで導入いただけるようになりました。

  • 補助対象となる中小企業・小規模事業者さまが「LayerX インボイス」を導入いただく場合、最大で40万円(導入費用の2/3以内)の補助金交付を受けることが可能となります!

本日のLayerX エンジニアブログでは、Intel SGXを動作可能なAzure Confidential Computing VMを利用して、Linux(Ubuntu)でAnonifyを動かすまでの初期セットアップ手順を紹介しています!

本日のLayerXエンジニアブログでは、複雑な要件が絡まり合うアセマネ業務において、どのように開発要件を整理していったか、その考え方を中心に簡単に解説しています!

三井物産デジタル・アセットマネジメントにおいて、JA三井リースさまとの資本業務提携および第三者割当増資を発表しました!

  • インフラ分野でのネットワーク・知見の融合による資産運用力の強化などを、強力に進めていきます!

お問い合わせ・ご相談に向けたコンタクトは、こちらの「LayerX Inc. Contact Form」よりお願いします

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