LayerX Newsletter for Tech (2020/06/22–06/28)

Issue #64


今週の注目トピック

 Tomoaki Kitaokaより

今週はAppleの自社設計のプロセッサApple Siliconに移行、KusamaネットワークのPolkadotでの位置付けと比較、ステーブルコインのリスク分析と新たな設計モデルの提案をピックアップしました。特にKusamaネットワークとPolkadotの違いは勘違いが生まれやすいポイントを整理しており、必見です。

Section1: PickUp

AppleがMacのプロセッサを自社設計のApple Siliconへ移行することを発表

  • WWDC2020の基調講演にてMacのプロセッサを自社設計のApple Silliconへ移行することが発表された。Macに搭載されるCPUは、1990年代にPowerPCからIntel製に移行された。現行MacのプロセッサはIntelベースだが、iPadやiPhoneではARMベースのプロセッサが利用されている。アーキテクチャとしてもCPUとGPUでメモリが分離されていたが、今回の移行によりメモリアーキテクチャが統合され、iPadやiPhoneのアプリケーションがMac上で動作するとしている。

  • Apple SiliconのSecurity featuresとして「W^X(Write XOR execute)」「Kernel Integrity Protection」「Pointer authentication」「Device isolation」の4つの機能が紹介された。1つ目のW^Xは、メモリページの書き込みと実行が同時に実行されないことを保証する機能だ。JITコンパイラによって、Write命令とExecute命令がRWX memoryに変換され、JITコードとして実行される。2つ目のKernel Integrity Protectionによって、ハードウェアレベルでカーネルの完全性を保証する。カーネルが初期化されたあとは、変更や新しいコードのロードが起こらない。3つ目のPointer authenticationは、64bitポインタに対し、アドレスの前にPAC(Pointer authentication code)を付与し、ポインタの誤使用を防止する。カーネル、システムアプリケーション、システムサービスによってのみ有効化される。最後に4つ目のDevice isolationについて述べる。現行のIntel製Macでは、デバイスがメモリにアクセスするために共有のIOMMUを用いている。Device isolationによってデバイスごとにメモリマップの独立性を実現する。

  • 発表では、iPhoneのセキュリティを「Full security」と表現しており、Apple製品の中でもTouchIDやFaceIDを有するiPhoneのセキュリティが強固だと捉えていることが伺える。4月にはAppleとGoogleが共同で、Exposure Notification(Privacy-Preserving Contact Tracing)の仕様を公開した。今回のMacプロセッサを自社設計のApple Siliconへ移行するニュースは、デバイスレベルでセキュアな機能を実現する取り組みの一つとしても注目だ。(文責・恩田)

KusamaネットワークのPolkadotでの位置付けと比較

ステーブルコインのリスク分析と新たなモデルの提案

  • Smart-contract Risk: スマートコントラクトのバグによって意図しない挙動を引き起こすリスク。

Section2: ListUp

1. Bitcoin

Bulletproofsのプルーフサイズを約15%削減可能な改良版Bulletproofs+のペーパー

Bitcoinのプライバシー改善にむけたCoinswap実装

TaprootとSchnorr署名について

2. Ethereum

ConsenSys、半導体メーカーAMDとの間でJVとなる「W3BCLOUD」社を設立。ブロックチェーンネットワーク向け並列分散コンピューティング基盤の開発めざすとのこと

RedditとEthereum Foundationによるコミュニティポイントスケーラビリティプログラムの要件リスト

ConsenSysによるEthereum 2.0 用語集

Ethereum L2スケーリング技術の全体像

3. Bitcoin/Ethereum以外

IBM Blockchain Platform v2.5のリリース。Hyperledger Fabric 2.0およびRed Hatとのインテグレーションなど

中国Blockchain Services Network、6月末にグローバルポータルを公式ローンチへ

Beam、プライバシーDeFiアプリケーション基盤強化にむけてハードフォークへ

AVA、Galaxy DigitalやBitmain参加のもとにプライベートトークンセール通じて$12M調達

4. 統計・リスト

各種Hyperledger プロジェクトのチュートリアルリンク集

5. 論考

TEEとIntel SGX入門

Anonify理論編

Anonify実践編

SSI Meetupより、eIDASによるデジタルアイデンティティおよび分散台帳ベーストランザクションの法的サポートに関するレクチャー

6. 注目イベント

INFOCOM 2020 (7/6-7/9, オンライン開催)

SECRYPT 2020: 17th International Conference on Security and Cryptography (7/8–7/10, オンライン開催)

USENIX Security 2020 (8/12-8/14)

Crypto 2020 (8/16–8/20, 開催未定)

CRYPTOLOGY2020: 7th International Cryptology and Information Security Conference 2020 (TBA)

VLDB 2020 (8/31-9/4, オンライン開催)

Disclaimers

This newsletter is not financial advice. So do your own research and due diligence.

LayerX Newsletter for Biz (2020/06/22–06/28)

Issue #64

今週の注目トピック

Satoshi Miyazakiより

今週のPick編では、中国のBSNにおけるChainlink社のオラクル活用の動向と、韓国における分散アイデンティティプロダクトの商用化、カナダ中銀によるCBDCのプライバシーフレームワークについて取り上げています。海外でブロックチェーンの商用化が進み、それにあわせて論点が高度化していることが感じられる内容となっています。List編とあわせてご覧ください。

Section1: PickUp

中国のBlockchain-Based Service Network、外部データソースのネットワークとしてChainlinkをパートナーに

  • 中国のブロックチェーンネットワークBSN (Blockchain-Based Service Network) が、Chainlink社の提供する外部データソース(オラクル)を組み込むことを発表した。BSNは中国政府が直接運営するものではなく、China MobileやChina UnionPayを初めとした事業体によるコンソーシアムネットワークだ。利用する企業や開発者は、幅広なメニューからコンポーネントを選択することによって、安価かつ効率的にブロックチェーンアプリケーションを構築できる(英語版開発者マニュアル)。

  • ブロックチェーンは、改竄困難な台帳にデータを格納し価値を交換できる安全なネットワークとして知られている。さらにスマートコントラクトは、ブロックチェーン上で稼働する改竄困難なプログラムであり、ある条件が満たされたら所定のアクションを起動するといったものだ。例えば、Etheriscのデジタル保険では、実際のフライトデータに基づいて、飛行機遅延保険の支払が自動的に執行される。

  • これまで、現実世界のデータをブロックチェーンネットワークへ注入することが課題となってきた。一律のデータを提供することは容易だが、その一元的なデータソースが攻撃を受けたり乗っ取られた場合に、不正なインプットに基づいてビジネスロジックが実行され、巻き戻しの困難な形で台帳に記録されてしまう。そのため、スマートコントラクトのインプットデータ(オラクル)は、適切な形で分散化を図ることが重要であり、chainlinkはそうした信頼性の高いインプットデータを提供すべく、GoogleOracle社およびSWIFTとも提携している。

  • Chainlinkのオラクルネットワークを備えることによって、BSNというブロックチェーンネットワークは、現実世界についての信頼できる情報を得た上で、ブロックチェーン上のスマートコントラクトを実行することが可能となる、というわけだ。具体的には、株価やChina Union Payの金融トランザクション情報のような外部データへのアクセスが可能となる。

  • Chainlinkのオラクルデータを用いた応用例として、例えば韓国では、症例報告書(CRF)電子化の加速にあたり、信頼性高い形で健康データを管理する取組が始まっている。糖尿病などの臨床データを蓄積し、医師・研究者・患者の間で共有の上で医学研究に活用するものだ。ブロックチェーンのデータ登録プラットフォームに対して、現実世界の臨床データを提供する上で、chainlinkと提携するとしている。

  • ブロックチェーンの商用化に留まらず、外部データソースに基づくビジネスロジック執行の動きが中国・韓国で一般化しており、動向に注目したい。(文責・畑島)

韓国の通信大手3社、ブロックチェーンデジタルアイデンティティアプリを運転免許証ベースにローンチ。韓国で相次ぐブロックチェーン商用化

  • SKテレコムは、KTおよびLG U+と協働で、ブロックチェーンベースのデジタルアイデンティティアプリケーション「Pass」の商用ローンチを発表した。運転免許証の検証および他サービスむけの認証が可能となるものであり、例えば、アルコール飲料購入時に未成年でないことを証明する上で、運転免許証のような形で、住所などの余計な個人情報を店員に示すことが不要になる。この仕組みは警察の運転免許証検証システムと連動しており、韓国で、こうした形でデジタル運転免許証の検証サービスが展開されるのは初めてのこととされる。

  • このような形で、ブロックチェーンベースの商用化アプリケーションのローンチが、韓国で相次いでいる。従来より中国におけるデジタル化およびブロックチェーン商用化の事例は繰り返し紹介してきたが、2020年に入って韓国においても複数の分野で商用化事例が見られることから、概況を俯瞰して紹介したい。

  • まず冒頭のトピックと同じデジタルアイデンティティの分野では、釜山市が、パブリックチェーンを用いて市民の情報を検証する識別アプリをローンチしたほか、韓国NH農協銀行、SK Telecomと協働でユーザーが自身の個人情報をコントロールすべく、ブロックチェーンベースのモバイル従業員IDをローンチしている。韓国LG CNS社は、デジタルアイデンティティ分野で著名なEvernym社との提携を発表した。

  • 次に、複数機関どうしの情報連携分野では、通信会社のKT社が、病院・大学・ジムなど多数の契約を扱う機関を対象として、ブロックチェーンベースに契約の生成・流通・格納を行うペーパーレスプラットフォーム「KT Paperless」をローンチしている。釜山市は、銀行・大学病院・決済企業との間で、患者と医療機関の接続、外貨両替・口座開設、メッセージ配信などを行う「メディカルツーリズム向けブロックチェーンプラットフォーム」を構築している。

  • さらに、デジタルガバメント分野では、2022年までにオンライン投票・選挙システムをローンチすべくブロックチェーン戦略が発表された。世宗市では、スマートシティと自動運転車両間の情報共有をはかるべく、車両のデジタルアイデンティティ検証むけブロックチェーンプラットフォームをLG CNSと共同開発している。

  • 日本国内では、ブロックチェーンの商用化事例はまだ数が少なく、PoC止まりの取組も多い。その一方で、中国だけでなく、韓国でも、このように商用化の事例が今年に入って続いている。こうした隣国の動きが、どのように日本へ波及していくか、今後の動向に注目したい。(文責・畑島)

カナダ中銀が中銀デジタルマネーのプライバシーに関する論点について公開

  • カナダ中銀が、中銀デジタル通貨(CBDC)の発行にかかるプライバシー技術について、フレームワーク化したレポートを公式ブログ上で公開した。記事は、CBDCのプライバシーについて、完全なプライバシーを実現するか、完全にプライバシーをなくしてしまうべきかの二元論で議論すべきでなく、各国それぞれの要件に応じて緻密に設計すべきものであるとし、その指針をフレームワークとして提示するという趣旨について述べている。

  • CBDCの設計に際して、「どの情報を」「誰から」隠すか、という二つの大きな論点が挙げられ、各国で求められる要件が異なることが想定される。また、今日の多様な決済関連技術を前に、最適なプライバシー技術の選定を行うことも欠かせない。例えば、プライバシー技術にはグループ署名やゼロ知識証明、マルチパーティコンピュテーションなど様々な選択肢があり、それぞれ向き不向きがあることに注意が必要である。

  • 記事では、CBDCに用いる基盤技術とプライバシーの度合いに関して、図を用いたフレームワークを提示している。ここでは、CBDCのネットワークは「ホルダー」と「トランザクション」の二要素に分解している。ホルダーにはOwner(所有者)とBalance(残高)が、トランザクションにはPayer(払い手)とPayee(受け手)、そしてAmount(送金額)の概念が付随する。また参加者の構成としては、政府、PayerのMSB(銀行などのMoney Service Business)、PayeeのMSB、Payee、決済事業者、その他一般ユーザーに分類できる。ここで、縦軸を決済技術の種類、横軸をネットワークの参加者と個別の要素で整理し、それぞれのプライバシーの実現レベルを評価したものが下表である。数字が大きい(色が濃い)ほど、紙幣の持つプライバシー要件に近くなる。

引用元:Privacy in CBDC Technology

  • こちらは数字が高い(プライバシー要件が紙幣に近い)ほど良い、というわけではなく、要件に照らし合わせて最適な技術を選定する必要があることが、繰り返し主張されている。CBDCの設計に際する論点として、「どのエンティティをトラストする(しない)前提を置くか」等、ネットワークガバナンスに関連する観点が提示された。他には、一般的に秘匿化/匿名化の要件が高くなるほど、必要なProofデータの容量が大きくなるため、ハードウェア要件の難易度が上がる傾向にある等の技術的な要件や、AML/KYC等の規制要件をどのようにして満たすか、といった論点も提示された。

  • カナダ中銀はProject Jasperなど、早期からデジタル通貨に関する技術的検証を行っていることで知られている。今後もカナダ中銀発の様々なインサイトに注目したい。(文責・宮崎)

Section2: ListUp

1. Regulation : 規制動向

BIS国際決済銀行、アニュアル経済レポートで「デジタル時代における中銀とペイメント」ペーパーを発表。あわせて動画とポットキャストも

米当局NYDFS、仮想通貨のリスティングに係るガイダンス。リスティングポリシーとして、ガバナンス・リスクアセスメント・モニタリングを含めることを求めた上で、Self-certificationプロセスに言及

2. Crypto Adaptation: 暗号通貨の普及・応用

スウェーデンRiksbankが発表した「e-krona」特別号となる経済レビュー要約記事

ING銀、暗号資産業者むけにFATFトラベルルールをサポートするトラッキングプロトコルを開発。Standard Chartered BankやFidelity Digital Assets およびBitGoとの協業

3. Decentralized Finance : DEXやトークンなど

DeFi Money Market、Initial DEX Offering (IDO) として行ったガバナンストークンのパブリックセール結果を発表

CompoundのガバナンストークンCOMPの配布結果について

自動アセットマネジメントプロトコルBalancer、ガバナンストークンBALをLiquidity Minerへ配布

4. Programmable Security : プログラマブル証券関連

Vanguard、SymbiontやBank of New York MellonやState Street等と協働で通貨フォワード取引のデジタル化。ワークフローの効率化および透明性向上をはかる

VMWareブロックチェーンとDAML用いて構築中のASX豪州証取CHESS決済システム、ローンチを2021年4月と発表

Nasdaq、R3・Symbiont・Microsoftと協働でデジタルアセットプラットフォーム「Marketplace Services」をローンチ

5. Financial Institutions : 金融機関による応用ケース

イタリア銀行協会、デジタルユーロのパイロットプロジェクト参加への関心を表明

Corda上で稼働するデジタルトレードネットワークContourのケーススタディ

bitFlyer Blockchainのブロックチェーン投票サービス「bVote」による バーチャル株主総会が開催

6. Enterprise/Government : 非金融分野の応用ケース

中国で分散デジタルアイデンティティアライアンス(DIDA)が設立。Tencent Cloud、WeBank、China Telecom、Baiduなどが参加

韓国、2022年までにオンライン投票・選挙システムをローンチすべくブロックチェーン戦略を発表

7. Startup : 個別プレイヤー・アプリケーション

mStable、Stablecoinアグリゲーター

8. Articles : 論考

Microsoftとドイツ・デンマークの大学、国際カーボンクレジット市場構築におけるブロックチェーンの効用についてまとめたペーパーを発表

9. Future Events : 注目イベント

杭州BlockchainWeek(7/5-7/6で開催。中国の国家ブロックチェーンアライアンスBSNなどがサポート)

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LayerX Newsletter for Tech (2020/06/15-06/21)

Issue #63

今週の注目トピック

 Tomoaki Kitaokaより

今週はLayer2のスケーリングソリューションであるzkSync、匿名性・秘匿性のある暗号通貨として有名なGrinに関する研究論文、ブロックチェーン上での乱数生成サービスのVeeDoを取り上げています。どのトピックもブロックチェーンを社会実装するにあたって、必要となってくるものであり注目が集まります。

Section1: PickUp

Layer2スケーリングソリューション『zkSync』のパブリックβ版がローンチ

  • Matter Labs によって開発が進められている Layer2 スケーリングソリューション『zkSync』のパブリックβ版 v1.0 がローンチされた。zkSync は、zkRollup を用いて Layer1 と同等のセキュリティを保証しつつスループットを向上する技術である。パブリックβ版では、Ethereum メインネット上で zkSync による送金が可能になっている。zkSync は当ニュースレターで過去、zkSync v0.1 の紹介 Matter Labs による Layer2 スケーリング比較 にて取り上げている。

  • zkSync は、$0.01 未満の送金手数料を目標としており (Ethereum メインネットだと $0.1~$0.3 程度)、トークンの送金にトークン自身を利用できるようになる。アカウント作成はコスト無しで行え、取引は即時に承認され数分以内に subjective finality を獲得できる。加えて、zkSync アカウントは長期間オフラインになっても問題なく (例えば1年) 、zkSync オペレータはアカウントの資産を差し押さえできないため、オペレータが攻撃に晒されても安全である。

  • zkSync の画期的な点として、zkRollup にアプリケーション固有の Trusted setup が必要ないゼロ知識証明 PLONK を用いている点がある。従来用いられてきた SNARK である Groth16 は、アプリケーションごとに Trusted setup が必要であり、アプリケーションのロジックが変わる度に Trusted setup を行わなければならない。一方 PLONK は、一度だけ実行した Trusted setup のアウトプット (Common reference string; CRS) を用いるため、その必要がない。zkSync は、 AZTEC Protocol 主催の Ignition MPC で作成された CRS を用いている (Vitalik Buterin 氏も参加)。

  • 現状の問題点の一つに、SNARK フレンドリな署名技術を用いているためブラウザによって署名を処理しなければならないセキュリティ上の問題がある。今後 Matter Labs は、その署名機能を組み込んだ Metamask を公開し、この問題を解決する予定である。また、ゼロ知識証明ベースのスマートコントラクト Zinc との統合も予定されている。2020年に入り Layer2 スケーリング技術のローンチが続いており、その一つで、かつ、先端的なゼロ知識証明を用いている zkSync は今後も注視していきたい。(文責・岡南)

暗号通貨Grinの送金額の秘匿性に関する研究

  • インド工科大学ボンベイ校のチームが、匿名性・秘匿性のある暗号通貨として有名なGrinに関する研究論文「On the Confidentiality of Amounts in Grin」を発表した。Bitcoinなどと異なり、Grinはトランザクションの送金額を秘匿化するよう作られているはずだが、実際には送金額をある程度見積もる (upper boundを見つける) ことのできる攻撃手法に関する研究である。

  • GrinはMimbleWimbleというプロトコルをベースに作られた暗号通貨で、2019年1月から稼働している。各トランザクションアウトプットの送金額はPedersen commitmentsにより秘匿化されており、blinding factorからアウトプットを消費する秘密鍵が作られる。送金額が正当な範囲である範囲証明が付与され、またインプットの合計とアウトプットの合計が等しいことは、Pedersen commitmentsの加法準同型性により保証する。

  • 今回の論文では、Grinのトランザクショングラフから送金額の範囲を推定する攻撃手法を提案している。結果として、(マイナーへの報酬ではない) 通常の未消費output 110,149個のうち983個 (約0.9%) は、1800 grin (30分間のマイニング報酬相当, 執筆時価格で9万円程度) 以下であることが推定されているとのこと。

  • Grinのプライバシーに関する攻撃手法としては、Ivan Bogattyが、P2Pネットワークでのトランザクション伝播の情報を元にinputsとoutputsをリンクする攻撃を発表している。今回の研究ではこの手法は用いられていない (過去のトランザクションのP2P情報を得るのは難しいため) が、組み合わせることでより狭く送金額の範囲を見積もることができるだろう、としている。

  • ブロックチェーンの研究の中でも、プライバシー分野の技術は非常に扱いが難しい。トランザクションから一見送信者・送金額がわからなそうなプロトコルでも、複数のトランザクションを組み合わせたり、P2Pネットワークレベルの情報を使うなどにより、送信者・送金額を推定する様々なヒューリスティクスが存在しうる。したがって、正しく形式化し、証明を与えることが非常に大切ではあるが、アクロバティックな要素技術に依存していて、モデル化が複雑で難易度が高く、今回のGrin (MimbleWimble) をはじめ未だ完全に検証しきれていないものも多い。とはいえ、ブロックチェーンの社会実装にはプライバシー技術は不可欠であり、時間をかけてでも取り組んでいくほかないのである。(文責・中村)

STARKとVDFを使った乱数生成サービス、VeeDoがメインネットローンチ

  • ブロックチェーンにおける乱数生成は長期にわたって議論されている。一番単純なものはブロックハッシュやブロックのタイムスタンプを活用したものである。しかし、これらの値はマイナーによって恣意的に操作することが可能であるため、乱数生成の手段としては不適切である。

  • その他の手法にはChainlinkのVRFやKeep NetworkのRandom Beaconなどがある。これらのソリューションは乱数のバイアスを取り除くためのトラストポイントが存在していたり、提供者による結託を想定していないないなどトラストレスでない部分が存在する。

  • 一方、VeeDoはトラストレスでバイアスのない乱数生成サービスである。VeeDoはVerifiable Delay Function(VDF)とSTARKをか組み合わせた乱数生成サービスである。VeeDoはVDFの検証プロセスをSTARKを活用して効率化させる。

  • VDFとは文字通り遅延を生じさせるような計算を実行する関数である。VDFはSeed sに対してn回のインターバルで計算を行うような関数 f(s,n)であり、意図的に計算量を多くし遅延を生じさせることができる。

  • VeeDoはVDFの計算結果の検証をSTARKによって大幅に効率化せる。VDFの計算結果の検証に要する時間は計算する時間より大幅に短いが、STARKを活用することで検証時間をさらに短縮させ、より大きい遅延の検証にも対応しやすくなった。

  • 乱数生成サービスにおける基本的な設計としてはブロックハッシュのような高いエントロピーからVDFのSeed sを作り、f(s,n)のアウトプットをバイアスのない乱数として利用するというものだ。Seed sからf(s,n)の値をt以内に予想するのは理論上不可能であるため、全ての参加者に対してt以内に移動や入札を行なってもらい、t後に計算されたf(s,n)を乱数として利用する。

  • VDFは様々なアプリケーションへの応用が期待されている。特に、Ethereum2.0のbeacon chainのcommitteeの選出でも使われる予定であり、注目が集まる。(文責・北岡)

Section2: ListUp

1. Bitcoin

ライトニングネットワーク ペイメントの新潮流〜貨幣システムはどこまで刷新されるのか

2. Ethereum

StarkWareの考えるオンチェーン・オフチェーンハイブリッドのデータ可用性ソリューションVolition。StarkExも近日サポート予定とのこと

Reddit、コミュニティポイントプログラム向けにスケーラビリティソリューション強化すべくEthereum Foundationと提携

3. Bitcoin/Ethereum以外

Corda Guide(日本語)

世界経済フォーラムのテクノロジーパイオニア企業に、MakerDAO、Lightning Labs、Elliptic、Chainlink、Ripio、Veridum Labsが選出

4. 統計・リスト

ConsenSys Diligenceによるセキュリティ情報レポジトリ「Blockchain Security Database」

海外のブロックチェーン関係の法規制リンク

5. 論考

暗号資産とブロックチェーンの安全性の現状と課題

Baseline Protocolの概説記事

6. 注目イベント

INFOCOM 2020 (7/6-7/9, オンライン開催)

SECRYPT 2020: 17th International Conference on Security and Cryptography (7/8–7/10, オンライン開催)

USENIX Security 2020 (8/12-8/14)

Crypto 2020 (8/16-8/20, オンライン開催)

CRYPTOLOGY2020: 7th International Cryptology and Information Security Conference 2020 (TBA)

VLDB 2020 (8/31-9/4, オンライン開催)

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LayerX Newsletter for Biz (2020/06/15-06/21)

Issue #63

今週の注目トピック

Eisuke Tamotoより

今週のBiz編pickには企業間情報連携に向けた論点の現状解説のほか、先週に引き続き証券化領域から記事が解説されています。また、久しぶりにカストディ領域のニュースも解説されています。List編ではCBDCやタイ政府関連の証券化ニュースなど行政が関係するニュースが多く出てきていることが注目されます。Pick, List合わせてご覧くださいませ。

Section1: PickUp

Tokensoftが既存の市中銀行とともに不動産証券化プラットフォームを提供へ

  • TokenSoft社がニューヨークに拠点を置く商用銀行Signature Bankと提携し、不動産証券化プラットフォームを開発・提供して行く方針であると発表した。Tokensoftは従来セキュリティトークン開発のコンサルティングを行っていたが昨年以降, Transfer Agent向けサービスの提供など、自社開発のシステム提供に転換した企業である。今回のニュースはさらに一歩先に進め、自社でセキュリティトークン発行のためのパッケージサービスを提供することを意味している。

  • 今回開発するプラットフォームは、今後提携して行く各企業のニーズに合わせた商品組成を可能にするカスタマイズ可能なプラットフォームにして行くと発言。このパッケージサービスでで対象とする不動産アセットはミドルサイズの規模。早期流動化ニーズなどに応えて行くことを目標に掲げている。提供機能としては、売買・流動化窓口といったBD機能や、評価額レポート等の期中投資家IR機能になると説明されている。

  • 今回の提供サービスがパッケージサービスと名称できる所以は複数の提携機関が提供するサービスを繋ぎ込むという提供体制にある。資金決済部分の機能にはSignature Bankが提供するSignetというシステムを活用する。このシステムはブロックチェーンを利用した資金決済システムで、Signature Bank内の法人口座が利用可能である。対投資家の情報提供機能には、私募ファンド運営関連業務のデジタル化を進めているInveniam Capital社のサービスを活用すると発表されている。また、アセットマネジメント分野においては複数社と協業を模索しているとの発言もある。TokenSoft自身が提供するのは、各社を繋ぐベースとなるシステムを提供する他、transfer agentライセンスを獲得している子会社を利用した証券台帳管理部分のみになる模様だ。

  • 過去に商用化が発表されてきたプラットフォームは単独グループで提供する物が多かった中で、各システムを繋いだパッケージサービスとして証券化システムを提供する今回の取り組みは新しい位置付けとして注目できる。システムインフラ的色合いが強いブロックチェーン技術を応用させる一つの方法として、このプロジェクトの続報が見逃せない。(文責・田本)

●企業間のデータ・情報連携の進展にむけた鍵を握るワークフローとデータ信頼性保証

  • Tencentが、モナコと同サイズのスマートシティを建設する計画を明らかにした。CNN報道によれば、200万平方メートルの敷地に8万人が暮らし、自動運転車を優先する都市計画が検討されている。スマートシティについては、先週のニュースレターで特集したばかりなので、ご参照いただきたい。

  • スマートシティに限らず、業種・業態を横断して企業間でデータ・情報を共有・連携する動きが盛んになっている。記事にもあるように「データを抱え込まず共有すれば、新しい商品・製品につなげやすい。車の走行データを共有すると自動運転車の開発を加速しリスク分析を反映した損害保険も作ることができる」という訳だ。

  • だが、現状は、経産省の産業構造審議会総会資料によれば、企業の実態は「デジタル前提となっておらず、データ活用が進んでいない」ことがわかる。

  • こうした実態は、製造現場だけでなく、経理業務といった、従来よりIT化が進んできたとされる分野でも見られる。Aerial Partnersによれば、「業務管理システムと会計ソフトの間に大きな”谷(集計や判断の余地)”」が広がっており、「その”谷”を埋めるのは、経理担当者(或いは経理担当者 + Excelの魔術師)になってしまっているのが現状」とされる。

  • 今後のIT利活用を展望する上で、「企業をまたぐワークフロー」「企業をまたぐデータの信頼性保証」が鍵を握るのではないか。ワークフローについては、サービスナウが「どこにいても業務プロセスがスムーズに回せることの重要性が理解されている今こそ、必要なプロセスをクラウドのワークフローに乗せ、他システムとの連携を進めるなどのデジタル改革を進めるべき」と主張している。

  • また、「データの信頼性保証」については、デジタル市場競争会議において、「データへのアクセスのコントロールを、それが本来帰属すべき個人・法人等が行い、データの活用から生じる価値をマネージできる仕組み」 (“Trusted Web”) を構築する上で、「全体のサプライチェーンの中で流通するデータの信頼性、すなわち、データの出元、改ざん耐性、検証可能性、データの精度などのデータ の品質が一層強く問われることになる」旨が述べられている。

  • 政府において、「特段の定めがある場合を除き、押印しなくても契約の効力に影響は生じない」と記す文書が発表された他、「自動車検査証の電子化」にむけた検討が進むなどしている昨今の情勢下にあって、民間企業間におけるデータ連携をスムーズに実現する取り組みの動向に、引き続き注目していきたい。(文責・畑島)

野村HDら3社が取り組む、機関投資家向けのデジタル資産カストディサービス「Komainu」について

  • 2020年6月17日、野村ホールディングスと、暗号資産の管理ソリューションを展開するLedger社、投資家向けのデジタル資産の投資商品や関連サービスの提供を行っているCoinShares社の3社のメンバーが、デジタル資産のカストディサービス「Komainu」の提供について、新たな情報の発表を行った。Komainuは、2019年11月に、英領ジャージー島より、カストディのライセンスを取得している。

  • 近年、オルタナティブアセットへの投資需要が高まる中、暗号資産をはじめとするデジタルアセットの領域に対する注目が急激に高まっていた。一方で、伝統的な金融機関と比べ、安全な資産管理ソリューションが不足しており、機関投資家の参入が進んでいないことが課題となっていた。このような背景から、デジタルアセット領域におけるカストディアンに対する期待が世界でも高まっている。

  • Ledger社は暗号資産ウォレットの販売を行っていることで知られるが、近年はLedger Vaultという法人向けの暗号資産管理ソリューションの提供も行っている。CoinShares社は、暗号資産のアセットマネジメントプラットフォームを提供している他、Nasdaq Stockholmで暗号資産ETNの提供も行っている。ここに野村HDのもつ銀行業務やファンド運用に関する知識が加わることで、安全性の高いデジタル資産の管理ソリューションが提供されるだろう。

  • 一口にデジタルアセットのカストディと言っても、伝統的な有価証券のデジタル化を行うSIX Digital Exchange(SDX)HQLAxのようなプレイヤーと、暗号資産の管理に特化したCoinbase CustodyBitGoのようなプレイヤーに二分できる。

  • Komainuは、主に後者の取り組みに注力すると考えられるものの、長期的には、グローバルでデジタル証券など、より前者の既存金融に近い領域に取り組んでいくことも考えられる。今後も引き続き、同社の動向に注目していきたい。(文責・宮崎)

Section2: ListUp

1. Regulation : 規制動向

シンガポールMAS、中銀デジタル通貨の分野で中国との協業を表明。クロスボーダーペイメントやセツルメントコストの低減めざす

韓国中銀、デジタル通貨の研究に向けリーガルアドバイザリチームを結成

カナダ中央銀行がCBDC開発へ向けて人材募集を開始へ

国際決済銀行BIS、「デジタル時代における中央銀行とペイメント」と題したアニュアルレポート特集号を6/24に発行予定

2. Crypto Adaptation: 暗号通貨の普及・応用

Ledgerと野村による機関投資家むけカストディサービス「Komainu」がローンチ

Galaxy Digital、Bakktと提携し資産運用会社向けBitcoin購入・保管サービス提供へ

ConsenSys、ステイキングサービスに参入。CodefiがホワイトラベルとしてEthereum 2.0バリデータをローンチすることによって、インハウスでインフラ構築することなしにステイキング報酬が得られるようにする、としている

EY、暗号資産むけ税務アプリCryptoPrepをローンチ

3. Decentralized Finance : DEXやトークンなど

Coinbase、様々なブロックチェーンノードに接続してブロックチェーンデータへのアクセスを容易にするRosetta API をローンチ。オンチェーンデータを読み取って、標準フォーマットのトランザクションを構築することを通じて、相互運用性を向上させるもの

請求書ファイナンスをブロックチェーンで行う融資サービスTinlakeとは?

4. Programmable Security : プログラマブル証券関連

タイ債権管理事務所がブロックチェーンベースのウォレットを利用した貯蓄債券発行へ

  • タイ国営銀行のクルンタイ銀行が開発しているe-walletを利用して、額面1バーツという超低額額面の債券を発行

  • 今回の発行は行政による債券管理の効率向上と、業務をデジタルで完結させることを目的とした実証実験的位置付け

  • 100バーツ単位での購入が可能に。低所得者でもリスクフリーの証券資産を保有できる世界観を作ることが目標

仏FinTech企業、不動産証券トークン発行

5. Financial Institutions : 金融機関による応用ケース

カンボジア国家銀行がバコンプロジェクトのホワイトペーパーをローンチ

タイ中銀、中銀デジタル通貨によるペイメントシステムのプロトタイプ開発へ

韓国、メディカルツーリズム向けブロックチェーンプラットフォームを釜山市・銀行・大学病院・決済企業で構築。患者と医療機関の接続、外貨両替・口座開設

6. Enterprise/Government : 非金融分野の応用ケース

New York Times、フェイクニュース対策でニュースの来歴をブロックチェーンに記録する「The News Provenance Project」プロトタイプを IBM Garageと構築

英国標準化組織BSI UK、パブリックチェーン上でサプライチェーンソリューションをTraceLabと協働で構築。個人・企業・プロダクトの資格証明の真正性を検証

ユニリーバ、森林破壊を経ないサプライチェーンのトレーサビリティに向けてブロックチェーン利用を発表

世界経済フォーラムWEF、政府調達における不正撲滅に向けて、ブロックチェーン用いた透明性向上に関するレポート発表

Alibaba、国際港湾システム協会(IPCSA)のブロックチェーン船荷証券プロジェクトに参画表明

伊藤忠商事と東京電力、家庭間で電力融通提携

7. Startup : 個別プレイヤー・アプリケーション

Upvest、Ethereumトランザクション手数料レコメンドエンジン開発

8. Articles : 論考

中央銀行デジタル通貨をデザインする上での重要な考慮点に関する論考

日本法上の問題点整理論考

Disclaimers

This newsletter is not financial advice. So do your own research and due diligence.

LayerX Newsletter for Tech (2020/06/08-06/14)

Issue #62

今週の注目トピック

Taisho Nishiiより

今週のTech編には、まず、Microsoftがβ版をローンチした分散型IDシステム「Identity Overlay Network」(ION)について紹介しています。続いて、先日LayerXからも発表したAnonify同様、TEEとブロックチェーンを組み合わせた事例として、Ant Financialが発表したCONFIDEというプロトコルについて解説。そして最後に、 Ethereum の Layer2 スケーリングソリューションの比較フレームワークについて紹介しています。LayerXからも、エンタープライズ向けブロックチェーン比較のレポートを発表予定です。ご関心のある方はこちらからご登録ください。

Section1: PickUp

MicrosoftがBitcoinベースの分散型IDシステムIONのβ版をローンチ

  •  Microsoftが、分散型IDシステム「Identity Overlay Network」(ION)のβ版をローンチした。Microsoftは兼ねてよりDecentralized Identity Foundation(DIF)に参画し、分散型ID(DID)の開発を進めていた。今回発表されたのはBitcoinのテストネットで稼働するベータ版だが、今後数ヶ月の開発を経て、メインネットでのローンチを目指すものとされている。

  • IONは、BitcoinのLayer2技術であるSidetreeプロトコルを活用することで、単一のオンチェーントランザクションで、Bitcoinのチェーン上において何万ものDID/DPKI(Distributed PKI)オペレーションを実現する。グローバルなDIDを実現するには、既存のブロックチェーンの処理能力では十分ではなかった。そこで、分散した状態のままスケーリングを行うため単純に時系列にしたがって操作を実行するSidetreeプロトコルを活用したとのこと。

  • トランザクションはハッシュ化され、IONのノードがIPFS(InterPlanetary File System)を介して、ハッシュに関連付けられたDIDオペレーションのバッチを取得、保存、複製するために使用される。ノードは、特定の決定論的ルールに従い、これらのオペレーションバッチを処理するため、個別のコンセンサスメカニズム、ブロックチェーン、サイドチェーンを必要とせずとも、システム内のIDに対するDPKIのステートを特定できる。また、ノードはDIDステートの取得、処理を並行して行うことができるため、ノードは毎秒数万回の操作で実行することができる。なお、今回はターゲットチェーンとしてBitcoinを用いているが、他にも応用が可能。IONについては、Microsoftは多くのドキュメントを公表しているため参照されたい。

  • DIDのように、企業がIDやPKI(公開鍵基盤)エントリを所有・管理するのでなく、個人が所有・管理するようになることは、サービス同士での互換性など様々なメリットがある一方、目下COVID-19の影響下における追跡機能として活用されるにあたっては、プライバシーの観点から物議を醸しているところ。各国においてDIDに係る開発・研究は進展しており、日本においてもマイナンバーとは別のデジタルIDに係る議論が起こりつつある。今後、我々のIDの在り方にどう影響を及ぼすか引き続き注目したい。(文責・西井)

●Ant FinancialによるTEEを用いた秘匿化ブロックチェーンプロトコルの論文がSIGMOD’20に採択

(引用:Confidentiality Support over Financial Grade Consortium Blockchain

(引用:Confidentiality Support over Financial Grade Consortium Blockchain

  • また、CONFIDEがプロダクション環境で運用されている例として、サプライチェーンファイナンスサービス(Ant Duo-Chain)、証券化プラットフォーム、IoTシステムと統合した倉庫証券システム、物流システム(コールドチェーン)などがあげられている。このようなブロックチェーンとTEEを組み合わせた先端的な実用化への動きは引き続き注目したい。(文責・須藤)

Matter LabsによるEthereum Layer2スケーリングソリューションの比較

  • zkSync を開発している Matter Labs が Ethereum の Layer2 スケーリングソリューションを比較した記事を公開した。この記事には、4つのカテゴリ「セキュリティ」「パフォーマンス/経済学」「ユーザビリティ」「その他」に分類される質問リストがあり、プロトコルに対してその質問リストを答えていくことで、ソリューションの比較ができる。この比較は、アプリケーション開発者が最適なソリューションを選択するのに役立つ。

  • 比較軸をまとめた表は以下になる。

  • 引用: https://docs.google.com/spreadsheets/d/19hl6CxG-RfWKsDEa86ZHWkHGvplyW4J1TqKFvcbbyvs/edit#gid=0

  • 具体的に質問をいくつか見ていく。まず、セキュリティカテゴリの最初の質問は、「プロトコルはユーザの liveness を必要とするか?」である。すなわち、「ユーザが Layer1 アクティビティを自ら監視する必要があるか?」である。上記の表の通り、Validium (StarkEx) あるいは zkRollup (zkSync, Loopring) はその必要はなく "No" であり、Sidechains (SKale, POA) や Optimisitic Rollups (OVM, Fuel) は監視を信頼できる機関に託す形 "Bonded" である。他の質問には、「バリデータにユーザの資産を差し押さえする権限が必要か?」がある。このような検閲性は良しとされないことが多いが、検閲性が必要なアプリケーションは、Sidechains や Validium が適している。

  • ユーザビリティの観点の質問には、「Layer 1 への引き出し時間はどのくらいかかるか?」がある。Plasma (OMG, Matic) と Optimistic rollups は1週間かかるが、Validium と zkRollup は1~10分、State channels (Pisa, Celer) と Sidechains は1承認である。理論的には、1週間という時間は短くできるものの、そうすると資本効率が悪くなるなどのトレードオフが存在する。

  • これら比較軸はまだ十分ではないと著者らは述べている。今後、アプリケーション開発者は自らのアプリケーションに合った Layer2 スケーリングソリューションを比較検討して、開発を進めることが求められるだろう。(文責・岡南)

Section2: ListUp

1. Bitcoin

Crypto Garage、暗号資産のOTCマーケット向けセツルメントプラットフォーム「SETTLENET」の商用サービスをローンチ。取引所やブローカーなど向けに即時グロス決済を提供

レイヤー1やBOLTの変更を必要としないソリューションの標準仕様をまとめてるLNP/BPスタンダード

BIP-32のキーチェーンから決定論的にエントロピーを導出する仕様BIP-85

2. Ethereum

StarkWareによるStarkExデモ

LoopringによるzkRollup用いた送金アプリLoopring Payがゴーライブ

Ethereumのユニークアドレスが1億個超え

Topazテストネットの振り返りとOnyxテストネット

3. Bitcoin/Ethereum以外

Baseline Protocol、Ethereum メインネット用いてMicrosoft Dynamics 365とGoogle スプレッドシートをインテグレート

  • スプレッドシートと同じレコードを持つプライベートDBであるERPとの整合性を検証可能な形で保持

  • Baseline Protocolを用いて、Microsoft Dynamics 365のERPとGoogle スプレッドシートをインテグレートするデモ動画

  • デモの中では、まずERPを用いるバイヤーがスプレッドシート用いてサプライヤーへRFPを送付

  • これを受け、サプライヤーはスプレッドシート用いてバイヤーへオファーを送付

  • 両者合意のもとに注文書を生成する、という流れ

StatechannelとRollup技術によるL2ネットワークCeler

L2スケーリングソリューションCelerネットワークのゲーム開発むけSDK

Tencent Cloud、業界標準策定へアライアンスプロジェクト立ち上げ

AlgorandとBlockstack、新たなスマートコントラクト向けプログラミング言語開発にむけ異種ブロックチェーン間で協業へ

Algorand Foundation、アクセラレータープログラムを発表。アジアマーケットに注力予定

Curve FinanceがRenVMを統合

分散型エネルギー取引プラットフォームDipoleがChainlinkを統合

トークンスワップサービスKyberSwapがChainlinkを統合

4. 統計・リスト

Bitcoinのトレードボリュームに関する定量分析

5. 論考

R3 Corda用いたデジタルアイデンティティについて

オンライン投票には一層の分散が必要とするMITとミシガン大の論文

6. 注目イベント

SIGMOD 2020(6/14~6/19, オンライン開催)

SECRYPT 2020: 17th International Conference on Security and Cryptography (7/8–7/10, オンライン開催)

USENIX Security 2020(8/12~8/14, Boston)

Crypto 2020 (8/16–8/20, 開催未定)

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